2026年5月29日金曜日

バーで食べるメシ

 

バーは酒を飲む場所である。当たり前の話だが、頭の悪い私は「酒だけを飲む場所」だと長く思い込んでいたから気の利いた食べ物を出してくれるバーに行くとナゼか興奮する。

 

若い頃にイメージしていたバーは、それこそ寡黙なバーテンダーがほの暗い灯の中で黙々とカクテルを作り、客も高倉健みたいな顔でシュっとした顔で座っていないといけない空間だった。

 

実際、そういう雰囲気のオーセンティックバーはたくさんあるし、私も長く生きてきた間にはそういうバーで気取っていたことも何度もある。それはそれで一種の非日常感を味わえて悪くない。

 

ツマミはオリーブかチョコレートか、せいぜいサラミ。勝手にそんな思い込みが今もあるのだが、実際に渋いバーでも何でもかんでも食べられることが多い。ホテルのバーなどはホテル内のレストランの料理が注文できたりするからヘタすると和洋中なんでもアリだ。

 

あれこれと好き勝手にいろんな酒が注文出来てマトモな食べ物もしっかり食べられるわけだから一石二鳥である。もっとマメに使ったほうがいいと痛感する。

 



先日、所用で飯田橋のホテルエドモントに行く機会があったのだが、安直にホテル内のバーで酒もメシも済ませることにした。カジュアルなホテルだけにバーの雰囲気も堅苦しい感じではなく居心地が良い。

 

カッチョいいバーに行くとついついカッコつけて「マッカランをロックで」とか言ってしまう私だが、暑い日だったのでモヒートやマルガリータを頼んでグビグビ。時にはこういう時間も悪くない。

 



食べ物はチーズやチョコの他に、洋風薄切りトンカツみたいな豚肉のピカタ、ローストビーフなどを注文。ちゃんと美味しくて満足。「バーでメシ」というパターンがクセになりそうな気がした。

 

別な日、銀座のバー「U」に夜ご飯を食べに行った。今年の初めに知った店だが、フードメニューが充実しているので、ちゃんとしたバーでありながら私にとっては食堂的な楽しみの場になっている。

 

つい食べたくなっちゃう赤ウインナーの他にホタテのポワレやトリッパを注文。ハイボール片手に気ままに過ごす。

 





ナポリタンや本格パスタもあるのだが、この日は新メニューの「カルボナーラサンド」とやらが気になったので迷わず注文してみた。

 

銀座のバーはサンドイッチが充実していることは知る人ぞ知る。カツサンドなど数えきれないほどの店がそのウマさを競っているし、タマゴサンドも然りである。

 

このカルボサンドはそんな状況の中でちょっと変わったメニューを出したいという店の料理担当が編み出したらしい。麺がパンからハミ出てくるサンドイッチなんて気持ち悪いなあ、焼きそばパンみたいなものか?という私の心配をヨソに出てきたのは割と普通のサンドイッチだった。

 


 

要はカルボナーラソース的な味付けの具材で作られたサンドイッチだった。素直にウマかった。確かにタマゴサンドのライバルになりえる味だろう。

 

夜の店でタマゴサンドを食べがちな銀座のオジサマ族にとっては新鮮な感じがウケるかもしれない。近隣には出前もするらしいので、そのうち7丁目8丁目界隈のクラブ活動の際に小腹が空いたらデリバリーしてもらおうと思う。

 

昭和の終わり頃に若者だったオジサマたちは「カルボナーラ」という響きに郷愁を覚える。ナポリタンやミートソースは当時からポピュラーだったが、カルボナーラは昭和50年代初頭に突如現れたような気がする。

 

少なくとも多くの店のメニューに載るようになったのはそのぐらいからだったはずだ。私自身、あの濃厚で官能的で罪深いクドい味を始めて食べた時には卒倒しそうになった。確か中3か高1の頃、放課後の溜まり場だった新宿の喫茶店で初めて食べた気がする。

 

15歳前後の少年にとってあの味は麻薬だった。今ではクドさが気になって積極的に食べないが、いにしえのあの味がふんわりとしたパンに挟まって出てくるならバンバン食べられちゃう。

 

カルボナーラサンド、どうやら頻繁に食べに行ってしまいそうである。

 

 

 

 

 

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