2013年3月25日月曜日

モアルボアルの旅 ワイドアングル


昭和の頃から水中写真を趣味にしてきたが、いまではコンパクトデジカメ、通称コンデジが発達して、各メーカーが防水ケースも発売するようになり誰でも綺麗な写真を撮れるようになった。

隔世の感がある。タンクの重さとか、潜水機材の使い勝手とかは特別進化したように思わないのだが、撮影面に関しては物凄い進歩だ。

いま、というか、ここ10年以上、我々素人写真派ダイバーの世界で主流になっているのはマクロ撮影である。一眼カメラにマクロレンズを装着するか、コンデジのマクロ機能を使うなりして、小さい魚を近接撮影するパターンだ。


ウミウシとかイソギンチャクに潜む小さなエビやカニあたりの動きの少ない被写体を撮影して、肉眼で見るよりもヴィヴィッドな色彩を楽しむ感じだ。

ピント合わせの難しさもあって、バッチリ撮れた時は、ハンティングに成功した時のような快感がある。

被写体まで近づいて撮影するため、海の透明度や浮遊物の影響を比較的受けにくいのもマクロ撮影がポピュラーな理由だ。

私もスーパーオタクダイバーのように時に這いつくばって息を殺し、30分ぐらいまったく動かず肩凝りになってまで小さな魚と格闘?することが多い。

それはそれで楽しいのだが、やはり海の雄大さというか、今自分が漂っている綺麗な世界を画像に残したい気持ちが強くてワイドアングルの写真に強く惹かれる。

それこそ30年近く前に本屋さんで立ち読みして衝撃を受けたダイビング雑誌のグラビアが超ワイドアングルの一枚だった。真っ青で綺麗な水中景観を写し出していた写真に強く引き寄せられた。

水中では光の屈折率の関係で陸上よりもカメラの画角が狭くなる。陸上で比較的広範囲を写し込むレンズも水中では面白味のない標準画角に留まる。

そのため、画角180度ぐらいのフィッシュアイレンズとか、同様の効果を持つコンバージョンレンズを装着して撮影する必要がある。

★画像クリックで拡大表示されますので大きくしてご鑑賞下さい。



ただし、これらのレンズは被写体まで遠くても1メートルぐらいに近づかないとボンヤリした画像になる。具体的にはレンズから30センチぐらいの距離に中心になる被写体を置いて、周辺の広がりを写し込むパターンが望ましい。

超広角ともなると、カメラを格納する防水ハウジングから延ばしたストロボアームが写り込んじゃったり、自分の足ヒレの先が写り込んだり、意外に厄介。そこそこ透明度が高くないと海の青さが綺麗に出ないし、簡単そうで会心の作品が撮りにくいのも確かである。

今回行ってきたMOALBOAL(モアルボアル)は、成田から直行便で4~5時間で到着するセブ島にある。安・近・短の代表のようなセブ島だが、モアルボアルは空港から3時間ぐらい移動する。そのおかげで素晴らしく美しいサンゴが至るところに残されている。




この地を訪れるダイバーは、沖に浮かぶペスカドール島という無人島周辺で回遊魚や大物を狙ったり、その他のポイントではレアの小物を狙うマクロ撮影に精を出す人が多い。

というわけで、水深3~5メートルの浅瀬に広がる素晴らしいサンゴの上を漂うような物好きは少数派だ。

今回の旅では1週間滞在して都合24回も潜った。そのぐらい余裕があると、ガンガン潜ってばかりではなく、ただサンゴの上を漂うホゲホゲダイビングも混ぜられる。

「最大水深5メートルでサンゴだけを1時間堪能する」。いまどきのダイビング事情に背を向けたアマノジャク潜水みたいだが、これが結構楽しい。

今回が進水式だったオリンパスのコンデジ「TG-1」にフィッシュアイコンバージョンレンズを付けて遊んだ。カメラ本体のズーム機能を使えば、画角を狭めることも簡単だから、サンゴの上を舞う魚を撮影して「気持ちよい系」の写真をたくさん撮った。






今回、私にとって衝撃だったのは、コンデジの「水中ホワイトバランス」という機能。オリンパスが妙に力を入れている機能なのだが、ストロボ無しで充分に色再現をしてくれる。

水中写真は例え水深5メートルぐらいでも普通なら青かぶりしてしまって、被写体の色が再現されない。ストロボは必須であり、超広角レンズを使う場合は左右2灯が常識である。

上に載せた4枚連続の画像はストロボ無しで撮影。正直驚いた。そんな機能があるとは知っていたが、話半分ぐらいの認識でいた。なかなか凄い。前回アップしたジンベイザメの画像もそうなのだが、いとも簡単に綺麗な色が表現される。

ストロボの角度などを気にする必要もないし、微妙に漂う浮遊物にストロボ光が反射してしまう恐れもない。ちょっとした革命だろう。

さて、サンゴのような景観を撮影するのに適した超広角レンズだが、比較的接近できる大型の生き物に出会った時に最大の真価を発揮する。





モアルボアルは海亀がアチコチにいる。今回はデカいのばかり目撃した。泳いでいるヤツ、岩陰で昼寝しているヤツ、いろいろだったが、ゆっくり近づけばキスできるぐらいに近づけるのでワイドアングルの写真を撮るには最適な被写体だ。

私は昔からヘコヘコ泳ぐ海亀の写真を撮るのが好きだ。岩場や根をバックにした写真ではなく、なるべく青一色の海をバックに撮影するのが好みなのだが、今回も良い感じの位置に太陽光が射している時間帯に昼寝してるカメを発見。

ゆっくり近づき、優しく起床時間だと告げる。かったるそうに立ち去ろうとするカメ。沖に向かって泳いでいただくように説得する。

そんなこんなで青い海に泳ぎ出てくれたので、並んで泳いでポジションを決めて太陽光とカメをフレームに収めてみた。





一番最後の距離が近づいた写真は、結構カメの動きが感じられて気に入っているのだが、画面下に変なハレーションが写り込んでしまったのと、息ごらえしきれずに吐き出してしまった私の泡が邪魔になってしまった。

近いうちにわが編集部の制作チームに頼んでちょちょちょっと消してもらおうと思う。便利な時代である。

やはりワイドアングルの撮影は楽しい。本当は、Tバック水着の女性のヒップをフィッシュアイレンズで超接近撮影するのが好きだ。そんな画像を撮るために苦節ウン十年も水中写真に励んできた。すべてTバック画像のための練習である。ただ、そういう画像はこの由緒あるブログに載せるわけにはいかない。秘蔵画像である。ここではカメで勘弁していただきたい。

次回はマクロ撮影についてあーだのこーだの書いてみようと思う。







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