初めての沖縄は小学生の時に家族旅行で出かけた海洋博。自分の意思で通い始めたのは大学生の頃だった。
ゆうに四半世紀以上前の話である。携帯も無い、インターネットも無い、おまけに知恵も経験も知識も何も無い頃だから、いちいち冒険気分に浸っていた。
「沖縄」が急激に本土の人間にとって身近になったのはここ20年ぐらいだと思う。
「島唄」が大ヒットして、安室ちゃんが大人気になり、その後は朝ドラ「ちゅらさん」が大ヒット。気付けば、東京でも至る所で沖縄っぽいものが目に付くようになった。
大学生の頃に潜水行脚を目的に沖縄に通い出した私だが、当時は泡盛もソーキそばも知らず、すべて現地で初体験して感激していた。
当時のことは便宜上、「島唄以前」とでも呼ぶことにしよう。
今でこそ沖縄民謡はそこらへんの居酒屋でも聴くことが出来るし、泡盛だって都内の品揃えの良い酒屋に行けば複数の銘柄が置いてある。
「島唄以前」は東京で沖縄っぽいモノに触れる機会は少なく、沖縄料理屋も今のような気軽なノリではなかった。若者には敷居が高い場末のスナック的な店が多かった。
大学生の頃に、沖縄の食べ物や泡盛にハマった私としては、そんな状況が不便で、結果的に安い航空券を探してしょっちゅう現地に飛んで欲求不満を晴らしていた。
古くからの沖縄ファンとしては今の状況は感慨深い。ついでに言えば流通革命とインターネットのおかげでレアな食品や泡盛だって簡単に手に入る。
島唄以前には、泡盛や沖縄そばや豆腐よう、ジーマミ豆腐なんかを大量に買い込んで帰京する飛行機に乗り込んでいたから隔世の感がある。
あの頃、沖縄本島に高速道路は無かったし、モノレールも無かったし、美ら海水族館も無かった。
超高級リゾートも皆無で、ムーンビーチや全日空系の万座ビーチ、日航系のオクマリゾートが上等だった時代である。私自身、若造ダイバーだったからヘンテコな民宿やペンションとは名ばかりの人の家に泊まっていた。
トイレが汲み取りの宿もあったし、エアコンやテレビは100円玉を投入して時間制限付きで使う仕組みだった。
光陰矢の如しである。
思い出すことはいっぱいある。
いまハヤりの「NTR」事件もあった。
潜水旅行の乗継ぎの関係で那覇のシケたホテルに一人で泊まっていた時のこと。同じ時期に女友達が沖縄に来ていたので、ちょっとだけ合流することにした。
そのコは彼氏と二人で沖縄に来ていたのだが、そこは南国!である。私も血気盛んだったから「NTR」である。お茶だけのつもりが一緒に酒を飲み、結局、朝食を仲良く食べていた。
そのコの彼氏は泊まっていたホテルの部屋を一人で破壊しながら彼女の帰りを待っていたらしい。そのコがその後どんな目に遭ったかは、忘れた。
まだアチコチが元気だった頃の武勇伝?である。
さてさて大幅に話がそれた。年末年始の沖縄である。クリスマスの頃に急に手配した割には、うまい具合にホゲホゲ快適に過ごすことが出来た。
那覇市内から北へ20~30分行った宜野湾にある「ラグナガーデン」に2泊、那覇の「ハーバービューホテル」に1泊の合計3泊の目的のない旅である。
いずれのホテルも、ここ10年ぐらいで増殖したイマドキのカッチョいい高級ホテルに押されているような位置付けである。
だからピークシーズンの直前でも手配できた。実に有難い。アマノジャクな私はこうした「いまさら感」が漂うホテルが嫌いではない。
東京でいえば、ホテルオークラや第一ホテル、山の上ホテルなどに惹かれる感覚だろうか。キチンとしているのに、流行の陰に隠れちゃってるような感じが好ましい。
いずれのホテルも、部屋は広めでバスルームも浴槽と洗い場が独立している程度のマトモさは保っている。
年末年始の休暇にシャワーカーテンがあるようなユニット浴室で不便な思いをするのなら自宅にいたほうがマシだから、この点は有難かった。
ラグナガーデンは本格サウナ付き大浴場もあったので、いい感じにサウナオヤジになれた。サウナの後のオリオンビールは最高である。
で、何をしていたかというと、ちょろっとドライブがてらマイナーな場所を観光したぐらいで、あとはソーキそばを食べていたか、泡盛を飲んでいたか、本を読んでいたか、寝ているかのどれかだった。
思い立って久高島にも行ってみた。本島南部からフェリーで20分で渡れる「神秘の島」である。小さな島全体が霊験あらたかなパワースポットとして知られている。
聖域だらけなので、いまも立ち入り禁止エリアがアチコチにあるらしい。新しい年を前にパワースポットで前向きな「気」を吸収したかったから足を踏み入れてみた。
とかいいながら、戻りの船の時間まで小一時間しか無くて、久髙島の港近くで借りたママチャリでぶんぶん走って終わってしまった。
そのほか本島中部の「普天間宮」にも行ってみた。古い神社で、特徴は地下洞穴にも社があって周囲をウロウロできる点だ。
洞穴見学は無料だが、届け出制なので、巫女さんに言って入口へ続く扉を開けてもらった。
初詣なんてものは大量の人出に面食らった神様が混乱しそうだから、大晦日に人のいない神社に出向いてじっくりと1年のお礼と新年の祈願をすればいい。
そんな身勝手な考えで行動したわけだ。とても清々しい気分になれた。祈りってものは、結局そこがポイントだろう。清々しい気持ちになることが大事だし、それこそが有難いものだ。
連日昼の気温は17度前後。散歩には最適。目的もなくホゲホゲするには最高である。人出の少ない場所を選んでおけばピークシーズンの喧騒とも無縁でいられる。
観光シーズンだったから首里城なんかに行っちゃったらテンヤワンヤだったはずなので大正解だった。
のんびり悠久の歴史に思いを馳せる一時を過ごせた。とかいいながらマンゴーソフトクリームを夢中に舐めていただけだった。
なんだか長くなったので次回「食べ物編」に続く。
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