2013年3月4日月曜日

麺バンザイ


「タンスイカブラー」として生きている割には、このブログで書いてきたのはコメ方面ばかりだ。炭水化物の雄である「麺」のことを忘れてはなるまい。

昭和のジャイアンツ、右のエースが堀内なら左のエースは高橋一三だった。私にとってコメが堀内なら、麺は高橋一三だ。意味不明でスイマセン。

お育ちがすこぶる良いせいで私は猫舌である。ラーメンとかうどんとか、熱いからフーフーしないといけない。そのうち、麺がノビてしまう。

コメだろうと麺だろうと、硬めが好きなので、子どもの頃、すぐにノビてしまう麺類は好きでは無かった。

高校生の頃、放課後に悪友達と立ち寄った神楽坂のラーメン屋「天下一」でも、猫舌ボーイだった私は「スタミナ飯のピーマン抜き」とか「チャーハン」専門だった。

そんな理由もあって、どちらかといえば熱い汁に沈んでいない麺のほうが好きだ。この年になってもその傾向は変わらない。

ラーメン専門店に行くことはほとんどない。いろんな料理が揃っている中華料理屋でも、シメはラーメンではなく焼きそばだ。


この写真は銀座・維新號の名物焼きそば。両面がパリッと焼いてあって、五目餡の具は中に挟み込んである。麺と麺で具をサンドイッチしている感じで、焼きそばラバーにはなかなか魅力的な一品だった。それにしてもこの店の責任者である母校の後輩は、なかなかの二枚目だから腹が立つ。

話がそれた。

韓国料理屋に行っても、冷麺とビビン麺がメニューにあれば、ついつい後者を頼む。冷麺は文字通り熱くないのに、なぜか汁のない麺に惹かれる。

という論理的思考?を持つ私だからスパゲッッティに代表されるパスタは大好物である。近年、市民権を得てきたスープパスタなどはお呼びでない。あくまで「スパゲッティ」と呼びたくなるアノ状態が前提である。

だいぶ前にイタリアに旅した際、朝、昼、晩とパスタばかり食べていた。朝からパスタを出す店など無かったが、泊まったホテルの近くのカフェが、いつ作ったのか分からないレンジでチンする油の浮いたスパゲッティを朝から用意してくれた。ウマくもないのに毎朝食べた。

夜は夜で、メインもデザートもいらないからパスタを3つ食わせろと非常識な注文をして店の人に呆れられたりした。

和食屋に来た外国人が「他のものはいらないから刺身ばっかり持ってこい」と言うようなものだ。国際的恥さらしだが、私にとっては大満足の思い出である。

ミートソースだろうが、カルボナーラだろうが、イタリア語のなんちゃらソースだろうが、先日自分で作ってみた特製からすみパスタだろうが、全部大好きだ。

子どもの頃、母親が作ってくれたスパゲッティの類も大好きだった。昭和40年ぐらいから当時希少だったイタリア料理屋に通っていたらしい母親のおかげで、割と早いうちからアレコレとパスタ料理を食べさせてもらった記憶がある。

たらこスパなどは実に官能的だった。いまだに私をトリコにする「魚卵」と「麺」のコラボである。家庭料理だから、たらこの投入量も物凄く、あの塩辛さが今思い出せば東京人の味覚だったのかなと思う。

中年になった私がいそいそとカラスミパスタを自作している姿を、天国の母はどんな思いで見ているのだろう。

などと書くと、ちょっと素敵な文章だが、まだまだ元気バリバリで過ごしている母親が読んだら叱られそうだから冗談はテキトーにしておく。

さて麺の話だ。うどんに蕎麦、きしめんに冷や麦、そうめん、ペヤングに至るまで、嫌いなものは一切無い。何百年、何千年も前から世界各地でそれぞれの風土に見合った麺料理を生み出してきた先人の努力が心底有難い。

世界中の麺料理が気軽に食べられる時代に生まれたことは幸せなことだと思う。


この写真は、芝大門にある「おでん国見」で食べた焼きそばだ。この店は旧友が経営する店。沖縄料理もアレコレ揃えていて楽しくグビグビとウマい酒が飲める。焼きそばに使う麺も沖縄そばだ。ソースがしっかり絡んでウマい。

油しっかり、味付けも濃いめでオジイサンになったら遠慮しそうな味ではあるが、ホロ酔いオヤジが小腹を満たすには絶妙の味だ。

もう20年ぐらい前になるが、沖縄から帰京する際の機内食で「沖縄そばの麺を使った冷やし中華風の麺料理」を食べたことが物凄く印象に残っている。

当時、沖縄そばは熱いスープとともに味わうどんぶり麺ばかりで、独特のアノ麺を使った焼きそばとか冷やし中華は珍しかった。機内食の「冷やし沖縄そば」は胡麻ダレ風味で味付けされ、私の脳天を直撃するほどウマかった。

その後、似たような麺料理に出会っていないので、いつか沖縄各地を放浪して、あの味を探してみようと思っている。

そんな話を書いていたら「冷やし中華」が無性に食べたくなった。あんなウマいものが季節限定商品だという事実が昔から許せないし、不思議で仕方がない。

ざる蕎麦とか冷やし系のうどんは通年あるのに冷やし中華だけが秋の到来とともに雲隠れする。一体ナゼなんだろう。

例年、秋が近づくと賞味期限の長いインスタントの冷やし中華を大量に買い占め、冬になってもウッシッシな気分で食べるのが私の変態趣味のひとつである。

ところが、昨年の秋口は何かとバタバタしていたせいで大量買いを忘れてしまった。もう随分長い間、愛しの冷やし中華を食べていない。そろそろ禁断症状が出てきた。

そんなことを書きながら、ネットで調べてみたら、今の時期でも冷やし中華は通販で簡単に調達できるみたいだ。バンザイである。ネット社会、デジタル化の波は、私の「変態趣味」を「日常の平凡なこと」に変えてくれるほど便利だ。

今日は、今まで食べた各地の麺料理の話を書こうと思ったが、ちっとも予定通りにならなかった。

まあいいか。


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