ここで何度か書いてきた「すい臓問題」。結果は良性だった。まだ悪性転換の可能性はゼロではないということで今後も定期的に超音波内視鏡による検査を受ける必要はあるがひとまずホッとした。
結果を聞いて正直、身体の力がフガフガ抜けるような気がしたからやはりそれなりにビビっていたようだ。「すい臓にデキモノ」というリスクはあるがまったく大きくならないモノなら放置すればいいらしい。
検査結果を聞いてウッキウキになったからその日の夕飯はドカ食いすることにした。一応メデタイ記念だから何を食べようか悩む。結局、ベシャメルとタルタルをとことん食い散らかしたくなって銀座の煉瓦亭に向かった。
ところが、何の因果か臨時休業だったのでしばし途方にくれる。で、ナゼか一本裏通りにある天ぷら屋さんに入った。ベシャメルとタルタルとはまるで違うが揚げ物は揚げ物である。
お店は「ハゲ天」本店。縁起の悪い店名だが、まだ私の毛髪は元気だから気にせず食べまくることにする。カウンターに陣取って好きなモノを堪能した。
お塩で食べるのが標準みたいな気取った天ぷら屋とは違い、ここの天ぷらは東京人にとっての普通の天ぷらだ。衣も淡すぎる風合ではなく心置きなく天つゆにビショビショつけて食べられる感じ。
キス、海老、穴子あたりの定番から食べ始めて熱燗を片手に無事だったすい臓に感謝の時間を過ごす。
サツマイモやウニ、牡蠣などちょっと変わったネタも堪能する。思えばカウンターで天ぷらを食べるのは何年ぶりだろう。以前はわざわざ山の上ホテルまで出かけて天ぷらざんまいを楽しむこともあったが、胸焼けをおそれていつの間にか及び腰になっていた。
久しぶりの天ぷら大会?だったわけだが、たまにはこういう時間もアリだと痛感した。胸焼けをおそれるわりには頻繁にトンカツやエビフライを食べまくっているわけだから天ぷらを避けるのは意味不明である。
最初に刺身でもつまんで一杯やり始め頃合いを見て好きなネタを揚げてもらう。こういう過ごし方は中高年男にとってなかなか優雅な時間である。
カウンターで職人さんと対峙して好きなモノを好きなペースで好きな量だけ注文できるスタイルは世界でも希な日本特有の贅沢な文化である。そんな世界を堪能しないのはもったいないことだ。
で、しっかり天ぷらを楽しんだ後は天茶なり小さなかき揚げ丼をシメにすれば済むのに、すい臓問題から解き放たれた解放感のせいで良からぬ企みが頭をかすめる。
「この後には何を食べようか」という企みである。まさにおぞましい食い意地である。ホロ酔い気分も正常な判断能力を失わせている。ホントに悪い癖だと思う。
最初はさっぱりとざるそばでも食べに行こうかと考えたのだが、ラーメンやうどん、はたまた牛丼などが脳裏に浮かぶ。天ぷらをしっかり食べたことは半分忘れている。
で、たどり着いたのが銀座一丁目の「矢場とん」である。味噌カツの人気店である。揚げ物つながりだからきっとカロリーはゼロだろうと物凄い言い訳を自分に言い聞かせる。
熱い鉄板にリブロースカツが鎮座していた。そこに特製味噌ダレをかけ回すとジュージューっとウマそうな音がする。音も味覚を左右する。このジュージューという響きがこの店のウリだと思う。
というわけで、帰宅後は午前2時ぐらいまで膨満感でキツい時間を過ごすハメになった。自業自得とはこのことだろう。
すい臓は問題無かったが胃腸のほうが心配になった。
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