2023年6月7日水曜日

散歩の落とし穴

 

11万歩。健康のために歩こうと思ってもなかなか難しい。デスクワークの私にとっては平日はまず無理な相談である。タクシーに頻繁に乗ってしまうからヘタすると11000歩程度しか歩かない日もある。

 

週末はせっせと散歩に励むことが多いが、1万歩は簡単ではない。黙々と歩くだけだと67千歩程度で終わってしまう。調子が良い日なら昼の散歩と夕方~夜の散歩をダブルでこなすとようやく1万歩を超える。

 

最近は日本橋界隈をアテもなくさまようのだが、先日は小伝馬町の牢屋敷跡を訪ねてきた。ここ数年、時代小説をちょくよく読むのだが、小伝馬町の囚人をめぐる話がよく出てくる。

 

今年読んだ中で一番面白かった浅田次郎の「赤猫異聞」も江戸を襲った大火から逃げるために小伝馬町の牢屋敷から一時的に解き放たれた囚人達と看守役の侍の話だった。

 


                    



新富町、八丁堀エリアに住んでいた際も隅田川を渡って佃側にあった人足寄場跡あたりで往時に思いを馳せた。そちらはかの鬼平こと長谷川平蔵が設立に関わったとされる矯正作業施設だ。やはり時代小説にちょくちょく出てくる。

 

小伝馬町のほうは矯正施設ではなく純粋な牢屋敷だから斬首も行われた場所だ。近くにある寺の風情も何となく物寂しい。今はのどかな公園もかつては250年以上に渡って数十万人を収容したそうだから歴史の重さを感じる。

 

公園の端っこには吉田松陰終焉の地という碑もひっそりと置かれている。場所の性質上、有名な観光地というわけではないが歴史の一頁が生々しく感じられて“いにしえの江戸散歩”の穴場だと感じた。

 



銀座と直結する中央通り沿いは日本橋の今を感じるエリアだ。商業ビル「コレド」はいつの間にか増殖していた。神田寄りの「コレド室町テラス」あたりになると週末でも思ったほど人混みは無い。穴場だと思う。

 

銀座あたりだと道路沿いに歩くだけでいろんな店が目に入って飽きないが、日本橋はコレドのようなビルの中に入らないとどんな店があるのか分からない。

 

あてもなくブラブラとビル内散策をするのも楽しい。道路から見ているだけでは想像できないほど飲食店が溢れている。すべて地下で繋がっているから天気も気にならないのが有難い。

 




適当な店のイートインを利用して喉を潤したり、疲れた身体に糖分補給するのも簡単だ。先日も妙に斬新なメニューが揃ったジェラート屋でタンマリと甘いモノを補給した。せっかく歩き回ってカロリーを消費してもこういう行動が私のデブを維持する。

 

その場で食べるだけでなく、コレドのようなビルやデパ地下の小洒落た店を覗いているとムダな買い物をしてしまうのも困りものである。

 

わが家の冷蔵庫にいくらでもストックがあるのにウマそうなミルクジャムなどを見つけるとついつい買ってしまう。職場の近くの明治屋、家の近くの三越あたりは私にとっては鬼門みたいなものである。

 



ふと用も無いのに覗きに入ってしまい期間限定商品やらお取り寄せグルメ的なスイーツを見つけて手を出してしまう。他にも銀座、有楽町、日本橋界隈には各都道府県のアンテナショップが揃っているので。ナンチャラ餅だのナントカ饅頭といった名産を買いたくなってしまう。

 

本当にそれが現地の名産品で入手困難なのかは不明だが、きっと東京で簡単に買えるのだからたいしたものではないはずだ。分かっちゃいるのにそれっぽくディスプレイされていると食べたくなってしまう。

 

我ながら異常な食い意地だと感じる。前世はよほど食べるものに困窮して死んでいった人なのかと思ってしまう。家系的に糖尿の心配が無いことに感謝する日々である。

 

というわけで、健康になるはずの散歩も私にとっては自らを太らせる危ない行動になりつつある。

 

 

 

 

 

 

 

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