2018年7月27日金曜日

甘口評価 スペイン料理


美味しい、マズいという感覚は人それぞれだ。自分の好みだけですべてを分かったように語るのは愚かだと思う。

とかいいながら、このブログでもしょっちゅうウマいのマズいのと好き勝手に書いている。私がいっぱしの「味が分かる人」だと誤解を生じさせているとしたら大間違いだ。

先日、娘から的確な指摘を受けた。「パパは旅先で食べるモノにはやたら甘いわよね」。確かに旅行先で食べるモノは何でもかんでも美味しく感じる。

ここ数年、娘と二人旅をするのが恒例になっている。今年のフランス・イタリアをはじめ、タイや香港などにも出かけた。先日会った時に思い出話を語り合っていた際に「旅先での大甘評価」を指摘されたわけだ。

娘にとっては、ちっともウマいと感じなかった料理は結構あるらしい。イタリアで食べたいくつかのパスタ、香港で食べたラーメンも父親である私だけが常に大興奮状態でワッシワッシむさぼっていたらしい。

悔しいけど、ちょっと認める。私にそういう傾向があるのは確かだ。気分一つで大してウマくもないものを絶品に感じる変な感覚がある。

たぶん、一人旅マニアとしての一種の自己防衛だと思う。

一人でアチコチ旅をするのが若い頃から好きだったせいで、随分と変なモノも食べてきた。大ハズレも何度も経験した。

一人の場合、全責任はそれを選んだ私にある。敗北感バリバリだ。それを認めたくないばかりに“個性的な味”を旅情というスパイスでごまかして強引にウマいと思い込ませてきた。

世界中どこに行っても、食い意地が張っている私はその土地ならではのモノを食べたがる。毎日毎食、土地の料理を食べたがる。あれは旅の高揚感がもたらす行動だ。

おまけにほとんどの場合、そうした現地メシをウマいウマいと興奮しながら食べる。一種の思い込みだろう。

その証拠に、日本にいる時はそうした各国料理を食べることは滅多にない。ホントにウマかったのならマメに食べに行けばよそうなものだが、ほとんど行かない。

寿司と焼鳥とウナギとニッポンの洋食と冷やし中華があればコト足りる。そんなものである。




先日、ひょんなことからスペイン料理を食べに出かけた。銀座7丁目にある「スペンクラブ」がその店。

何度か旅行に行ったこともあり、スペインのことは大好きである。またすぐにでも行きたいぐらいだ。メシもウマい。カヴァも安くてウマい。

でも、日本にいるときにスペイン料理屋に行く機会は滅多にない。ここ5年近く行ってないかもしれない。ホントにスペイン料理が好きなのか怪しいものである。

アヒージョもアンチョビも確かに美味しい。カヴァがグビグビ進む。上の画像のガリシア風ゆでダコ、特選豚の生ハムもバッチリである。



ふと、娘に言われたことを思いだし、ホントにウマいと思っているのか冷静に自分に問いかけてみた。

マズくはないのだが、どうやらスペイン旅行の思い出が頭に浮かび、それを話題に楽しく飲んでいるから美味しく感じているような気がしてきた。

余計な自問自答などしなければ良かった。アンチョビだったら塩辛、タコなら酢ダコ、豚なら豚しゃぶのほうが食べたかったなあと無意味な邪念が頭に浮かぶ。


フィデウアである。ショートパスタを使ったパエリアだが、向こうではポピュラーなのに、日本ではあまり知られていない。

現地では乾麺の細めのパスタをバリバリと適当な長さに折ってパエリア鍋にぶち込んで作る。ところが、この日食べたのはマカロニである。

ショートパスタといえばショートパスタだが、私のイメージとはちょっと違う。とはいえ、味付けがとても良かったのでペロペロ食べた。

でも、マカロニを見た瞬間、ニッポンの洋食屋さんでベシャメルソースのマカロニグラタンを食べたくなってしまった私だ。

同席の人にはいっぱしの顔でスペインの食べ物を語っておきながら、頭の中ではそんなアマノジャッキーな感覚で過ごしていた。

いつもエラそうに食べ物の話を書いてしまうが、私の味覚の実態は結局そんなものである。

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