BSテレ東で放送されていた「今宵、町寿司で 市川右團次と小粋な一献」という番組が終わってしまった。大ファンだったのに残念である。今年の初めにスタートしたのに1クールで終了しちゃうとは思わなかった。(追記…再放送はやっているみたいです)
BSにありがちな息の長い「呑兵衛系番組」として長寿シリーズになることを願っていたのにまったくもって惜しい。
「おまかせ一辺倒のバカ高い寿司店」があちこちで幅を利かすようになった現在の寿司バブル状態に一石を投じる意義深い番組だった。バブル寿司と回転寿司しか知らない人々に視聴して欲しい番組だった。
地域密着型の昔ながらの寿司店を町寿司と定義して、毎回それぞれのお店で常連さんも登場、お店のおススメや右團次さんが好きなものを食べてそこそこ酒も飲んで過ごすだけの番組だ。
何が良かったかといえば各回とも最後に食べて飲んだものが一覧表示されたうえでお会計の金額がしっかり表示される点だ。どの店も手の込んだ個性的な品々を出してくれるのだが、毎回8千円前後の支払いだった。極めて真っ当なお寿司屋さんの実態に毎回うならされた。
いつの頃からかコース専門というか「おまかせ一辺倒」のお寿司屋さんが激増した。いまや繁華街ではそれなりの構えの新規オープンの店の大半がそんな路線だ。若い頃から“客としての寿司修行”に励んだ私からするとそういう路線の店にはまるで興味が湧かない。
もちろん、そういうお仕着せのほうがラクで快適という人が多いのも分かる。だとしてもナゼそういう店に限ってアホみたいな値段を取るのかが不思議で仕方がない。仕入れロスの点でも普通の店より有利なはずだ。
カウンターを挟んで職人さんと客が対峙するのがお寿司屋さんの基本形だ。もともと屋台の食べ物だったからでもある。好きなものを好きな順番で好きなだけ食べられるあの世界は世界中の外食ジャンルの中でも稀有なスタイルだ。
そんな自由さが寿司を楽しむ大原則だと信じている私としてはお店の都合をただ一方的に出してくるだけのお店には否定的だ。実際にふらっと入った店がソッチ系だったからすぐに退散したことも何度かある。
冒頭で紹介したテレビ番組はイマドキのそんな風潮へのアンチテーゼみたいな役割もあった。あくまでごく真っ当な普通のお寿司屋さんが主役。実際、それぞれのお店がそれぞれの流儀でニクい仕事を見せてくれた。見逃し視聴も可能なようなので興味がある人はゼヒ見てもらい。
おまかせ一辺倒の寿司店に否定的な話を最初にこのブログで書いたのは18年も前のことだ。https://fugoh-kisya.blogspot.com/2007/11/blog-post_26.html
その頃からソッチ系が増え続けているわけだから、いまやどっちが普通か分からないぐらいだ。実際に声高に寿司好きを自認するいっぱしの大人からコース以外で寿司を食べたことがないと言われて驚いたこともある。
わりと最近もそんな話を書いたのだが、今の時代、ソッチ系のお店は昔から日本人が馴染んできた「寿司屋」というイメージとは異質な別ジャンルの外食カテゴリーに派生していったのかもしれない。https://fugoh-kisya.blogspot.com/2024/01/blog-post_26.html
8千円前後で充分に寿司好きをうならせる町寿司と平気で5万円とか言っちゃうバブル寿司の店を同じ土俵で比較すること自体に無理がある。もはや別ジャンルだと解釈しないと理解不能の世界だ。
軌道修正。
お寿司屋さんの魅力は季節を味わえる点にもある。今の時期は鯛の刺身もウマいし白魚やホタルイカを肴に一杯楽しむのは至福の時間だ。
個人的に白魚はさほど好きではなかったのだが、先日食べたのは酢の物仕立てだった。三杯酢との相性が実に抜群で一気にファンになってしまった。醤油か塩か、はたまた酢か、これだけの違いでネタの味の印象は大きく変わる。そんなことを知るのも寿司飲みの楽しさだ。
こちらは子イカの煮物と煮ハマグリ。これも春の一品だ。こういう昔ながらの“仕事系”の一品が出てくると、やはり古くからの寿司文化は大事に継承されてほしいと痛感する。
マヨコーン軍艦もツナサラダ巻きも大好きな私だが、煮ハマグリや煮穴子、ヅケマグロや小肌といった江戸前本流の仕事系のネタの美味しさは別格だ。そういう“古株”たちが頑張ってくれているからこそコーンマヨも名脇役になれるのだと思う。
何を言っているのかよく分からなくなってきた…。

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