会食が減ったせいですっかり酒が弱くなったが、酒を飲むこと自体は相変わらず大好きである。量の問題ではない。ウマい肴を前にクイっと一杯ひっかける幸せは捨てがたい。
9月まではお上の要請を無視して酒を出していた店に通うしかなかった。いつも決まった店ばかりに顔を出すはめになっていたが、10月からはどこでも飲めるようになってホッとしている。
アルコールを出さない時は見向きもせずに、酒解禁とともに顔を出したくなる店は多い。つくづく酒のためにメシを選んでいることを痛感する。
酒あっての食べ物。何だか邪道みたいだが、大人の味覚は結局それに尽きる。
寿司屋、鰻屋、焼鳥屋あたりで酒が飲めないとなったら魅力は半減、いや9割減と言っていい。フレンチが好きな人だってワイン無しで味わえと言われたらキツいはずだ。
先日、久しぶりに銀座の維新號に出かけた。お目当てはフカヒレの姿煮である。いや、紹興酒とともに味わうことがお目当てである。この店のフカヒレの姿煮と紹興酒の組み合わせは天下一品だ。
紹興酒自体はちっとも好きではない。むしろ嫌いだ。でも、この店のフカヒレを食べる時には温めた紹興酒が不可欠である。
紹興酒抜きでこれをご馳走されても私は嬉しくない。組み合わせの妙である。紹興酒のないこの料理は、チャーシューが入っていないラーメン、いや、いや、肉の無いすき焼きが出てくるほどの物足りなさだと思う。
維新號といえば肉まんでも有名だ。なぜか私は食べたことがない。いつもお土産で人にあげちゃうのだが、誰もが口を揃えて絶賛する。
そんな肉まんのウマさを実感できるのが、店で食べる肉シュウマイである。地味な存在だが、必ず私が注文する一品だ。
これまた紹興酒と合う。ウットリする。肉の旨味とほのかな甘味が熱燗にした紹興酒と混ざり合うことで得も言われぬ幸福感につながる。
高級中華に行くとつい海老料理や北京ダックみたいなウェイウェイ系?に目が行きがちだが、ウマい点心がある店ならそれを無視したらもったいない。
この肉シュウマイを8個ぐらいもらって、白いご飯のおかずにしてガッツリ食べてみたいのだが、金欠の人みたいに思われそうなのがシャクで実現していない。
別な日、日本橋のたいめいけんに出かけた。洋食屋さんだからオムライスだのハヤシライスを酒抜きで楽しむことも出来るが、個人的には夜にじっくりアレコレ食べたいからアルコールは欠かせない。
エスカルゴを酒抜きで食えと言われたらツラそうだ。ノンアルコールビールと合わせたってウマくはない。やはりシャンパンかワインの出番だろう。
コキールやクリームコロッケといったベシャメルソースにムホムホする逸品達も同様だ。白ワインが定番だが、個人的にはシャンパンかスパークリングワインと合わせるのが好きだ。
メインにオックステールのシチューも注文した。これまた濃厚ソースをまとっていて洋食好きならノックアウト確実の逸品。
単なる味の好みなのだが、もともと常温の酒があまり好きではない。日本酒にしても冷やは嫌いだ。冷酒か熱燗しか飲まない。
ちなみに最近は「冷や」と「冷酒」が混同されてしまって話がややこしくなる時がある。
話がそれた。
というわけで、赤ワインは常温が基本なので必然的に私は白かシュワシュワに頼ることになる。
ちなみに、その昔、シャンパンしか飲まない習性を持つ女性と親しく付き合ったことがあった。
始めの頃は鼻持ちならない気取った小娘だと思っていたのだが、仕方なく付き合っているうちにいつの間にか私もシュワシュワが大好きになった。
おかげでヨーロッパをふらふら旅している時も歩き疲れた時に一息入れるカフェで昼からグラスのシャンパンを頼むような洒落男?に変身した。
シャンパンやスパークリングワインは食前酒だと思い込んでいた私の思い込みを取り払ってくれたその人のことを今も時々思い出す。
なんだか話が変な方向に行ってしまった・・・。
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