2021年7月14日水曜日

ホテルメシの魔力

ホテルでご飯。何となく贅沢な響きだ。実際に街場のレストランより高い。高いのに行きたくなるのはやはり雰囲気に浸りたいからだろう。

 

味覚なんてものは気分で変わる。ウマい食事も汚い店で食べれば喜びは半減する。普通の味でも優雅な雰囲気を調味料にすれば印象はアップする。そんなもんだろう。

 

先日、3542円のラーメンを食べた。永田町のほうに用事があったので、ついでに寄ったキャピトルホテルでのことだ。

 



 

その昔、ビートルズも泊まったホテルである。マイケルジャクソンが猿と一緒に泊まったのも確かここだった。

 

ここのラウンジレストランの名物の一つがパーコーメンだ。極めてオーソドックスなラーメンに揚げた豚が乗っかっている。薬味は別皿で用意される。シンプルそのものの一品だ。

 

野菜が大嫌いなくせに、ここ数年の間に薬味だけは大好きになったヘンテコな私だ。大昔は薬味が別皿というこのスタイルが嬉しかったが、今では全部ドッサリ投入してしまう。

 



 

一口食べてビックリするようなウマさとは違う。ジンワリと美味しさがが染み渡る感じだ。豚肉好きな私だからパーコーもムシャムシャ食べる。普通に美味しい。

 

1000円も出せばドッサリとチャーシューが載った醤油ラーメンが食べられるのに、その3倍以上のコストを払う意味は何なのだろう。

 

伝統の味を食べている感慨か、ゆったりした空間が魅力的なのか、はたまた無料でクルマを駐められるからなのか。いずれも正しい理由だが、やはり凜とした雰囲気に身を置く心地よさが一番だろう。

 

別な日、池袋のホテルメトロポリタンで中華料理を食べた。こちらはホテルメシがどうこう言う前に、池袋で大人がゆったりウマいものを食べられる店が無いせいで消去法的に選んだ感じだ。

 

とはいえ、ホテルメシはホテルメシである。ホテル自体に高級感は乏しいが、中華の「桂林」については、店の造り、接客、雰囲気ともに極めて真っ当だ。以前から味の良さでも定評がある。

 





 

名物の焼き物前菜、一本から頼める北京ダック、海老料理である。職場が池袋にあった頃に時々足を運んだ店だが、昔から安定的な美味しさを維持しているのは立派だと思う。

 

特筆すべきはチャーハンだ。パラッパラの正しいチャーハンの見本のような完璧さ。油の加減も味付けも強すぎず弱すぎず絶妙で、いくらでも食べられそうな感じだった。

 




こんなことを書くと他の店に叱られそうだが、池袋の良心とでも呼びたくなるレベルだった。

 

ホテルメシの良さは、席に辿り着くまでのアプローチにもある。商業施設やデパートのレストラン街に上質な店があったとしても、そこに着くまでに乱雑な場所や人混みをかき分けていく必要がある。

 

そんなことまで気にするようでは単なる偏屈ではあるが、ホテルの場合は、レストランに辿り着くまでの動線も何となく心地よい。

 



 

キャピトルホテルのロビー周りの風情だ。こんな空間を通過しながら、うやうやしく席に案内されるわけだから悪い気はしない。

 

慇懃な対応、空間の優雅さ、席周りやカトラリーの綺麗さ、天井の高さ、丁寧な調理、ホテルの歴史がもたらす重厚な雰囲気、おまけに駐車場がタダ(笑)。

 

こういう高得点な部分をひとつずつ金銭換算していくと、結局、ラーメンだって3542円という値段になってしまうのだろう。

 

 

 

 

 

2 件のコメント:

館長 さんのコメント...

いくら停めても駐車場がタダ…
富豪様にとって最重要案件かと。

パーコーメン、そのうち制覇します。

富豪記者 さんのコメント...

館長さま

駐車場がタダ。こんな美しい言葉は他には無いです。。