2023年7月5日水曜日

ひと昔前から

 

このブログを長く続けてきたおかげで自分の過去の行動をすぐに調べることができる。昔の旅やウマい店にいつ頃から出かけていたのか等々、行動履歴が把握できて案外便利だ。

 

何となく足を運んでいるお店も気付けば10年以上前から通っていることを知って勝手に感心したり感慨にふける?ことも出来る。

 

特定のお店に10年以上も通うことは考えようによっては幸せなことだ。安心してウマいものにありつける。自分が元気でいることも大事だが、お店が無くなってしまえば元も子もない。老舗の有難さは得難いものがある。

 


 

日本橋本町にあるウナギの「大江戸」。最初に訪ねたのは15年ぐらい前になるだろうか。このブログにも10年以上前から登場している。この10年で随分と値上がりしてしまったがこればかりは環境の変化だから仕方ない。

 

東京に美味しい鰻屋さんはたくさんある。ウナギスト!である私もアチコチ食べ歩いたが、何となく「大江戸」が一番シックリくる。運良く最近は日本橋の住人になったので、頑張れば自宅から歩いていけるようになったのが嬉しい。

 

数々のウナギの名店に出かけたが、意外に居心地が悪い店が少なくない。個人的に気に入らないのがツマミメニューが一切無いようなストイック?な店だ。

 

白焼きや鰻重が出てくるまで一時間ほど待たされるのは構わないが、ツマミが皆無の店だと一気に苦痛の時間に変わる。「黙って待ってろ。それこそが鰻の名店の証である」みたいなノリは嬉しくない。

 

ウナギ以外にやたらとメニューがいっぱいある邪道系?だと肝心のウナギが美味しくないパターンだからそれはそれで困る。あくまでウナギ自体は専門店ならではの水準を求めたい。

 

適度にツマミもある鰻屋さんのウナギが90点、いや85点だったとする。ツマミが無いストイック系鰻専門店のウナギの味が100点満点だったとしても私は前者を選ぶ。居心地や気分も味を左右すると思う。

 

そういう点で「大江戸」は優秀な店だろう。ウナギの美味しさは充分に高いレベルなのに気の利いたツマミも揃っている。個人的に理想に近いパターンだ。

 





ひと昔以上も前に初めてこの店を訪ねた際に感動したのが「あん肝の山椒煮」だ。山椒煮というより甘露煮と呼びたくなる甘さだが、一年中食べられるし、妙に濃い味付けも私好み。今までもこれを注文しなかったことは一度もない。酒のアテに最高だ。

 

子持ち昆布も味付けが濃い。この「濃さ」こそが東京の老舗の特徴だろう。焼きカラスミも今の季節でも食べられるのが有難い。季節感うんぬんより酒のアテとしてのウマさのほうが価値がある。

 



白焼きが冷めないようにお湯を張った器に盛られているのもこの店の特徴だ。初めて来た際にちょっと感動したことを思い出す。一連のこんなツマミを肴に一献傾けながら鰻重を待つ時間は幸せの一言である。

 

肝心の鰻重だが、何段階か用意されている中から真ん中以上のものを頼めば間違いない。あまり小ぶりだと痩せたウナギにあたることもあるからケチってはいけない。量が多いという理由で上位ランクの鰻重を敬遠するならご飯を極少で頼めばいい。

 





以前は一番上のランクの「極上」を好んで食べた私だが、ここ12年でさすがに食べられなくなった。実に残念だが、上から3番目ぐらいの鰻重でも結構なボリュームがあるので今ではそのあたりを「ご飯少なめ」で注文する。画像二番目の鰻重は土曜限定のいかだ、三番目の鰻重が極上である。

 

時折、同行させた若者に極上を食べさせてみるが、ペロっとたいらげる姿に昔の自分の面影を見る思いがする。そんな展開も同じ店に10年以上前から通っていればこそだろう。いとをかしである。

 

ちなみにこの店の極上鰻重は私が通い始めた当初は6千円だったのだが、その後少しづつ値上げが続き最近になってついに1万円の大台になってしまった。加齢のせいで量的に食べられなくなったことも悪いことではない。

 

このところネットなどで評判の鰻屋さんのいくつかはウナギを蒸さない「直焼き」をウリにしている。いわば関西風である。うどんに天ぷら、おでん等々、いつの間にか関西風の路線に関東風が駆逐されてしまった昨今、「ウナギよ、お前もか…」とつぶやきたくなる。

 

しっかり蒸すことでフジャッとした?食感になる東京のウナギを愛する私としては「大江戸」のような老舗の鰻専門店には今後も頑張ってほしいと思う。

 

 

 

 

 

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