2024年10月9日水曜日

学生野球と推し活の心理

 

米・メジャーリーグのポストシーズンでは日本人選手がバリバリ活躍している。昔の日本野球を知る昭和の人間からすれば夢のような話である。

 

野球を好きになって半世紀。長島の引退試合をテレビで見たあたりから野球少年になった。以来、週刊ベースボールを毎週熟読して王貞治物語みたいな伝記モノも読んだ。

 

当時、メジャーリーグといえば異次元の世界だった。漫画の名作「巨人の星」では誰も打てないような魔球を「大リーグボール」と名付けていたが、あのネーミング自体がアチラとの距離感を表していたのだと思う。

 

今のようにメジャーリーグ中継があったわけではないから、向こうの野球事情を知る由もなく少年の私は日本の野球に夢中だった。一番好きだったのは巨人の高田選手だった。

 

高田選手は私が野球好きになった頃には既にスター選手だった。そのせいか、なんとなく出遅れ感?は否めずに必死に若手選手や新人の中からお気に入りを探そうと頑張り、淡口選手なんかをマークしたのだが、結局は高田選手のカッコ良さにしびれていた。

 

その後、一からその選手が成長していく姿を見るのが楽しくなった。アマ時代から見ていた選手がプロで大活躍するのはストーリーとして面白い。アマのスターからプロでもスターになる選手、名前ばかり先行してプロでは大成しない選手など、一種の人生劇場みたいに眺めていた。

 

アマ時代からその後の成長を時系列で見られた最初の選手が原辰徳だったと思う。東海大相模で甲子園に出場、大人気になり、その後は東海大でも活躍して、確か神宮大会では法政の江川からホームランを打った記憶がある。その後、巨人に入って高田選手の後任として背番号8を背負い、最後は日本代表監督にまで上り詰めた。昔から見ていた側としては感慨深い。

 

私の子供時代に甲子園で活躍した選手のことはずいぶんと記憶している。初期のPL旋風当時の西田・木戸のバッテリーは揃って法政に進みお互いプロでも活躍した。あの頃の法政には広島で活躍する小早川もいて常勝チームだった。

 

プロ野球選手になるという子供の頃の夢はこの頃にはまるで無謀な戯言だと実感するようになっていた。牛島・香川の浪商バッテリー、報徳・金村投手、横浜・愛甲投手などのふてぶてしい感じにおののき、早実・荒木大輔のキレっキレぶりに畏怖を覚えた。

 

それぞれその後はプロでそれなりに活躍したわけだからたいしたものだと思う。当時、甲子園を騒がせた有名選手でも長崎海星のサッシーこと酒井投手、横浜商業のジャンボ宮城投手などプロでは活躍できなかった選手も大勢いた。一軍でレギュラーになっただけで凄いことだと思う。

 

その後、池田高校の水野や清原、桑田、その後の立浪などのPL勢など高校生時代を見ていた選手がプロでスターダムに登っていく姿を見るのは楽しかった。もっと無名な選手でも選手名鑑などで「あー、あの時のアイツか」と知るのはちょっと変わった野球の楽しみ方としてオススメだ。

 

Wikipediaでは過去100回ほどの甲子園における試合詳細や主な出場選手が見られるからたまに暇つぶしに覗いている。

 



東京六大学は私自身が大学時代の頃に何度か観戦した。当時は早稲田が低迷しており、法政と明治が抜きん出て強かった記憶がある。法政では左腕・猪俣(阪神)がいつでも勝っていた記憶がある。明治では竹田(大洋)、広沢(ヤクルト)、福王(巨人)がバリバリで、立教には長嶋一茂、慶応ではプロ入りを拒否してサラリーマンの道を選んだ志村が奮闘していた。

 

こんな思い出話を書いていてもキリがないのだが、今年は夏の甲子園にも行き、六大学野球もマメに観戦しているので、今後プロに入って活躍する選手を“青田買い”みたいな気持ちで見ているのが楽しい。

 

夏の甲子園で印象に残ったのは花咲徳栄の石塚選手、健大高崎の箱山選手、早実の宇野選手あたりか。現地で双眼鏡を駆使して必死に観察してみたが、皆さん太ももが半端なくパンパンで高校生らしからぬ力強さがあった。未来の侍JAPAN戦士になってくれたら私の観察眼を世間に自慢できるから頑張ってほしい。

 


 

大学野球では明治の宗山選手がピカ一だろう。今年のドラフトでは一位指名の競合が確実視されている。獲得した球団は「向こう15年はショートに困らない」と言われるほどの逸材だ。

 

実際、何度も宗山選手のプレーをナマで見たが、素人目に見てもモノが違う。やや線の細さはあるが、走攻守すべてに無駄な動きがなく、変な表現だが打撃も守備も美しいという表現が的確だ。

 

先日の観戦中もカメラを向けたらいとも簡単にホームランを売った。無理に強振するわけでもなく美しいホームランだった。守備の巧みさもyoutubeに山ほど投稿されているので興味のある人はご覧いただきたい。

 


 

個人的には今年のドラフトでどこの球団に行くのかとても楽しみだ。次回のWBC、もしくはその次の大会では日本の中心選手になっていると思う。

 

日本全国城巡りとともに全国各地の学生野球観戦が私の老後の趣味の有力候補である。マメに観戦して次世代のスター選手を無名な段階で発掘してみるのは地下アイドルを必死に応援するオッサンたちの心理に似ている。一種の推し活だ。

 

 

 

 

 


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