野菜が嫌いなくせに薬味は妙に好きだ。自分でも不思議だ。脇役としての控えめな感じに惹かれるのだろうか。
いじらしいほど地味な存在である薬味だが、無かったら困るものはいっぱいある。たとえば冷やっこだ。
冷やっこに薬味が無かったら冷やっことは呼べない。ただの豆腐だ。薬味があるから独自の地位を築いている。
画像のようにワガママが言える店では薬味を大盛りにしてもらう。野菜嫌い連盟の大幹部として生きているクセにヘンテコである。
でもウマいんだから仕方がない。
考えてみたら「薬味」という名前もインパクトがある。薬の味である。なんじゃそれって感じだ。
言葉だけ冷静に眺めていると風邪薬の改源や太田胃散みたいな味が思い浮かぶ。あんなものが冷やっこにぶちまけられていたらゲロゲロゲ~である。
というわけで、薬味の語源をネットで調べてみた。もともとは「加薬味」という言葉があるらしい。コショウやショウガ、サンショなど薬効のある味を加えるニュアンスだ。
「かやくゴハン」も加薬味が語源らしい。フムフムである。パンチの効いた味を加えるといった意味合いだ。
いまどきは薬味と言えば、ネギやミョウガあたりが基本だが、パンチの効いた味を付け足すという意味では、定義付けは曖昧だ。
ラーメンに入れるメンマやザーサイも薬味といえば薬味だ。ひょっとするとチャーシューだって派手な薬味と言えなくもない。
こちらの画像は新橋にある「ほりうち」のチャーシューメン。ヤケッパチみたいなチャーシューがウリの店である。
こうなるとチャ-シューがメインで麺が薬味かもしれないなどとヘンテコなことを考えてしまう。
そんなことを言い出すと、肉料理やパスタにふりかけるトリュフも薬味かもしれない。ステーキの上に仰々しくのっかってくるフォアグラだって薬味なんだろうか。
先日も某飲み屋で「ジャコのミョウガあえ」なるツマミを頼んだのだが、言ってみれば「薬味オン薬味」みたいな食べ物である。「炭水化物オン炭水化物」の焼きそばパンに通じる趣があった。
意味不明でスイマセン。
さて、薬味が主役という意味では、私が大好きなカツオのたたきスーパーバージョン?も代表的な食べ方だろう。
銀座のおでん屋さん「おぐ羅」の人気メニューがカツオのたたき。カツオが見えないぐらい薬味がテンコ盛りでぽん酢だれもタプタプだ。
薬味をドッサリ載せてカツオを食べるのも最高だが、薬味テンコ盛りの理由はカツオを食べ終わった後にある。おでんの豆腐を投入するわけだ。冷やっこならぬ“温ヤッコ”だ。実にウマい。
話は変わる。薬味業界?のダークホース的な存在なのが、ウナギにトッピングするネギである。本格的なウナギ屋さんでは邪道とみなされているのか、滅多に見かけないが、これが案外ウマい。
白焼きにとくにオススメだ。醬油で味わうのが基本だから、薬味があっても不思議ではない。わさびでも充分だが、ネギが加わることでまた違った美味しさが楽しめる。
スーパーで売っているようなさほど美味しくない白焼きだったら、ネギのおかげで一気に美味しさがアップする。
薬味をアーダコーダと語ってきたが、突き詰めたらネギのことばかり書いている。
ネギ好きな男みたいである。野菜嫌いを広言して生きてきたのに、いつの間にかネギオヤジである。
なんとなく負けたような気がするのはナゼだろう。
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