最近、エラソーに世相を語ったり、変わりばえのない食べ物の話ばかり書いている気がする。今日は、路線を変えてみたい。
昔から不思議に思うのは、自然の色彩。とくに生き物のカラーリングの凄まじさにはビックリする。色彩の凄さといえば、鳥や魚がその代表だろう。20年以上前から続けてきた水中写真撮影が趣味の私にとって、魚のカラーリングにはいつも驚かされる。
最初はカリブ海の固有種であるクイーンエンジェルフィッシュをマクロレンズで撮ってみた1枚。このグラデーション、いったい何がしたいのだろう。驚異的なセンスだ。おまけに目玉の周りまで不思議な彩り。おでこの上の方には何やら黒い装飾まで加えている。ド派手だ。でも単純明快に美しい。画像をクリックすると大きくなるので、ナゾの美しさをじっくりご覧いただきたい。
2枚目の写真は、最初の魚の幼魚。パッと見ても同じ種類の魚だとは思えないが、幼い頃の色柄は成長するにつれ大きく変化していく。この手の変身を見せる魚は多い。クイーンエンジェルフィッシュの幼魚の場合、大人の成熟した感じに比べると同じ派手さでも濃厚さが足りないように思う。
続いては、日本でも結構見られるタテジマキンチャクダイ。横ジマなのにタテジマと呼ばれるのは、釣り上げられた時の見え方が理由だ。
この魚も見れば見るほどナゼこんな色柄になのか不思議だ。当たり前だが、同じ種類ならみんなこの色柄。もちろん、縞模様の間隔とかに個体差はあるだろうが、全員がこの姿だ。化粧したり、衣装をまとってるわけではない。身体そのものの色柄がこんなだから驚きだ。
気取ってサングラスをかけているわけでもなく、素の姿で目の周りをカモフラージュするかのように彩っている。でも、鏡なんかないので、自分がどんなに派手なのか理解していないのだろう。
つづいての写真はニシキヤッコの幼魚と、他の魚をクリーニングすることで知られるホンソメワケベラの幼魚。ニシキヤッコも成魚になると雰囲気が変わってくる。もっと妖艶な感じになる。幼魚段階では、まだまだシャープな感じだ。
今まで紹介した魚は俗にヤッコ類と呼ばれ、大半の種類が無意味に派手。ダイバーの間でも人気の魚だが、どちらかというとビギナーが喜ぶ傾向にあり、ベテランになるとあまり見向きもしなくなる。
アマノジャクな私は、クマノミとかヤッコ類を初心者ダイバーのように精魂込めて撮影するのが好きだ。
写真派ダイバーという連中は、すぐに美しくもないレアな生き物に興味を寄せたがるが、それじゃあもったいないと思う。
「珍しくもない熱帯魚の代表」をじっくり観察すると、ファインダー越しに改めてその美しさに驚かされたりして楽しい。
続いては全長8センチほどのニシキテグリ。私の大好きな魚だ。英名だとマンダリンフィッシュ。英名のほうが色柄の雰囲気が伝わる感じがする。
外敵から身を守るために夕方以降に活動を開始し、生息域もサンゴのガレ場。おまけに長い針を持つウニのそばで身を守っていることも多い。「そんなにビビリなら、もっと地味な色柄にしとけばいいやんけ!」とツッコミたくなるほど派手だ。なんでこんな色なんだろう。不思議だ。
お次はやや深いところに住むアケボノハゼという魚。これもニシキテグリ同様、ちっこい魚だがマクロレンズ越しに観察するとレンズの望遠効果で実に美しい色彩が楽しめる。
よく見るとカメラを持った異人の登場に顔をこわばらせているが、色のトーンがなんともお洒落だ。英名はパープルビューティー。キューティーハニーみたいな素敵な響きだ。
最後はミノウミウシ。これも10センチ程度の個体だが、バカみたいに派手。何を目指しているのだろう。今度会ったら聞いてみようと思う。ヒラヒラ動いている姿はなまめかしくセクシーで妖しい魅力に溢れていた。
今日は色彩の美しさを誉めてばかりだったが、実は今回改めて写真を見ながら思ったことがある。
ヒレ酒にしたら凄くマズそうだ。やはり鑑賞用と食用では生きる路線が違うのだろう。
2009年1月19日月曜日
色彩の魔術
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2 件のコメント:
どの記事もいつも魅力的な文面で楽しんでおります。
ア〇ウ太郎の扱き下ろしも、夜の部活動に肝を始とした数々の珍味に美味、どんどん書いて下さいませ…♪
>ヒレ酒に…笑いました。
rinrin様
コメント有り難うございます!励みになります!ヒレ酒、骨酒、、。寒い季節にはこのテのものが抜群です。また変なもの食べたら報告します。
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