2025年1月31日金曜日

ビシャビシャしたい


ピラフ。私にとっては愛しさ満点のご馳走だが、世間の評価はビミョーだ。冷凍食品の安いエビピラフや乗っかっている肉が主役のステーキピラフなどがちょろっと注目されるぐらいで、チャーハンやチキンライスなどに比べると存在感は薄い。

 

日本代表選手であるコメが洋風にアレンジされた一品だから近代ニッポンではもっと英雄視?されていいのにピラフ、ピラフ!と騒いでいるのは私ぐらいである。

 

安い冷凍食品だけでなく、古めかしい喫茶店でテキトーに調理されるパターンが定番化してしまったせいだろう。そうした“カジュアルピラフ”は別として老舗ホテルなどで出てくる高級ピラフの美味しさはこの国の西洋料理の崇高さを象徴するものだと思う。

 

このブログでも10年以上前から折に触れてピラフ賛美を書いてきた。

 ●ピラフ文化論

https://fugoh-kisya.blogspot.com/2012/03/blog-post_12.html

 

ピラフの社会的地位を向上させようと孤軍奮闘してきたのだが、当然ながらピラフブームがやってくる気配はゼロだ。やはり西洋風炒めメシ、西洋風炊き込みメシに数千円を投下する物好きは少数派なんだろう。

 

かく言う私も、ここ数年はピラフのことをなるべく思い出さないようにしていた。九段下のホテルグランドパレスが閉館して一番好きだったピラフが食べられなくなってしまったせいである。その後も洋食の人気店には頻繁に出かけているが、私がウットリするほどのピラフにはなかなか遭遇しない。

 

気が狂ったようにピラフを追っかけていた頃に比べれば情熱の炎が消えてしまったような状態だった。

 ●ピラフ病

https://fugoh-kisya.blogspot.com/2020/11/blog-post_30.html

 

洋食屋さんでチキンライスやハムライス、はたまたオムライスを食べていれば、愛するピラフを失った痛みへの対処療法になっていた側面もある。

 

そんな私のピラフ病を再発させそうな出来事があった。資生堂パーラーの「チキンライスの素」というレトルト食品がきっかけだ。ご飯と混ぜて炒めるだけの即席版だが、世の中に出回っているチキンライスの素とは一線を画した味だった。

 



チキンライスというよりピラフっぽい雰囲気の味だったからちょっと興奮しながらムホムホ食べた。ご飯だけでなく鶏肉やマッシュルームを追加して味を微調整して作ったこともあって、チキンライス感は逆になくなってしまい高級ピラフっぽい雰囲気に仕上がった。

 



日頃からチキンライスによってピラフ愛を誤魔化していた私のシミッタレた?心に久しぶりにピラフ信号が灯った感覚だった。意味不明な表現ですいません⋯。

 

そんなこんなで久しぶりに高級ピラフを堪能しようと東京會舘のロッシニテラスに行ってきた。私にとって高級ピラフとは専用ソースをビシャビシャかけて味わうのが基本である。東京會舘のピラフもそのパターンだ。

 

黙ってピラフだけを大盛りで注文したい気分だったが、ナゼか気取ってしまって名物のローストビーフも頼んでしまった。ピラフ様の露払い役としては悪くない。

 


 

思えばローストビーフもグレービーソースを自分でビシャビシャかけて味わうのが一般的だ。どうやら私は「自分でビシャビシャする」ことが好きなのかもしれない。久しぶりに食べた本格的なローストビーフは妙にウマかった。

 

やはり、ハヤリのカッチョいいレストランよりも老舗のクラシックな料理にホッコリしてしまう。正しい中高年の姿?である。東京會舘もそうだが、日系老舗ホテルのカフェレストランで出てくるような「ザ・王道」みたいな食べ物が歳を重ねた東京人にとっては一種の“ふるさとの味”だと思う。

 

メインのピラフはアメリケーヌソースをビシャビシャする小エビのピラフだ。東京會舘には舌平目のピラフにシャトーソースが付いてくる名物もあったはずだが、あちらはレギュラーメニューではないみたいだ。

 


 

この官能的な見た目にウットリである。食べるのがもったいないと思ったが、2秒ぐらいでそんなセンチな気持ちは消え失せガツガツと食べた。ひたすらにウマい。空腹の時にこれだけ食べろと言われたら平気で3人前はイケるだろう。ぜひ一度そんな食べ方をしてみたいと思う。

 

ピラフ万歳。そんな言葉しか出てこなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

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