2024年9月18日水曜日

一人前の男

 

もう10年近く前にこのブログで私の朝メシ事情を書いた。朝からドカ食いすることを得意になって書いている。

https://fugoh-kisya.blogspot.com/2009/04/blog-post_24.html

 

砂糖菓子みたいな甘いパンなんかで朝飯を済ますのは信じがたいみたいな強弁ばかりだが、ここ1,2年で私の朝食スタイルも変わった。菓子パン2つかそこらで簡単に済ませることが増えた。これも加齢の一つだ。ちょっと残念な気持ちがする。

 

ほんの5年ぐらい前には朝起きた瞬間から空腹を感じてガッツリと食べていた。変われば変わるものである。先日は起きてまもなくサッポロ一番を食べたのだが、なんと1袋分しか作らなかった。私にとってこれは異常事態である。袋麺は一度に2袋というのが私の常識だったが、1袋でこと足りてしまった。ビミョーだ。

 



先日は「なか卯」のデリバリーでも想定外の事態になった。月見ナントカ丼が美味しそうだったので、それをメインにカツ丼も食べようと思ったのだが、月見ナントカ丼を食べただけで満足してしまった。


カツ丼は手つかずだった。2つ食べるつもりで両方ともご飯は並盛にしたから、なんと並盛の丼モノ一つで満足してしまったわけだ。これって個人的には事件である。

 

世の中にはびこる食における「一人前」は健康な男子から見れば絶対に少ない。これは真理だろう。カップ麺にしても昔は少数派だったデカいバージョンが増えたのがその証である。

 

一人前というシケた量で満足してしまったことが自分の中ではショックだった。加齢の現実だろう。でも見方を変えればようやく私も還暦を目前にして「一人前の男」になれたということか。


いやいや、我が身の劣化を都合よく解釈するのはダメだ。大食いは健康のバロメーターである。「一人前」ならともかく、これから歳を重ねたら「半人前の男」という出来損ないみたいな存在に落ちぶれてしまう。そんなのはイヤだ!

 

そうは言っても、もちろん今もとりあえず食い意地の張った食生活は基本的には変わらない。朝飯は別としてその他の食事の際には目の前に料理が1個しか置かれていないとザワザワした気持ちになる。あれこれ並べて迷い箸になるぐらいを好む。

 

そんな贅沢なことが出来る時代に生きていることをつくづく有難く感じる。江戸時代の飢饉の頃や戦後間もない困窮の時代だったらはたして真っ当に生きていけたのだろうか。無理だったと思う。

 

さてさて、先日は無性に洋食の気分になって一人ふらっと銀座の煉瓦亭に夕飯を食べに行った。最近は「ピラフ禁断症状」に見舞われる日々で、私好みのピラフを求めてパレスホテルか東京會舘に行こうかと思ったのだが、煉瓦亭の近くにいたので吸い寄せられるように突入。

 




ピラフはないがピラフっぽい炒めメシはアレコレ揃っている。この日は「ハムライス」にしてみた。ここ1ヶ月以上も健康を意識してコンビニフードを封印していたから有害っぽい味!が妙に恋しかった。

 

不健康業界?では大物級の存在であるハムを多用した炒めメシである。ハムライスという投げやりな名称がまた良い。チキンライスだったらその響きからいろんな夢や希望が広がるが、ハムライスには怪しげな印象しかない。

 

コンソメベースの味付けでこの店が得意とするざく切り玉ねぎのアクセントが嬉しい。具材はハムとマッシュルームが基本。昔ながらのピラフっぽい味を楽しめた。

 

「一人前の男」ならこれだけ食べて黙って帰ればいいのに、卓上にアレコレ並べたい私は他にも料理を注文した。プレーンオムレツとエビのコキールである。

 




食べたかった前菜が品切れだったので、ビールのツマミとしてオムレツである。もちろんソースをベチャベチャかけて味わった。さすが洋食業界の老舗だけあってケチのつけようのないウマいオムレツだった。

 

でも、妙に高い。いつの頃からかこの店の値付けが上昇傾向にある。これも近頃の物価高騰の影響だろう。プレーンオムレツは確か2600円だった。気軽な雰囲気がウリの店にしてはなかなか強気な値段である。

 

コキールもここに来たら外せない。いわばグラタンやドリアの上だけバージョンである。ざく切り玉ねぎやエビに加えて細かく切ったゆで卵などが濃厚なベシャメルソースと渾然一体になっている。野趣あふれる?スタイルが煉瓦亭のコキールだ。

 




コキールをおかずにしてハムライスを主食にガツガツ食べる。やはり私にとって食べるというエネルギー補充方法は「一人前」ではダメである。


朝だけは「一人前の男」に成り下がってしまったことは忸怩たる思いだが、それ以外の時は今後も「二人前、三人前の男」として頑張って行こうと決意を新たにした。




 

 

 

 

 

 

0 件のコメント: