最近はシケた話ばかり書いているような気がするので、今日はちょっとだけ贅沢な話を書く。
贅沢といっても私の場合はタカが知れている。富豪などと名乗っていても、あくまで富豪を目指しているだけである。
ファーストクラスでパリに飛んでジョルジュサンクを定宿にするようなリッチマンではない。ファーストなんて航空会社の手違いか乗務員の手引き?で乗ったことがあるぐらいだ。
五つ星のホテルも物価の安いアジアでシーズンオフのダンピング価格で泊まるのが関の山である。国内の温泉なら露天風呂が付いている部屋に泊まるぐらいの贅沢はするが、支払いのたびにピーピーしている。
まあそれでも、見る人から見れば充分に贅沢な話である。新聞広告に載っている激安ソウルツアーとかに混ざってみたい気もするが、なんとなく敬遠する程度には余裕はある。
さてさて、最近の贅沢は飽きるほどフカヒレを食べてゲップしたことである。
大衆中華料理店ではなく、フカヒレの姿煮で評判の高い赤坂維新號で堪能したのだから結構贅沢である。
自分なりに嬉しいことがあった日にはウマいものが食べたくなる。
嬉しいことがなくても寿司やウナギを嬉々として食べているのだが、なんとなく心が躍るような時には、スペシャルな食べ物が欲しくなる。
とある日、そんな気分の私の脳裏に浮かんだのがフカヒレである。フカヒレそのものというより名店・維新號の姿煮のとろみのあるスープが無性に味わいたくなった。
この日訪ねたのは銀座新館。まずは蒸し鶏や海老料理などをツマミにして熱めの紹興酒にザラメを入れてグビグビ飲む。至福の時間である。基本的に和食党なのだが、時には「中華飲み」も悪くない。
エビチリ、エビマヨの気分ではなかったし、食べたくもない野菜と一緒に炒められたエビは有難くない。ということで、ワガママを言って海老と黄ニラだけで調理してもらった。
シンプルな海老料理は酒のアテにバッチリである。酒が進む。
で、姿煮がやってきた。オーダーの際に大きさを聞かれて、悩まずに「大きいヤツ」と暴言を吐いてしまった以上、すべてを平らげないといけない。
画像に写っているグラスや醬油差しと比べるとフカヒレのテンコ盛りな感じがおわかりいただけるだろうか。
最近、小食気味だからちょっとたじろぐ。値段にもちょっとたじろぐ。
でも、「たじろぐ」ことこそ贅沢の極みだろう。フカヒレの姿煮の量にたじろぐ場面など人生でそうそう無いと思う。
ドロっとしたスープがウマい。固形物じゃないのに酒のツマミとして大活躍である。紹興酒と組み合わせれば天国だ。
フカヒレもガッツリ食べる。でも減らない。食べても食べてもフカヒレが攻めてくる感じ。贅沢な気分になる。
そりゃあ100円マックを100人に御馳走できる値段だから間違いなく贅沢だ。いつもピーピー言ってる私だが、思い込んだらついつい散財してしまう。
ちなみに私は昔から童話「アリとキリギリス」が大嫌いである。老後の暗示に思えて恐ろしくて仕方がない。
でも、高いとはいえ、高級ステーキ屋でハヤりの熟成肉を仰々しく出されるよりは安い。大衆居酒屋に若造2,3人連れていって飲ませるよりも安い。
フグを食べに行ってももっと高いし、それなりのフレンチで大してウマくもないコース料理を食べるよりも安い。
行ったことないが錦糸町や亀戸のスナックで飲むより安いはずだ。
池袋のセクキャバだって調子に乗ってたら御勘定はこのフカヒレより高くなる。
そう考えると、贅沢だ贅沢だと書いてきたが果たしてそうなのだろうか。池袋のおっぱいパブに行くほうがよっぽど贅沢という理屈になる。
う~ん、なんだか屁理屈大会になってきてしまった。
話を戻す。
なかなか減らないフカヒレを前にしばし考える。物凄く美味しいのだが、正直言って少し飽きてきた。
ということでメシである。小どんぶりに白米を盛ってきてもらう。せっせとフカヒレ丼を制作してみる。米ラバーである私としてはこの食べ方が最上の幸せだ。
コメは偉大である。少し飽きが来ていたフカヒレが特製どんぶりに変身したことで再び輝き始める。「山盛りのフカヒレをご飯に乗っけてかっこむ」。これまた贅沢である。
店の人に「優雅な食事ですね~」と突っ込まれて恥ずかしかったが、人様に後ろ指?さされるぐらいじゃないと贅沢とは言えない。
結局、「非日常的な行為」のことを贅沢と呼ぶのだろう。
非日常的なもので贅沢気分を味わうのなら、何も高価という部分だけにこだわる必要はない。たとえば牛丼だってアレンジ一つで贅沢品に変身する。
牛丼の特盛りに更に追加の牛皿をトッピングして、超特盛りになったところで生卵の黄身を二つほどブチかけたら物凄く贅沢な気分になれる。
いかんいかん、せっかくフカヒレという富豪っぽいネタで書き進んだのに、結局は松屋ネタになってしまった。でも、「スペシャル超特盛り牛丼」は絶品なのでゼヒお試しを。
2 件のコメント:
いいですねえ、贅沢。僕もこの間、漱石先生1枚の値段をしたカラスミを注文するかどうか迷いましたが「今日は贅沢しよう、贅沢だ。」と自分に言い聞かせて注文しました。うまかった!でももったいなくて、いつもの倍くらい時間をかけてお酒を飲んだ事は内緒です。
道草人生さま
上等なカラスミで一献なんて最高ですね。
その快感に少なからずコストをかけるのは大いにアリだと思います。
きっと脳から身体に良い物質が出ていたはずです!
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