2013年2月8日金曜日

ジャングルに行こう


ゴールデンウィークの話など、それこそ鬼が泣きそう?だが、今日はそんなテーマだ。

それにしても、紅白を見たのがつい先週ぐらいの感覚なのにとっとと2月も進行中。こうやって老化が進むかと思うと怖い・・・。

おっと、そんな話ではなかった。

先日、漠然とインターネットでJALマイレージの特典航空券の空席状況を調べてみた。

あくまで参考のために取れるはずがなさそうなゴールデンウィーク時期をチェックしていたら、なぜかシンガポール便のビジネスクラスに空席表示を発見。帰国便は「残席1」だとか。

人間の心理って不思議なもので、「残席1」を見たら何の予定も無いのに予約ボタンをポチッと押したくなる。

シンガポールに用事はない。ましてやタバコを吸ったら罰金、ガムを持ち込んだら罰金など、アホみたいな罰金天国だからちっとも行きたくない。

でも「ポチッ」としてしまった。

う~ん、シンガポールだ。どうしよう。

結局、シンガポールから乗り継げる場所をあれこれ考える。今年は水中撮影に燃えることに決めているので候補地は海方面だ。

20年近く前に行ったきりのモルディブか、はたまたいつものバリ島か、その隣のロンボク島か・・・。さすがにアジアのハブ空港だ。乗り継げばどこにでも行けそうだ。

上の画像のように最近は、部屋中に撮影機材を広げてあれこれ研究に余念がないのだが、そんなことをしながら珍しく真剣に旅先について考えてみた。実は来月にはフィリピンの田舎に綺麗なサンゴとか美しい魚を撮影しにいくつもりだから、ゴールデンウィークの旅ではそれとは変化を付けたい。(遊んでばかりだなどと思ってはいけない)

「綺麗なサンゴと美しい魚」と違った雰囲気といえば、「綺麗じゃない水底と汚い魚」ということになってしまう。

でもそれも悪くない。冗談ではなく、そんなヘンテコな場所に行くことに俄然興味がわいてきた。

候補地はインドネシア・スラウェシ島の北部にあるレンベ海峡だ。シンガポールからダイレクト便で3~4時間、そこからクルマと船で2時間ぐらい行ったところだ。

ここ10年ぐらいの間で一気に世界中から写真派ダイバーが集まるようになったエリアだ。厳密に言えば世界中のオタクダイバーが集まるエリアと言ったほうが正しいだろう。

白砂にサンゴ、色とりどりの熱帯魚というのが南国ダイビングの定番だが、「レンベ」は、そんなリゾートダイビングとは違う「マックダイブ」の聖地。

マックダイブとは、小さい生き物を接写するマクロレンズを使った水中撮影ダイビングと「泥」を意味する「マッド」を掛け合わせた言葉だ(多分そう思う。勝手な解釈です)。

珊瑚礁地帯よりも砂泥地帯がダイビングポイントになっているわけだ。そう考えるとサンゴなど無い伊豆半島で潜るのは、すべてマックダイブという分類なんだろうか。よく分からない話だ。

さて、レンベに話を戻す。

実は私にとってレンベにはちょっとしたトラウマ?がある。

もう20年ほど前になるが、同じくスラウェシ島のメナドを訪れた。メナドといえば、世界的に人気のあるダイビングの名所。高い透明度、ダイナミックな地形、魚影も豊富、サンゴもピッキピキで素晴らしいエリアなのだが、メナド滞在中にレンベ方面がヘンテコで面白いと聞かされた。

メナドからレンベまでは、クルマとボートで2時間程度の距離。スラウェシ島の西海岸から半島を渡って東海岸に出ればいいだけなのだが、なにしろ昔の話である。「そんなトコ聞いたことも無いし・・・」という情けない理由で興味を示さなかった。

その後、何年か経った頃、東南アジア方面で広く普及している専門雑誌「ASIAN DIVER」にレンベ海峡が大特集されているのを発見。掲載されていたヘンテコ生物オンパレードの水中写真に仰天した。

あの時、フロンティア精神を発揮してメナドから遠征していれば、日本人第一号の栄誉?だったかもしれないと妙に悔しく思った。

その後何年経っても「レンベ」の情報は日本では広まらなかったのだが、ここ10年ぐらいの間でいつのまにか「オタクダイバー」の間で大ブレイクしている。

ネットで調べてみると、みなさんヘンテコな毛むくじゃらの魚とかを激写している。実にうらやましい。いよいよ私も「ひとり実地調査団」を結成しなければなるまい。

ということで、ネットサーフィンしながらレンベの滞在先を調べてみた。僻地だからダイビングショップと食事付きの宿がセットになったリゾート(民宿?)を選ぶのが一般的だ。「食う寝る潜る」の完全おこもり型の滞在だ。

今ではそんなダイバー用のリゾート(ペンション?)も10件近くあるようだ。日本人御用達の宿もある。日本語が通じたほうが何かと便利だと思うが、ゴールデンウィークである。オタクダイバー大集結という事態に遭遇すると困るので、あえてそういう宿は避けようと思う。

決して日本人が嫌いなわけではない。むしろ日本人以外は苦手なのだが、「スーパーオタクダイバー」みたいな人が苦手だ。日本人ばかりで群れ合って夜中まで延々と魚の生態話を聞かされても楽しくない。不便だけど日本人に馴染みがなさそうな宿を選んだほうが気ままでよい。

で、見つけたのがここ。


日本語ホームページこそあるものの、日本の検索サイトではこのホームページ以外に情報が一切出てこない点が気に入った。

それでも日本語が出来る現地人スタッフのおかげで細かな質問やリクエストがメールで簡単にやり取りできている。

何よりも魅力的なのは、私一人でボートも水中ガイドもチャーターして毎日無制限ダイブをアレンジしてくれるという点だ。これならヘンテコ毛むくじゃら魚の写真も思う存分撮れそうだ。

レンベエリアの中でも、ここは最も外れに位置しており、エアコンも無いし、周囲はどうやらジャングルだ。

ただ、その位置関係のせいで、レンベの特色である砂泥地ダイビングだけでなく、少し移動すれば白砂にサンゴの一般的な「爽やか潜水」も楽しめるらしい。

良いことばかりだが、英語力が野良犬の遠吠え以下のレベルしかない私にとって、ダイビング以外の時間が課題ではある。

宿の規模はコテージが8つ。ゲストは多くても20人になるかならないか。だから夕食はゲスト全員で囲むらしい。ちと難問ではある。

銀座のクラブではっちゃけている時のようにペラペラ調子のいいことを英語で喋るのは無理な相談だ。

きっと私は高倉健のような寡黙な男に変身するはずだ。

多分、西洋人達からは「アイツはサムライなんだな、きっと」と思われるぐらい物静かな人として過ごすことになるだろう。

そして、毎晩一人で話し相手もいないまま、その日撮影した画像をニタニタ眺めているのだろう。おっと、それって私が苦手としている「スーパーオタクダイバー」そのものではないか。なんか本末転倒だ。

それにしてもゲストみんなで夕食を囲むっていうスタイルは、それこそ民宿でもペンションでもなく、ユースホステルみたいだ。少し憂鬱だ。

でも、勢い込んで仮予約してデポジットも支払ってしまった。

ホントに行けるのか、ホントに行くのか。私自身興味深い。

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