今の世の中、マズい食べ物にあたる機会はあまりないが、先日、ウーバーイーツで頼んだ豚丼のマズさに衝撃を受けた。
店の名前は書かないが、辛い豚丼がウリらしく、とりあえず普通の豚丼と辛い豚丼の2つを頼んで味比べてしてみた。
普通の豚丼は何とか普通だったが、辛いヤツがダメ。味覚なんて人それぞれだが、あれは誰もがマズく感じる味だ。辛いだけで豚肉の旨味なんかどこかに吹き飛んでいた。敗北感バリバリだった。
いい歳して若者の世界を覗こうとした私の失敗だ。田村正和ならきっと頼まない食べ物かもしれない。やはり大人は大人らしくが基本である。
やはり、酸いも甘いも噛み分けた大人としては間違いのない美味しい食事をしたい。
というわけで、またぞろウナギを食べに出かけた。ウナギなら田村正和もうなずいてくれるはずだ。
最近は、中央区界隈でしかウナギを食べていなかったので、久しぶりに文京区まで遠征してきた。小石川にある人気店「わたべ」。駅としては春日駅が近い。3年ほど前に一度だけ訪問したことがあるが、評判通りに上質のウナギを味わえた覚えがある。
おとなしくノンアルコールビールでスタート。レバ焼き、肝ソテー卵黄がけ、う巻きである。酒が飲めれば美味しさも三割増しだろうが、こればかりは仕方ない。
この店、いちいち仕事が丁寧なのが有難い。温めた器を使い、料理を運ぶタイミングにもしっかり目を配ってくれる。
う巻きは私好みの甘い卵焼きではなく、だし巻き卵にウナギが包まれている感じ。これはこれで京都のう巻きみたいで悪くない。
前に来た時、この店では白焼きには身山椒を添えて提供するスタイルが印象的だったのだが、どうやらこれが店の定番のようだ。
白焼きにはわさび醤油が欲しくなるが、この店の白焼きは塩加減が絶妙だから粒の山椒の身と合わせるだけでウマい。
適当なサイズに切った白焼きに2,3粒の山椒を乗せて口に放り込む。ウナギのジューシーさが広がると同時に噛めば山椒の風味が弾ける。大人の楽しみとはこういうことだと痛感する。
特上の鰻重がこれまた絶品だった。ホワホワした食感、焼き加減、スッキリしたタレが高い次元で融合!している。
最近、蒸さずに焼く地焼きウナギが少しずつ東京にも勢力を伸ばしてきているが、やはり東京人としては蒸したウナギこそウナギの王道だと感じる。
専門店の特上鰻重ともなると今や5千円超えは当たり前になってしまった。都心部になると6~7千円も珍しくない。
日本橋の某店では特上の上に位置する極上鰻重が年々値上がりして今では一人前9千円になってしまった。
その点、こちらの店は特上でも4400円である。ウナギは肉厚で量もご覧の通りギッシリである。良心的だと思う。
一品料理や白焼きも堪能するならボリュームとしては3500円の上鰻重で充分かもしれない。名店と呼ばれるウナギ屋さんの中では割安感がある。
コロナ禍の中でお店は大変だろうが、客としては以前より予約が取りやすいのは有難い。文京区在住の頃にもっと頻繁に行けば良かったと後悔した。
店内も綺麗で風情があり、しっぽりウナギを堪能するにはとても良い店だと思う。大手を振ってお酒も楽しめる日が来れば再訪したい。
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