幼稚園から高校まで通った学校と目と鼻の先ということもあって、神楽坂には妙な思い入れがある。最近は、少し観光地的な要素が出てきてしまったが、個人的に“東京人のための東京”というイメージがあの街にはある。
神楽坂駅と飯田橋を結ぶ通りを中心に独特の風情が漂う路地がいくつもある。一時期、夜の神楽坂をフラフラ呑み歩くことにはまった時期もあったが、“渋い系”を愛する人にはたまらない店がいくつもある。
数年前、テレビドラマの影響でワンサカ人が押し寄せたので、ちょっと足が遠のいたが、今でも好きな街のひとつだ。
先日、久しぶりに赤城神社近くにあるイタリア料理「ステファノ」を訪ねた。普段、西洋モノを喜ばない私だが、この店は特別。今まで一度たりとも不満に感じたことがない。和洋折衷のこの街に溶け込んでいる名店だ。
最近はすっかり和食一辺倒になった私だが、若かりし頃は、むしろ和食を有難がらずに外食といえば焼肉かイタリアンばかりだった。
当時評判だった都内中心部のイタリア料理屋にも随分通った。それなりにウマいマズいは分かるつもりだ。神楽坂「ステファノ」は間違いなく美味しい店だと思う。
ひょんなことからオーナーさんとのご縁があって3~4年前に初めて訪問した。個人的な経緯のせいでひいき目に言うのではなく、素直に何を食べても美味しい。端的に表現すると「センスの良いプロが誠意を込めて丁寧に作った味」。
お店の大きさはトラットリアにありがちなサイズだが、リストランテを標榜する。実際、アレコレ食べてみればその奥深さが痛感できる。
フランス料理ではないので、表現が的確ではないのだろうが、ギャルソン君の優秀さもこの店の特徴のひとつだろう。その日のオススメ、客の希望を混ぜ合わせて、柔軟にメニューを組立ててくれる。
種類豊富なメニューはあるが、彼とやり取りした上で選んだほうが楽しい。無知な人には親切に、詳しい人にはそれなりに、全体のバランス、組み合わせを考えながらメニューにないものも柔軟にオーダーできる。
人当たり抜群の彼のファンはきっと多いのだと思う。カギになるスタッフの存在が店の居心地を大きく左右する見本だろう。
もちろん、いわゆるお馴染みさん相手でなくとも、柔軟にメニューをアレンジしてくれる。オーナーの姿勢なのだろうが、そういう柔軟さがごく普通のことになっている。それ自体が上等なサービスだろう。
まあ、高級レストランであれば、柔軟性が求められて当然ではある。ただ、この店の場合、お客さんを心底楽しませようとする店側の気配りが感じられるので実に気持ちのいい時間が過ごせる。
この日、前菜には、サラダ仕立てになっている丸ごとの毛ガニを頼んだ。カニ好きな私にとっては、イタリアンで毛ガニのミソを堪能できたので万歳。
ほぐした身がさほど味の強くない香草とレモンで味付けされている。鮮度の良いミソもトッピングされており、これも混ぜ合わせればカニ好きオヤジもニンマリ。スパークリングワインが生ビール並みの勢いで進んでしまう。
パスタは、スモークした白身魚を載せたトマトベースのショートパスタと、自家製ソーセージを多用した肉ガッツリ系のスパゲッティを半分ずつ。文句なし。プロの味。
チーズだけで作ってもらったリゾットも食べる。くどいものが食べたい気分ならこれに勝るものは無し。数種類のチーズのミックスだろう。複雑味と歯ごたえがバッチグーで、スパークリングワインはずんずんと私の食道を通過する。
メインは勧めてもらったウサギ肉。火加減、ソースの味ともに不満はゼロ。相変わらずスパークリング攻撃は続く。結構酔う。
デザート?にまたまたパスタを追加注文。こういうことをしているから私の体型は立派なままだ。
でも甘いものを食べる余裕があるのなら、この日食べ損ねたオリーブオイル系のパスタを是非追加したかった。。。恥を忍んでオーソドックスにアサリのスパゲッティを追加。
ヒッヒッヒ!
ギャルソン君の話を聞いているとついつい凝った料理を注文したくなるが、レベルの高い店だとシンプルな一品がたまらなく美味しい。このアサリスパも抜群でした。空腹だったら3皿ぐらいは飽きずにいけそうだ。
こちらのオーナーさんは、北イタリアの出身。大げさなアクションと大声を張り上げる闇雲にラテン系なイタリア人ではなく、知的で大人な優しい紳士。「ベルルスコーニ」みたいなタイプでもない。その点も魅力的。
炭水化物好き、タンスイカブラーな私が以前から考えているのが、前菜もメインもいらないからパスタやリゾットをひとりで5種類ぐらい注文すること。
そんな非常識でふしだら?な計画は、こちらのオーナーさんの真摯な表情を見るとついつい言い出せない。
2009年6月11日木曜日
神楽坂 ステファノ
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2 件のコメント:
二時間ドラマの帝王こと、富豪記者様
イタリアンにおいてのギャルソンさんの良し悪しってとりわけ重要な鍵だと感じます。
仕事柄、体型維持の為に低炭水カブラーな私が御一緒させて頂ければ、ベルルスコーニ風ではないオーナーさんも一層歓迎して下さると思います!(^^)!
炭水化物に気をつけていらっしゃるとのこと。さぞやブリリアントな?体型を維持されていると推察いたします!
生まれ変わった時に望むことは、「太らない体質」。この一点です・・。
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