ひょんなことで先週の平日、温泉宿で1泊する機会があった。伊豆の伊東で会社関係のヤボ用があったので、どうせなら泊まってしまおうと企んだ。
ここ数年、“一人温泉”が妙に好きになった私だ。伊東ではかつて「いずみ荘」、「青山やまと」に出かけた。サウナがある宿が条件なので選択肢は限られる。
行ったことのある宿にするか、初訪問の宿にするかチョット悩む。「陶心庵米屋」と伊豆高原側の「坐漁荘」を候補にした。平日なので割増料金を払えば一人でもウェルカムらしい。
こういうことを悩んでいるうちが旅の楽しみだ。ウジウジ決めきれないのが楽しい。そうこうしているうちに“面倒くさがり病”が頭をもたげる。
チェックアウト後に出社することを考えると東京に近いほうがいい。なんだかんだ悩んだことはまったく無意味となって、結局熱海に足を向けた。
熱海では「大観荘」だ。もう5回ぐらい行っただろうか。文句をつけたい点もあることはあるが、私にとって妙に居心地が良い宿。メシ良し、風呂良し、サウナ良し、眺めや庭の感じもいい感じ。
最近ハヤリの格好いい和モダンの高級旅館にも興味はあるが、やはり伝統が醸し出す雰囲気はポッと出の宿とは一線を画す。
客層もミーちゃんハーちゃんはいない。大声で携帯と話しているテカテカした御仁もいない。のんびり現実逃避するにはバッチリだ。
部屋も広く、海の眺めも気持ちがよい。各部屋にはマッサージチェアもある。気取らずにジジイムードに浸れる。
古いだけでなく、適度なリノベーションもしっかり行われていて、昨年には個室食事処が誕生。これはこれで効率的。部屋に臭いが残らないし、布団敷きのタイミングも気にならない。
大観荘の食事は安定感がある。奇をてらった創作料理みたいなものは無い。キチンとしたマトモなメニューが揃う。前菜類もマトモ、刺身もマトモ、お吸い物もマトモ。こういうマトモさは結局、客に対する誠実さだ。
牛肉と蕨の小鍋仕立てもカキと白身魚の南蛮漬けも味付けの加減が至極マトモ。ミョウガの酢漬けなんかも酢加減がバッチリ。ちゃんとした料理人がちゃんと作ってるんだと思う。
ちょっと誉めすぎか。まあ悪く言えば「印象に残らない味」とも表現できる。そうは言っても「印象に残らない味」ってある意味誉め言葉かも知れない。変にインパクトの強い料理が苦手な人なら満足できる。
シメのご飯は春っぽいちらし寿司。デザートはそのまんまのイチゴ、キウイに少量のヨーグルトムース。ゴタゴタしたスイーツが苦手な私にはそういう単純さが良い。
朝飯しかり。丁寧に味付けされた味噌汁、温かいまま供されるアジの干物、たらこ、蒲鉾、小鍋の湯豆腐、ひじき、漬け物、そのほか諸々。何だか分からない食べ物がまったくない。とはいえ、それぞれの味付けや素材が上等だから実にホッコリする。
単純を貫くことは基本的なレベルが高水準だからこそ可能なんだと思う。
やっぱり少し誉めすぎだ。あえて悪く言えば、旅行に「ハレの日」的な高揚感を求める人には地味すぎる宿かもしれない。
肝心の温泉は大浴場が3カ所。それぞれにサウナが併設されている。これって貴重だ。3カ所とも昔ながらの高温ドライサウナ。ミストサウナとか低温サウナとかインチキみたいなサウナじゃないことが私にとっては最高。
遠くに海の絶景が眺められる貸切の露天風呂も3カ所。そのほか私のお気に入りが「温泉床」。蒸し風呂みたいなものだ。
スノコの上で横になる。下には熱い温泉が流れていて湯気が心地よい。顔だけ外に出るような形のかまぼこ形のカバーをかぶせられてローストされる。いや蒸される。
iPodを耳に入れてしばし蒸される。砂蒸し風呂のような感じだ。ジンワリ温まって15分もするとビシバシと発汗。基本は30分だが、15分ほど延長してもらう。
蒸しすぎで、すっかり余計な脂を落とされた鶏肉のような気分になれる。そういう気分になりたい人にはオススメだ。
なんかダラダラ書き殴ってしまった。それにしても平日の温泉宿はノンビリできる。やはり命の洗濯は平日に限る。
2010年3月15日月曜日
熱海
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1 件のコメント:
今度熱海に行かれたら、中華の名店「壹番」に行かれてみてはいかがですか?
すごく美味しいですよ!
http://www.ichiban-atami.com/
是非おすすめです。
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