周期的に寝付きが悪くなる。理由はさまざまだが、そんな時期はしっかり飲んで帰ってもなかなか寝られない。
眠気を誘うためには読書である。小難しい仕事絡みの本を読めば5分もあれば寝られそうだが、そんな苦行はゴメンだ。
適当な短編を中心にひとときの読書タイムに励む。パソコンやスマホを眺めていると光の刺激で脳が活性化するらしいから、電子書籍は避ける。あくまで紙である。
老眼鏡よりハズキルーペを使うことが増えた。老眼鏡はピントを合わせるだけだが、拡大鏡なら文字が大きく見えるからラクチンだ。
最近読んだ中で面白かったのがこの二つ。両方とも10年以上前の作品。短編だが、いわゆる連作形式で、一つの大きなテーマに沿って複数の話が盛り込まれている。
「千年樹」は文字通り、樹齢1000年の大木の元で繰り広げられてきた人間ドラマの話。ちょっとオカルトというか、ファンタジーの要素もある。
「終末のフール」は、数年後に地球が滅亡することが確定した中で起きる一般市民の日常の話。
地球滅亡などと聞くと突拍子の無い設定だが、あくまで残された時間が決まってしまった人間の生き方に焦点があてられていて興味深かった。
イマドキは本屋さんに行かなくても読みたい本が簡単に見つかる。「オススメの短編」といった感じでネット検索すれば、いくらでも情報が出てくる。
グルメサイトと一緒で、クチコミを参考に出来るのも助かる。大ざっぱな中身も分かるし、何よりほとんどが翌日に配達される。便利この上ない。
こういう本をめぐる環境の変化も平成という時代のトピックスだったと痛感する。
話を戻す。
いつも色恋を考えている?私としては中高年のそんな話が巧みに描かれている本に出会うと妙にワクワクする。
今年初めにNHKのBSで「モンローが死んだ日」というドラマをやっていた。妙に面白くて夢中になって見たのだが、この原作が小池真理子さんだった。
そのせいもあって、最近は小池真理子作品を集中して読んだ。世の中の高齢化にともなって、令和の時代は中高年の色恋がよりクローズアップされるはずだが、こういうジャンルを描かせたら天下一品だと思う。
ダンナさんである藤田宜永さんとは、ひょんなことから銀座で一緒に飲ませてもらったことがある。ダンディーなオジサマだった。藤田作品も中高年の色恋を味わい深く描いている。
つくづく希有なご夫妻だと思う。ふたりとも直木賞作家だ。才能と才能がぶつかり合って暮らしているわけだから、退屈しないだろうなあなどと勝手に想像している。
こちらは最近読んだ藤田宜永さんの本。気ままな独身中年男と不思議な感覚を持つ若い女性とのアレコレを描いた話。短編ではないが、サラッと読める分量だった。
男の身勝手さと幼稚性になんとなく共感してしまった。男にとって嬉しくない結末が実にリアルで面白かった。
面白い本に出会うとどんどん先が読みたくなって頭が冴えてしまうのが困りものではある。
睡眠導入用に本を開いたつもりが、面白かったら読後の興奮でベッドからモゾモゾ起き出してタバコを吸ったりして目が覚めてしまう。
まあ、それも悪くはない。
今度の10連休は旅先に本をいっぱい持ち込んで読書三昧と洒落てみようかと思っている。
2 件のコメント:
もう20年以上前のことですけれど、
小池真理子さんの『恋』を読んだ時の衝撃は
今でも覚えています。
由乃さま
コメントありがとうございます。
「恋」は名作ですよね。端的に「美しい」という印象が強かったです!
コメントを投稿