2023年7月7日金曜日

大谷さん




何事においても「慣れ」って厄介なものである。大谷翔平の異次元の活躍に対しても世間にはどこか「慣れ」を感じる。驚天動地そのものの存在なのに、今や物凄いことが普通に捉えられていないだろうか。

 

あの活躍ぶりは歴史そのものである。数十年後の子供に「大谷のプレーを毎日のようにテレビで見ていたよ」と言えることはビートルズの武道館公演を見に行ったのと同じぐらい貴重なことだと思う。

 



この画像は8年前に東京ドームで撮影した若き日の大谷翔平サマである。まだまだ線が細い。この頃は野球ファン達からは特別な関心を持たれていたが、今のような偉業を残すことを予想した人はいなかった。

 

だいたい、高校から日ハムに入団した当初は彼が挑む二刀流には批判のほうが強かった。それこそノムさん、張さんあたりの大御所がこぞって「プロをナメるな」といった発言をしていた。

 

強引にメジャー行きを果たしたかつての野茂英雄投手への異常なまでのバッシングがその後の活躍によってモノの見事に封印されたのと同じような経緯がある。

 

大谷さんがメジャーリーグに渡ったのは2018年。最初の2年間は眼を見張るような活躍とまではいかなかった。メジャー3年目はコロナのせいで短縮シーズンとなったが、おそらくこのコロナ休暇みたいな時間が彼を一皮剥かせる結果になったと私は睨んでいる。

 

二刀流が本格的に花開いたのはコロナ短縮シーズン翌年の2021年だ。実質的に大活躍するようになってから今年で3年目である。当初はケガもあったりして彼の技量には懐疑的な見方も多かった。それを払拭して今ではアメリカ野球界だけでなく全米スポーツ界の顔になりつつある。

 

地元密着が特徴的なメジャーリーグの世界で敵地での試合でも大歓声を浴びる選手は大谷さんぐらいだろう。純粋に見ていたくなるあのプレースタイルはどのような褒め言葉をもってしても足りない。

 

見る側として彼の活躍に慣れてしまうことは実にもったいないことだと思う。バンバン三振を取ってホームランもバカスカ打つ姿は世界遺産と呼ぶべき貴重な存在だと声を大にして言いたい。

 



WBC優勝までの軌跡を追ったドキュメント映画「憧れを超えた侍たち」のAmazon primeビデオでの配信が人気だ。私も公開初日に観た。野球が好きで良かったと思わせてくれる作品だった。鳥肌モノだった。

 

骨折をおして出場を続けた源田の根性、佐々木朗希の涙など試合の裏側に迫る内容に見入ったが、印象的だったのは準決勝のメキシコ戦での大谷さんの様子だ。

 

同点に追いつくもまたメキシコに引き離された試合終盤、意気消沈気味のベンチで大谷さんはひとり元気に仲間を鼓舞していた。悲壮感というより楽しそうに周りをもり立てる姿は、彼が普通の人とは違う傑物であることを改めて証明していた。

 

普通なら慌てる、あせる、ドンヨリするような展開の中でむしろその状況を楽しんでいるかのような姿に驚いた。他の選手とは別のステージに立っているスーパースターならではの空気感だと感じた。

 

そして追い詰められた9回の攻撃で先頭バッターとして打席に入った大谷さんは、いとも簡単(かのように)に二塁打を打ち、ベース上から味方ベンチの士気を煽りまくる。その流れで一気に逆転勝利につながったのは御存知の通り。

 

ドキュメント映画では感動の優勝が描かれた後、エンドロールが流れ終わってからの最後のオチも大谷さんの一言だ。それもまたスーパースターならではだろう。とにかく「憧れを超えた侍たち」は名作だと思う。

 



脱三振率、被打率ともにリーグトップレベルで160キロを超える直球と数々の変化球を操る剛腕投手である。それだけでも凄いのに打者としてはダントツのホームラン王である。おまけに塁に出れば果敢に盗塁も決める。三塁打の数もリーグトップだ。なんじゃそれ!としか言えない。

 

おまけに試合中の態度や振る舞いも非の打ち所がない。ファンにも優しい。言うまでもなくルックスまで素晴らしい。同じに日本人として誇らしいことこの上ない。

 

大谷さんの姿は漫画で描いたとしても現実離れし過ぎていて共感されないと思う。いわば「作り話を超えちゃった人」である。もはや旧時代のベーブ・ルースとの比較も意味がないレベルに達している。

 

仮にケガなどの理由で今のような活躍が長く続かなかったとする。それでも彼が歴史上の人物であることは揺るがない。たとえこの3年だけの成績だけでも今後彼と同じような活躍をする選手は現れないと思う。


もっと言えばこの3年の活躍だけで文句なしに野球殿堂入りに値するし、毎年議論されるMVP争いについても、彼はすでに別枠で扱うレベルの選手だと思う。誰がどれだけホームランを打っても誰がどれだけ三振を取ろうともその両方を同じような次元でやってのけるのは大谷さんだけである。

 

最近インスタグラムやFacebookのリール動画をランダムで観ていると大谷さんネタばかり流れてくる。試合以外でのお茶目な様子や振る舞いを目にするたびにホッコリする。

 

それにしても外にいる間の一挙手一投足がどこかの誰かのスマホで常に撮影され瞬時に世界に向けて公開されているわけだから何とも大変だと思う。アホヅラして鼻くそホジって口に入れちゃうようなことは間違ってもできない。ちょっと気の毒である。

 

まもなく行われるオールスター戦でも大谷選手は注目のマトだ。活躍すればもちろん嬉しいが、もし全然ダメだったとしてもそれはそれで彼も人間だったと思えてホっとするかもしれない。

 



通訳の一平さんも相変わらずちょっとヌボーっとした雰囲気が実にいい。大谷さんの身代わりでホームランパフォーマンスをやらされたシーンは最高だった。ナゼか萌え~という気分になった。

 

そんなオチでごめんなさい。

 

 

 

 

 

 

 

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