2023年9月1日金曜日

洒落っ気、見栄、気取り

 

イマドキの社長車といえばアルファードが人気だ。昔はワンボックスカーといえば貨物兼用か大家族向けの実用イメージしかなかった。いつの間にか高級路線に進出してVIP用みたいな位置付けに変わった。

 

広い空間、快適なシート、乗り降りも楽だから人気が出るのもよく分かる。時々アルファードのタクシーに乗ることがあるが確かに快適だ。ゆったりできるし乗り心地も良い。

 



とはいえ、欲しいかといえばちっとも欲しくない。会社の社用車だとしても別なクルマを選ぶ。あの形状のクルマには優雅な雰囲気は感じない。ファンの人ごめんなさい。あくまで個人的な感覚です。

 

優雅な雰囲気ってなんだ?と叱られそうだが、ワンボックスカーには高級車としての浪漫みたいな匂いを感じない。世代のせいだろうか。古い人間特有の思い込みかもしれないが、やはり高級車はロングホイールベースのセダンであって欲しい。

 

いつのまにか世の中から浪漫みたいなものが消えて合理的なことばかりもてはやされるようになった象徴がアルファード人気なのかもしれない。極論かもしれないが、昔よりおおらかさが無くなってきた時代ならではだと思う。

 

「洒落っ気」「見栄」「気取り」。そんな感覚って大事だと思う。中年以降の男なら尚更そういう意識は持っていたい。「こだわり」と言い換えてもいい。

 

身につけるモノをはじめ暮らしの中のあらゆるモノに対して「合理的」の一言では片付けられないこだわりを持つことは人生に彩りを与えるために必要だ。

 

無駄なことと切り捨てるのは簡単だが、無駄こそがゆとりである。大人の男たるもの人様に対してゆとりを感じさせる居ずまい、振る舞いをしていたいものだと感じる。

 

エラそうに書いてみたが、私自身、歳を重ねるに連れ昔よりこだわりが薄くなってきたことに忸怩たる思いがある。ついつい“安易なラクチン”に走ってしまう。

 

昔は傘ひとつとっても結構良いものを使っていた。ビニール傘なんて野暮の極みとバカにしていたが、いま我が家にはコンビニで買ったビニール傘が溢れている。

 

16本骨の高級傘をいくつも使い分けるようならカッチョいいのだが、イマドキのコンビニではビニール製ではないちょっと見たらマトモっぽい長傘が売っているのでそれで済ませてしまう。

 

今のようにモノに溢れた時代だと安くてマトモなモノはゴマンとある。言ってしまえば高級品は無駄という理屈になるが、高級品を持つことで得る高揚感は軽視できない。人間はそもそも欲や業の塊である。それを満たすことや満たしたいという気持ちが活力や向上心につながる。

 

セールで買った吊るしのスーツと奮発して買ったオーダースーツでは着ている時の気分は間違いなく違う。それが姿勢や表情、立ち居振る舞いに現れる。値段の高い安いだけでない。そこに自分なりのこだわりがあるかどうかが大事な要素だと思う。

 



銀座のクラブと新橋の居酒屋で出てくる酒は基本的には同じである。同じウイスキーでも値付けにとんでもない差がある。いわば銀座のウイスキーは無駄の塊である。

 

でもなぜ銀座のクラブという世界が成立するかといえば、合理的ではないものに価値を見出す人間の業や欲が普遍のものだからだ。「洒落っ気」「見栄」「気取り」という合理的なことの対極にある俗念が社会を支える原動力になっている証でもある。

 

最近すっかり夜の銀座にご無沙汰しているが、あの空間に身を置く時には居酒屋にいる時とは違う感覚になる。緊張するほどウブではなくなった今も不思議とちょっとだけシャンとする。

 



酔い進むとただのスケベオヤジに変身するもののホロ酔いぐらいだとこんな私でも結構キリっとした様子で過ごしている。いわゆる負け組みたいな人がいない世界であり、プラスのエネルギーの集まる場所だから「場の空気」によって影響を受けているのだろう。

 

決して上の画像のような眺めを楽しむ目的ではない?が、それでも綺麗ドコロがいっぱいいる場所だ。私だってちゃんとカッコつけたり洒落者のフリをする。そういう意識になることは普段はなかなか無いから“現役男”を維持したいという私の修練の場にもなっている。

 

暑さもそろそろ収まってくるだろうから銀座通いも再開しようと思う。だったら靴磨きにも精を出さないといけない。要するにそういう細かい部分にも気を配る感覚になることが大事なんだと思う。

 

よく分からない話になってしまった。

 

 

 

 

 

 

 

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