2024年8月21日水曜日

鰻屋さんのツマミ


夏が終わりに近づいていることを「松屋」と「なか卯」で知った。期間限定のウナギが終了していた。「吉野家」ではまだ用意されていたが、ファストフード屋のウナギが終わっちゃうと秋も近いわけだ。

 

いっぱしのウナギ通みたいな顔をして生きている私だが、今年は牛丼屋の鰻丼を結構食べる機会があった。数年前に比べて格段に美味しくなったので、老舗の鰻屋さんに通う一方で、ウーバーで気軽に寄り寄せてむさぼっていた。

 

牛丼屋のウナギを嬉々として食べるのは老舗の鰻屋さんに対する浮気みたいなものだが、これも私にとっての期間限定である。

 


 

専門店でウナギをじっくり味わう時は酒も一緒だ。鰻重に到達する前の時間こそが鰻屋さんで過ごす醍醐味だろう。だから私は昼時に鰻屋さんに入ることは基本的にない。夜専門だ。

 

名店と呼ばれる鰻屋さんの中には酒の肴になるようなメニューを用意していないところも少なくない。あれは興冷めだ。「ウチは飲み屋じゃないぞ」と力まれている感じがして嬉しくない。

 

ロクなツマミも無いまま小一時間黙って待ってろ、みたいな店には行きたくない。私語禁止のラーメン屋があるらしいが、それと同じだ。まるで理解不能である。

 

というわけで私がちょくちょく行く鰻屋さんのツマミの話を書いてみたい。一定水準以上の鰻屋さんともなればメインの鰻重で期待を裏切られることはあまりない。好みの違いはあるだろうが、大ハズレという心配はない。だからこそ気の利いたツマミがあるかないかが大事だと個人的には感じる。

 




日本橋本町にある「大江戸」。冒頭の画像のようにご飯がまるで見えない鰻重の存在を知って通うようになった店だが、今ではこのサイズだと食べきれない。実に残念だ。この店は肝心の鰻重も美味しいのにツマミ類もかなり充実している。それらを含めた総合点で私が大好きな店である。

 

あん肝山椒煮と子持ち昆布は欠かさず注文する。山椒煮という名称だが、実際には甘く濃いあん肝煮付けみたいなイメージだ。酒のアテに最高の一品だ。一年中食べられるのも有難い。

 

店名の通りで総じて一品料理の味が濃いのがこの店の特徴だろう。東京っぽい味と表現してもいい。子持ち昆布しかり。見るからに味が濃い雰囲気だが実際に濃い。そのしょっぱさで酒が進む。あん肝の甘さと子持ち昆布のしょっぱさが相まって至福の時間になるわけだ。

 

日本橋に引っ越したせいで「大江戸」も自宅から徒歩圏になったのだが、同じく徒歩圏にある渋い鰻屋さんが「喜代川」だ。兜町近くにある。建物自体も文化財らしい。こちらも季節ごとにニクいツマミを用意しているので、白焼きから鰻重という後半の流れに至る前にアレコレとつまんで気分を高める。

 





どこの店にもある「うざく」だが、この店のうざくは切り身も大きめで丁寧に仕上げられている感じが嬉しい。やっつけ仕事?みたいなうざくを出す店も多いが、この店で食べると別物に感じる。

 

肝の煮たやつもウマかったし、生ウニとじゅんさいの和えモノも良かった。主役のウナギにたどり着く前にサッパリ系のツマミでウォーミングアップするのも悪くない。

 

続いては築地にある「宮川本廛」だ。前に住んでいた家から歩いていける距離だったので時々通うようになり、今も近くにいるときにはつい寄ってしまう。ここも安定の味が楽しめる。

 


 この店では「お通し」と称する小鉢がいくつも用意されている。私が必ず注文するのがコハダの酢の物だ。これも後半になって食べるウナギとは対極みたいなサッパリさだが、うざくや肝串と一緒に並べて酒の肴にするとバランスが良い。

 



酒の品揃えが少ないのがこの店の弱点?だが、昔ほど冷酒の銘柄を気にしなくなったせいで何とか凌いで?いる。いつも300mlサイズの小瓶を頼んでボケっと飲むのが私のスタイルだ。

 

他にもいろいろな店でウマいツマミを味わった後にメインのウナギと向き合っている。年々、食べられる量が減ってきたせいでウナギの前段階で結構満足しちゃうことも増えた。

 


ウナギを入れた卵焼きの「う巻き」も食べたいのだが、あればかりはどこの店でも結構な量があるので一人メシの際には注文できないのがツラい。同行者がいたとしても白焼きやらその他のツマミを頼むとう巻きまで手が出ないことが多い。そんな時だけは誰よりも暴飲暴食に自身があった昔の自分に戻りたくなる。

 

まあ、何だかんだ言ってツマミ類や白焼きまで食べたうえで最後の鰻重も必ず完食するわけだから、まだまだ私の胃袋は元気である。

 

 

 

 

 

 

 

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