新宿の沖縄料理屋でビックリするほど欽ちゃん(萩本欽一)そっくりな人を目撃した。どこから見ても欽ちゃんだ。目元、口元、髪型までそのまんま欽ちゃん。でも別人。他人のそら似にしても度を越していた。
小料理屋ほどの大きさの店だったので、欽ちゃんが入ってきた途端に店中の視線が集中。不思議なことに欽ちゃんは和服姿で難しい顔をしている。
店にいた私は、耳をダンボにして欽ちゃんの話に聞き耳をたてる。ところが、まったくの別人。声と話し方が完璧に違う。欽ちゃんの顔からまったく別人の声が出ている光景は不気味だった。
なぜこんな話を書いたかというと、多くの人が言ったり言われたりする「誰それに似てる話」が、私の場合どうも最近エスカレートしているから。
私は「船越英一郎」らしい。1週間に3回ぐらい言われることもある。2時間ドラマの帝王であり、一応、悪者キャラとかイジメられるタイプではないのでその点は有難い。
以前、田舎の温泉宿で方言バリバリのお婆さん軍団に「アレま、船越さんがおるよ」と追いかけ回されたこともある。真剣に本人だと思われた。否定すればするほど船越疑惑がエスカレートして心底まいった。
どうしてお婆さんという種族は、思い込んだらトコトン突き進むのだろうか。。
最近では、私の娘までテレビに映る彼を見るたび「パパ・・」とか言っている。
確かに似たような系統の顔なのだろうが、自分ではそこまでソックリだとは思っていないのだが。
でも、何かの番組で彼の大学生時代の写真が紹介された時、私は少し複雑な気分だった。その写真、私の大学生当時とソックリだった。
夜の街では、話題に乏しい初対面のホステスさんが、いきなり私の顔を見るなり、船越話を始める。こっちだって、初対面の女性にしょっちゅう「こんにちは船越です」と挨拶してウケを狙うこともあるから仕方ない。
バリバリの二枚目路線ではない船越ならば、似てるとか似てない話も他愛ないものだ。
よく「エビちゃんに似てるって言われるんです」とか「わたし、山田優ちゃんに似てるらしいです」とか真顔で語っている人々がいるが、あういう図々しいウソは問題だ。
私だって若い頃は今より20キロぐらい体重が少なかったし、髪もふさふさだった。「ガッチャマン」に似ていると言われたほどシャープな輪郭だった。
図々しく二枚目タレントに似ていると言われて調子に乗ったこともある。
キザに目覚めた思春期の頃、キザゆえに「沖雅也」と呼ばれたことがある。もちろん、私はあんなに整った顔ではない。でも「太陽にほえろ」でスコッチ刑事に扮していた沖雅也は純粋にダンディーだったので、ちょっぴり嬉しい気分だった。
しかし、直後に彼は自殺。そして同性愛オヤジとのスキャンダルで持ちきりになり、私も急きょ、そっち系統のあだ名(“日影さん”“涅槃”等々)がつけられてしまった。
それ以外にも中学生の頃、金八先生に出ていた「沖田浩之」に似ているという話になった。全然似ているとは思わなかったが、ドラマの中のエラソーな態度が中学生時代の私と共通していたのかもしれない。
なんだかんだ言って彼はアイドルだった。「E気持ち」という実にビミョーな名曲もヒットした。似ていると言われたことは喜ばないといけない。
でも年増女優とのスキャンダルやスッタもんだの末、やっぱり自殺してしまった。
今はただ船越英一郎が元気でいてくれることを願う。自殺なんて事態になったら何とも不気味な連鎖だ・・・。
変なスキャンダルとか変な宗教にのめり込んでワイドショーを騒がすようなことも避けて欲しい。必ず、飲み屋でネタにされるだろうから、私としては陰ながら彼のさりげない活躍を願うしかない。
ちなみに自分の老後を思い描く時、ついつい私が思い描く私自身の顔がある。英一郎の父親である「故・船越英二」だ。
水谷豊主演のいにしえのドラマ「熱中時代」の校長先生だ。まああんなに洒落た年寄りになれたら本望だが・・。
2009年6月8日月曜日
似ている人
ラベル: 世相
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