2023年7月14日金曜日

“映え”はしないけど…


富豪を目指してウン十年、ちっとも達成する気配はない。とはいえ、エンゲル係数を気にせずウマいものを食べる程度の散財は続けている。

 

高くてウマいのは当たり前だが、値段の高さだけで良し悪しを判断するのもバカみたいである。カジュアルなウマいものにも心が揺さぶられる。大衆酒場も好きだ。あのホゲホゲした気分は屈託のない?大衆的な食べ物によって成立する。

 

赤いウインナーやハムカツだってミシュランに出てくる高価なメニューに負けず劣らず私を幸福にしてくれる。むしろ凝りまくったお高い料理の美味しさを知れば知るほど大衆酒場の気負っていない食べ物の素晴らしさに気づくこともある。

 



人形町にある大衆酒場「大穴(ダイアナ)」でのヒトコマだ。牛すじ煮込みとマカロニサラダ、そして黒ホッピーである。これを幸せと呼ばずして何が幸せだろう。大げさだがそんな感じだ。

 

それにしても「大穴」と書いて「ダイアナ」と読ませるセンスには脱帽する。バカな私はスケベな意味で“ダイアナ”を隠語として使いたくなって仕方がない。

 

話を戻す。

 

牛すじ煮込みもマカロニサラダも世界中どこを探してもニッポンの大衆酒場にしか置いていない。あの怪しい味わいは毎日でも食べたい。そんな貴重な逸品を濃いめのホッピーで楽しむのはコスパ的にも最高だろう。

 



こちらはチャーシューエッグだ。ハムエッグではなくチャーシューを卵と共演させた点が豚肉愛好家である私には嬉しい。ソースでもいいがチャーシュー用のタレが目玉焼きに絡んだ官能的な味にウットリする。

 

こういう逸品が数百円で楽しめるわけだからニッポンの大衆酒場は世界に誇れる文化だと思う。刺し身に揚げ物、串物と何でもござれのニッポンの居酒屋的な店はパリに行こうがローマやニューヨークに行こうがなかなか無い。

 

日本人にとってはごく当たり前でも実はとっても優れた外食形態である。何だか大げさな書きぶりだがそんな事実は日本人がもっと有難がってもいいと思う。

 



話は変わる。お寿司屋さんでの花形メニューといえば中トロやウニなどの高級食材だ。他にもボタンエビや赤貝、若者にはサーモンなんかも人気だ。一方で地味めのネタは見向きもされない現実がある。

 

かんぴょう巻がその筆頭だろう。出来合いのテキトーなかんぴょうを仕入れる大衆店はともかく、キチンとしたお寿司屋さんならかんぴょうも自家製だ。結構手がかかるらしいが値段的には高く設定されることはない。

 

とはいえ、ワサビをしっかり効かせたかんぴょう巻の美味しさは寿司を語る上では外せない。シャリの味わいもよく分かるし海苔との相性も非常に良い。実際にシメに食べると味覚的に収まりが良い。

 

トロたくやネギトロ、穴きゅう巻や梅しそ巻ぐらいしか頼まない人が多いが、かんぴょう巻の存在を忘れてしまうのはもったいないことだと思う。

 



玉子焼きの握りも然りである。これも最後のシメに食べるとデザート感覚で良いと思う。いつの間にか玉子焼きはシャリとは無関係にそのまま出されるパターンが増えた。それはそれで悪くないが個人的にはシャリ付きで食べてこそバランスがいいと思う。

 

かんぴょうも玉子焼きは高価なネタの中にあっては埋没しがちなネタだ。値段も下位に位置する。銀座のオネエサンを同伴しても決して注文されない。そんな影に隠れがちなネタだがお寿司屋さんのワザがストレートに感じられるネタでもある。

 



こちらはオーソドックスなかき氷だ。三越の中にある「梅園」で味わったあんずのかき氷である。果肉と別にあんずソースが用意されていた。確か700円程度だったような気がする。

 

イマドキの凝ったかき氷は1500円とか2000円とか、はたまたそれ以上の値付けも珍しくない。それに比べれば普通の値付けだ。奇をてらっていない質実剛健な仕上がりが嬉しい。「これでいいんだよな~」とつぶやきたくなる王道のかき氷だった。

 

当たり前だが、高くはないけど食べるべきウマいものは世の中にいくらでもある。そんな路線の逸品に詳しい人のほうが、これ見よがしに“映え映え”の高価な食べ物をSNSで披露する人よりカッチョいいと思う。

 

 

 

 

 

 

 

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