2024年2月14日水曜日

現役感の確認


ファストフード、ジャンクフードは若者の食べ物。一般的にはそう認識されている。80歳を超えたお爺ちゃんがビックマックにかぶりついている姿は確かに想像できない。

 

とはいえ、これから爺さん婆さんになる世代は子供の頃にファストフードを存分に味わっているから、ヨボヨボなお爺ちゃんがマックに通う姿もそのうち普通のことになるような気がする。

 

私も来年後半にはいよいよ還暦だ。世が世ならご隠居さんだし、時代によってはとっとと死んでいてもおかしくない年齢だ。サザエさんパパ・波平が54歳の設定だから私の歳でビッグマックを頬張るのは革命的なことだとも言える。

 

10代の頃と変わらずマックも大好きだし牛丼も大好きだ。大好き歴は半世紀だ。焼肉のカルビやギトギトラーメンは加齢とともに苦手になったが、ファストフードにはいまだに魅せられる。

 

もしかしたら10代の頃に好んだジャンクな食べ物を大食いすることで自分がまだまだ現役であることを証明したい気持ちになっているのかもしれない。「現役感の確認」。これってこの歳になると常に意識したくなるテーマである。

 

先日、胃の検査の関係で朝食抜きで午後になった。いつもなら空腹の検査後は銀座の煉瓦亭あたりでエビフライにコキール、オムライスといったドカ食いを楽しむところだが、なぜかこの日は無性にマックが恋しくなっていったん帰宅してウーバーのデリバリーを頼んだ。

 

いろんなバーガーを6個ぐらい並べてパンを残しながら乱雑に食い散らかすのがオレ流?だから、さすがに人目のある店舗で食べるわけには行かない。自宅限定だ。

 



久々に「フィレオダブチ」も制作した。フィレオフィッシュの下のパンとダブルチーズバーガーの上のパンを外して両者を合体させる魔性の食べ物である。

 

揚げ魚と肉、ケチャップとタルタルソースという別な方向性を持つものが渾然一体となるのはまさにカオスである。味が喧嘩しそうな気もするが、そこはしょせんマックである。

 

「しょせん」などと言っては失礼かもしれない。マックの味はマックの味である。混ぜ合わせてもマックの味がする。複雑味が加わる感じでボリュームもあってビッグマックにも劣らない満足感がある。オススメです。

 

別な日、寿司屋でしっかり飲んで食べた後に最寄りの吉野家に吸い込まれてしまった。私の悪い癖の一つだ。牛丼の並を食べるならともかく、私の辞書に「牛丼の並」という言葉は存在しない。最低でも「頭の大盛り」であり普通の状態が「特盛」である。

 

この日は特盛に加えて牛皿も注文してしまった。特盛牛丼の上に牛皿をトッピングすると何かに勝ったような誇らしい気分になれる。たぶん単なるバカなんだろう。

 



学生時代にはこんな富豪的な注文はできなかった。オトナ食い?が出来るようになって当時の欲求不満を晴らしているのかもしれない。

 

マックにしても牛丼にしても「現役感の確認」という中高年ならではのいじらしい気持ち?が潜んでいるようだ。ドカ食いしてしまうことも「まだまだこんなに食えるんだぜ」と確認したい気持ちが背景にあるのだろう。

 

だとしたらちょっと切ない無謀な行動である。「年甲斐もなく…」と後ろ指を指される典型的なパターンだ。まあ、そんな無謀さも逆に言えば気持ちが老け込まないためには有効かもしれない。そうやって居直る方が建設的である。

 

いい歳して若い女性の尻を追いかけることも「現役感の確認」の最たるものだと思う。生物学的にもオッサンが発情しているのはヘンテコだ。

 



適正な生殖年齢において種の保存のために交尾したがるのが正しい生き物の姿である。中高年のオスが鼻の穴を膨らませて若いメスに迫ってムホムホしたがるのは地球上で人間だけに見られる行動パターンである。

 

大脳の発達という人間だけに許された特権?のおかげで人間だけが生殖目的ではないレジャーとしてのセックスに励むようになった。そのおかげで週刊誌が「死ぬまでセックス」みたいな特集を組むわけである。ついでに言えばそのおかげで私もいまだに引退?できずに迷走しているわけである。

 

サザエさんパパ・波平がビッグマックを食べる姿や若いオネエサンとネンゴロになっている姿は想像しにくい。にもかかわらず波平より年上の私はせっせとそんな行動に励んでしまう。単なる女好きだと言われたらそれまでだが、決してそういうわけではない。あくまで「現役感の確認」。それのみが目的である。

 きっとそうだ。たぶんそうだと思う。一応、そういうことにしておきたい。

 

 

 

 

 

 

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