とかく人は自分と趣味嗜好や考え方が違う人を敬遠したがる。私は生のタラコに酢をぶりぶりかけて食べるのが好きだが、多くの人が呆れたような顔をする。
TKG一つとっても醤油と卵をあらかじめ混ぜ合わせてからご飯にかける人もいれば、ご飯とともに混ぜる人や混ぜない派の人もいる。意見が食い違うと自分の正しさを主張したがるのが人間の業である。
少数派か多数派かという問題もある。トンカツに醤油をかける人は少数派だ。もちろんソース派の私はそんな邪道ぶりをついつい非難してしまう。でも人の好みは千差万別だからそれはそれで理解を示さないと世界に平和はやってこない。
そういう観点からいうと俗にいう「変態」の人々のことが気になる。エロ方面における変態の話だ。無くて七癖とはよく言ったもので、誰もが“変態の芽”は心の片隅に持っているのが普通だ。
理性やら自制心、はたまた道徳心という余計な教えによって、頭に思い浮かべてもそれを実行しないだけという人が大半だろう。人生で一度も変態的行為をしなかった人でも妄想の世界ではロクでもないことを考えたことが100回はあるはずだ。
かくいう私はこれまでの人生でかなりの変態街道を歩いてきたほうかもしれない。詳細はさすがに書けないが、思い起こせば恥ずかしきことの数々…って感じである。とりあえず犯罪行為だけは避けてきた。当たり前か。
そんな私でも根っからの変態趣味を持っているかと聞かれれば答えはビミョーだ。好奇心とアマノジャク精神によって変態の真似事をしてきた側面もある。やや特殊なフェチ傾向はいろいろあるが、「この変態野郎!」と罵声を浴びるほどでもない。
せいぜい寝取られプレーが好きなぐらいだ。充分に変態か…。
変態か否かの分岐点はしょせんは多数派なのか少数派なのかに尽きる。この国の大昔のいわゆる衆道だって当時は変態行為とはみなされていなかった。貴族や武士社会では年長者が年若い男子を愛玩する風習が一般的だったわけだが、今の時代だったらバリバリの変態ジャンルに分類されてしまう。
すなわち変態の定義とは、その行為に励む人が多いか少ないかだけで決まってしまう。実にあやふやなものだ。
寝取られプレーにしても10人のうち6人ぐらいが共感してくれたらきっと普通のレジャー?として定着するはずだ。谷崎潤一郎あたりが文学という隠れ蓑を使ってその奥深さを世間に広めようと努力していたが、やはり多数派の保守的な秩序を壊すのは簡単ではない。
エロとは別だが、考えてみれば世界中の歴史上の偉人は突き詰めればその時代の常識を破壊した人である。すなわち当時は皆さん「変人」だったわけだ。エラくなった後でさんざん持ち上げられるが、最初は単なる異端だったのが実態だ。
そう考えると、いま変態プレーに励んでいる人もいつかはその行為が一般化して先駆者として評価される可能性はある。強引な論法だが、肩身の狭い変態さんたちもそう考えれば明るく生きていけるはずだ。
変態に限らず特殊なフェチの人にしても同じだろう。普通の男なら女性の胸や尻に性的興奮を覚えるわけだが、なかには足のかかと、膝や肘、はたまた血管などが興奮のターゲットだという奇特な人もいる。身体的部位に限らず、高学歴の人に無条件で萌える人や家庭持ちの相手じゃなきゃ興奮しないという精神的な倒錯傾向の人も少なくない。
きっと少数派のフェチは隠れキリシタンみたいな切ない心境で日々を生きているのだろう。お気の毒だと思う。フェチって本能的な嗜好である。いわば魂の叫びだ。それを大っぴらに語れない人たちで「全日本フェチ促進同盟」みたいな組織を作って多数派の人たちに対して一定の存在感を示すのも一考である。
もちろん、フェチの中には犯罪と同義語の怪しいものもあるからそういうのは除外だ。ちなみに私が所属?する「過去フェチ」などは実に安全な路線である。お相手の女性の過去のエロ体験をほじくり返すほど聞きまくって勝手に興奮するという平和なジャンルである。
想像、妄想の中で自分勝手に喜べるわけだから犯罪性のカケラも無い。ただ、このフェチは理解者が少ないのが困りものだ。とくに女性にはそういう属性はまず無いらしい。私が過去の体験談を熱心に聞かせても「そんな話、聞きたくないわよバカ」と叱れるのがオチである。
少数ながら理解してくれるのは男だけだ。不思議とその人たちは寝取られプレーへの関心や理解も深い。根っこが同じなのかもしれない。
なんだか話がまとまらなくなってきた。
間違いなく言えることは、世間の常識や秩序なんて誰が作ったか分からない曖昧なものであるということ。自分の変態性に自己嫌悪に陥る必要はない。あくまで少数派というだけだ。犯罪じゃないなら変態街道を信じて突き進めばいいと思う。
それにしても私はいったい誰に向かって力説しているのだろう。自分の歪んだ「癖」を正当化したくてアレコレ屁理屈を書き殴っているのが真相かもしれない。
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