先週末は思い立って甲子園観戦に行ってきた。夏とは違って春の甲子園にはあまり興味が無かったのだが、前半の試合をテレビで見ていたら案外ハマってしまい準々決勝が行われる日に合わせてチケットを手配して出かけた。
準々決勝が一番面白いというのが野球マニアの昔からの定説だ。この日は1日4試合。確かにどの試合も熱戦だった。満足満足。
2試合目は序盤に8対0というシャバダバな展開になったので中座して隣接する甲子園記念館で各種展示物をノンビリ眺めていた。昭和の頃の甲子園での伝説の試合に関するグッズや資料を見学して萌えた。
そうこうしているうちにスマホで試合経過をチェックしたら8対0で負けていたチームが同点に追いつく勢いで反撃していたので慌てて球場に戻る。その後に大逆転する凄い試合になった。
甲子園のチケットは再入場できない決まりだ。いったん外に出ちゃうとチケットは無効になる。ただ“オトナ買い”で複数のチケットを入手していた私には問題なし。
1日4試合も観戦する予定とはいえ球場から出られないのは困る。もともと私は違う位置の座席に移動しながら観戦する“富豪ファン”として複数のチケットを買ってしまいがちだ。無駄遣い精神がこういう場面で役に立つわけだ。
甲子園球場の楽しみの一つがベタな関西メシを楽しめる点だ。東京人にとっては新鮮だ。球場メシだからバツグンにウマいはずもないが充分に異国感?を楽しめる。ぼっかけメシや牛すじ焼きそばも食べてちょっと興奮する。
牛すじ焼きそばの具がシャバダバだったので別途ドテ焼きを買ってトッピングしてみたらなかなか素敵な見た目に変貌した。こういう無駄は無駄とは言わない。素晴らしき創意工夫である。
昼間は春のぽかぽか陽気でシェイクを片手に楽しい時間を過ごしていたが、さすがに夕方の4試合目にもなるとうすら寒かった。有難いことにお湯割り焼酎を扱っている売り子さんがいたからマメに呼んで買いまくった。
4試合をしっかり観戦した後は球場近くの居酒屋に行く。ドテ煮や酢タコをつまみに焼酎をグビグビ。絵にかいたようなオッサンタイムである。宿は球場近くに押さえていたので帰り道の心配もなくノンビリする。
隣に座っていたコテコテの関西オヤジ様としばし野球談議に花を咲かせる。この人は浪商出身とのこと。浪商といえば古くは張本勲、高田繁、牛島香川のバッテリーである。
東京人だから完全アウェーな私だったが、かつて張本御大に銀座で親切にしてもらった話や高田サマが最近登場した東京六大学野球のレジェンド始球式をわざわざ間近で見に行った話を繰り出して大いに盛り上がった。
東京の野球好きオヤジが甲子園に行って大阪の野球好きオヤジと昭和の野球ネタで飲み明かす。夢のような時間である。大げさか。こんな想定外の時間こそが一人旅の醍醐味かもしれない。
で、すっかり酩酊したからホテルに戻って結構早くに寝てしまい、翌朝は早めに目覚めた。この日は甲子園は休養日で試合無し。大阪の街ブラでもしようかとも思ったが、スマホの予定表を見ていたら東京で見たかった別の野球の試合があることに気付いてとっとと帰京することにした。
午前中の新幹線で一路東京へ。買った駅弁は二つ。「おとなのえんがわ寿司」なる一品がお気に入りになった。たいていのえんがわ押し寿司は脂っぽいだけで美味しくないが、こちらはビチャビチャ感はなくシャリに刻みわさびがまぶしてあって確かに大人向きだった。また見つけたら買いたい。
で、東京駅から神宮球場へ向かう。社会人野球と六大学野球の対抗戦が行われていた。六大学ファンとしては新チームのメンバー構成をチェックできる意味合いもあるから興味が尽きない。
1試合目の東大は日本製鉄鹿島に3対5で惜敗、2試合目の明大はNTT東日本に5対5で引き分ける結果となった。何が面白かったかといえば球場の「音」だ。
前の日の甲子園はアルプススタンドの大声援や万単位のお客さんの応援で賑やかだったが、この日の神宮はお客さんはぜいぜい数百人ぐらいだっただろうか。おまけに応援団は来ていなかったから客席からの声はまるで無し。ただただグランド内の音だけが響いていた。選手同士が掛け合う声、打球音、ピッチャーが発する気合、ミットに収まるストレートの乾いた音。なかなか新鮮だった。
それにしても甲子園で高校野球をしっかり観戦した翌日に神宮で大学と社会人の試合を観戦するのは何ともマニアックな行動だ。プロ球団のスカウトみたいである。
ちなみに昨年夏にわざわざ北海道まで日米大学野球を観戦しに行ったのだが、その時の日本代表チームのメンバーの多くがプロで活躍し始めている。ロッテの開幕投手を務めた毛利、西武で開幕からスタメン捕手として出場した小島、広島で活躍する平川、勝田、中日の中西や桜井、巨人の山城など。その他にも阪神の立石、ヤクルトの松下など今後ガンガン出てきそうな選手は多い。
そういう選手たちがいずれ日本を代表するようなビッグネームになったらやってみたいことがある。「俺はアイツが学生時代からガラガラの球場で見ていたよ」と居酒屋で隣り合わせた野球好きオヤジ相手にマウントをとることだ。何だかバカみたいだが、バカみたいなことを真剣に目指すのは案外楽しい。
