2013年3月29日金曜日

アッパレ!山路さん


山路さんである。野球の江本でもなく、漫画家の小林よしのりでもない。山路徹さんである。APF通信社代表という肩書きがあるようだが、そんな肩書きよりもただ単に「山路さん」だ。

麻木久仁子ともうひとりのナントカいう女優と三角関係になったことで一躍有名になった御仁だ。

女優さんを二人も手玉に取るだけでも尊敬に値するが、それ以外にも女性キャスターとの不倫関係があったとか、女性にはいつも貢がれていたとか、ウソかホントか知らないが、凄い人である。

若くてイケメンのモデルとか俳優ならいざ知らず、山路さんである。一見、普通のオジサンである。

二股騒動でブレイクした塩谷瞬ならまだわかるが、山路さんである。いったい、どんな寝技を持っているのだろう。

きっと色々と凄いのだろう。

山路さん、ちょっと憧れてしまう。

山路さんの凄いところは、不倫騒動であれほどバッシングされたにもかかわらず、その後、平気な顔でワイドショーとかに出演してイジられている泰然自若ぶりだ。傍若無人と表現した方が的確だろうか。

なんか必死に反論したり、主張するわけでもなく、ネタにされる自分をひょうひょうと俯瞰しているようなオトナな感じが堪らない。

ちょっと萌える。

世の中も山路さんの魔力にやられてしまったらしく、あれだけ叩きまくっていたはずの女性週刊誌の中には山路さんに人生相談のコーナーを持たせる雑誌もある。

あの山路さんが人生相談である。

あの騒動から数年、山路さんの勝ちである。山路さん圧勝だ。

ちょっと長くなるが、女性セブンに掲載されていた山路さんの人生相談を載せてみる。

秀逸である。ちゃんと真面目に真摯に答えている。山路さん、いいね!である。



★★数々の修羅場をくぐりぬけてきたジャーナリストの山路徹さん(51才)が女性セブン読者のお悩みにズバリ回答。今回はアブノーマルなシチュエーションに燃える夫に対するお悩みです。

【お悩み】
 うちのだんなは看護師や女子高生の衣装を買ってきて、セックスするときに私に着てくれと言ってきます。最近では設定も“ビル清掃員の女性とトイレでセックス”などマニアックなものに。セックスレスよりマシと思っても、あまり変な設定は「無理」と断りますが、それでも「やってよ~」と迫ってきます。どうしたらやめてもらえますか?(44才・パート)

【山路徹のアドバイス】
 あなたが言っているとおり、セックスレスよりずっといいですよ。性生活がない40代以降の夫婦ってたくさんいますし、だんなさんにかまってもらえないという世の奥さんからすると、うらやましい話。逆にセックスレス夫婦には見習ってほしいプレーですね。

 ただ、本気でやめてほしいと思うなら、あなたがだんなさん以上にプレーに積極的になりましょう。こういうマニアの人って、相手が嫌がっている姿を見るのも好きで、“イヤイヤ”という態度を見せると余計に燃え上がってしまうもの。だから「早くやろうよ」とか「もっともっと」とか言って、率先してやる態度を見せると「あれ? こんなはずじゃなかったのに…」と冷めてしまったりするんです。最初は精神的に苦痛かもしれませんが、2~3度やっていくうちに、だんなさんの気持ちも萎え、無理強いはしなくなるんじゃないですか?

 まあ、でも、絶対にあなたが嫌というなら話は別ですが、ぼくはあえてあなたも楽しむ方向に行ったほうがいい気もします。

 だんなさんが「清掃員の女性とセックス」などマニアックな設定にこだわるというのは、抑圧された社会に生活するなかでそうした願望のようなものが沸き起こっているのかもしれません。その願望を満たす相手先が自分の妻というのはある意味救いがあります。

 まかり間違って、欲望を抑えつけた反動で、本物の清掃員を襲ってしまったら、犯罪ですからね。欲望が家庭内で発散できているなら、問題ないのでは。精神的苦痛を伴うことならはっきりと「ノー」を言うべきですが、そうでなかったら、自分がいかに楽しむかを考えましょう。たまには自分がしたい格好を言ってみるとか、逆にだんなさんに着てほしいコスチュームを提案してみるとか。コスプレでも相手に求められるなんて、愛されていてうらやましいですよ。

※女性セブン2013年3月21日号




圧巻である。44歳の女性のコスプレをくさすこともなく、淡々と誠実に社会の中で鬱屈するダンナの抑圧された精神性を説く。おまけにダンナにもコスチュームを着せろと指示する切り返しに脱帽だ。

おまけに、「嫌がる態度より積極的に要求する態度のほうが男は萎える」などという解説の部分は、男の性癖を的確に捉えていて、回答として完璧だと思う。

山路さん、恐るべしである。男女問題における文化財級の人なのかもしれない。

そんな山路さんがついに「壇蜜」と対談した。これまた女性セブンである。


これまたパクって載せてみる。いつの間にか肩書きが「ジゴロジャーナリスト」になっている。なんて素敵な肩書きなんだろう。




テレビや雑誌で今、引っ張りだこの女優といえば壇蜜(32才)。SM、レズプレーの経験もあるという“新セックスシンボル”の彼女に、性に関する著書もあるジゴロジャーナリスト山路徹さん(51才)が直撃した。
山路:今をときめく壇蜜さんにお会いできて光栄です。それにしても(壇蜜の胸元を見て)目のやり場に困るなあ。
壇蜜:ありがとうございます。普段はとても地味に暮らしているんですけどね。ブランドにも興味がなくて、洋服も西友などで買っていますし。
山路:映画ではオールヌードで体当たりの演技をしているし、テレビでもちょっと過激でエッチな発言をしていますが、透明感が感じられるんですよね。すっぴんもテレビで拝見しましたが、化粧しているときも素顔も両方とも清楚で素敵です。
壇蜜10+ 件:実際の私は荒川ばりに濁っているんですが(苦笑)。(編集部注・荒川は東京と埼玉の都県境を流れ東京湾に注ぐ一級河川。川幅日本一)  山路:そんなことないですよ。それに醸し出される色気というかエロス。これはどこから出てくるんですか?
壇蜜:自分ではよくわからないんですが、幸せじゃないからだと思います。今の人気なんていつまで続くかわからないですし…。すごく幸せで私生活が充実している人よりも、私みたいに宅配便の集荷場の音がうるさくて眠れないような家賃7万5000円のワンルームアパートに暮らしているような人のほうが男性は性的な対象として興奮するのかもしれません。
山路:確かにエロスは抑圧と自制から生まれてくるもの。ギリシア神話に描かれているエロスの神も、裏切りや禁断、嫉妬といった感情が描かれていましたから。
壇蜜:そこまでエロスを語れるのはさすがですね。私は、山路さんの“二股騒動”を報道で知って以来、自分に似たにおいを感じていました。
山路:どういうことですか? 壇蜜:私たち“フランス脳”だと思うんです。フランス人って恋愛に対しても比較的自由ですし、婚外子も多いでしょう。もしも終戦後の日本がアメリカでなく、フランスに統治されていたら、もっと違っていたのかもしれないと思うんです。
山路:もっと自由に恋愛を楽しんでいたと?  壇蜜10+ 件:そうです。ワイン片手に誰とでもセックスを楽しんでいたかもしれない。
山路:日本はフランスと違ってセックスレスで悩む女性が多いですから。仕事で40代、50代の女性たちと話す機会があるんですが、セックスしたいのに、だんなは振り向いてくれないと悩んでいる人が多い。
壇蜜:日本も古くは“夜這い”という風習があったようにある意味では、フリーセックスを受け入れていた民族のようですから、もしかしたら、今の一夫一婦制が合ってないのかもしれませんね。


「フランス脳」の話には大いに共感するが、内容はどうでもいい。

そんなことより山路さんが凄いのは、アノ壇蜜に「自分と似たにおいを感じた」と言われている点である。

山路さんの超人的存在意義?は実は凡人の想像の及ばないレベルに到達しているのかもしれない。

それにしても「壇蜜と同じ匂い」である。壇蜜の匂いを嗅いでみたい私としては、山路さんの匂いも嗅ぎたいということになってしまう。

どんな匂いなのだろうか、山路さん…。ちょっと嗅いでみたくなってきた。

なんか今日はアホバカな内容に終始してしまった。

春なんだと思う。

2013年3月27日水曜日

モアルボアル 接写の楽しみ


3回も続けて海ネタで恐縮です。

フィリピン・モアルボアルの旅では、場所柄?美食とは程遠い1週間を過ごした。おかげで太らなくて済んだ。




フィリピン名物のマンゴシェイクは世界一ウマいのだが、食事のほうはちょっとオヨヨが多い。

画像は1枚目が宿の朝食。拘置所みたいに質素だ。「タンスイカブラー」としては炒めメシを何度も頼んだが、だいたいが駄菓子みたいな意味不明な味付けだったり、間違えてニンニクを入れすぎたみたいな苦い味だったり、そんな感じ。

新鮮な海老をバター、ガーリック、レモンジュースで味付けした一品はビールの友に最高だったが、あとは語るほどでもない。

さて、今回の水中写真は、最近買ってみたオリンパスのコンパクトデジカメ(コンデジ)「TG-1」で大半を撮影してみた。

結論から言って、「コンデジ恐るべし」である。一眼を使って必死に撮影をし続けた苦節20ウン年が一体何だったんだと複雑な気持ちになった。
★画像をクリックすると拡大表示されるので、是非大きなサイズで見てください





ニシキヤッコ、キンギョハナダイ、ニチリンダテハゼ、カニハゼの写真だ。

手ぶれは少々あるが、総じてシャープに写し出すし、色再現も充分だ。

F値が2という優秀かつ明るいレンズは、昔流で言うところの20㎜~100㎜のズーム全域で変わらずにシャープな画像を記録する。

最短撮影距離もワイド側で10センチ、マクロ側で15センチと優秀で水中撮影にはもってこいの仕様だ。

ワイド側は水中着脱可能な社外品のフィッシュアイコンバージョンレンズを装着すれば、画角160度ほどの超広角撮影が可能。マクロ側は比較的画質の落ちない光学ズームを使えば、より激しく?接写することも可能だ。

単焦点のマクロレンズを20ウン年使ってきた私としては、ズーム全域で接写が可能になるレンズが面白くてアレコレ試すことができて妙に楽しかった。

初めて水中に持ち込んだカメラで楽しく感じられたのだから、慣れたらかなり面白い写真が撮れると思う。




ミズタマサンゴに潜むほんの2センチ程度の小さなエビも余裕で撮影できるし、怒ったようなエソの表情も適度な距離感からバッチリ写し出せる。

その風貌からマクロ派ダイバーに人気のオラウータンクラブが2個体一緒にいた時も、片方だけにピントが来るわけではなく、ごく簡単にスナップ感覚で撮影できた。

コンデジだから特殊な効果を狙った作品作りは難しいが、普通に綺麗にワイドからマクロまであっけらかんと撮れてしまう実力には恐れ入る。

おまけにカメラ自体が10メートル以上の防水機能付きだ。専用の水中撮影用ハウジングに入れて使っていたが、ハウジングからの出し入れの際にカメラ本体が濡れようが水滴がかかろうがビビる必要はない。精神衛生上とってもラクチン。

今回は他にもキャノンの一眼レフ、オリンパスのミラーレス一眼もそれぞれ防水ハウジングと共に持参したが、ほとんど出番無し。そのぐらいコンデジで遊んでみた。



ウミウシも触覚からシッポ?まで綺麗に写し出す。ボケ味を楽しみたい向きにはイメージが違うだろうが、これはこれで満足できる水準だ。

実質6日間の潜水三昧で24本も潜ったのだが、チャーターしたガイドやボートマン達は明るいフィリピン人だから、ヘトヘトな様子でも楽しそうな顔を作ってくれたので、こっちも陽気に過ごせた。



この画像のボートをチャーターして潜っていたわけだが、夕日が水面を染める時間帯まで付き合わせたから彼らもシンドかったはずだ。

一応、帰る日にたくさんチップを弾んでおいた。5年前にも活躍してくれた真面目な船頭さんなんて泣きそうなぐらい喜んでくれた。民間ODAみたいなものだ。

今回の初挑戦はコンデジだけではなかった。オリンパスのミラーレス一眼のハウジング先端に装着して試してみた特殊レンズがINON製の「水中マイクロ魚眼レンズ」だ。

昆虫写真とか花の写真の愛好家などの間で人気を集めている、いわゆる「虫の目レンズ」の水中版だ。

これも水中着脱可能で、被写体にくっつくほどの距離で撮影するのがポイント。正直、被写体にぶつかるぐらいじゃないと個性をいかした写真は撮れない。

動かない被写体向きだ。実に難しいレンズだったが、適度な被写体を見つけられて、ついでにこのレンズに慣れていれば相当個性的な作品が撮れそうだ。



小型のウツボが穴からチョロチョロ顔を出していたので、このレンズを試してみた。しばし動かさずにカメラ自体を穴に固定していたらウツボのほうから興味を持ってレンズにくっついてくる。レンズ直前からピントが合うのだが、さすがにウツボは微妙に動くのでナイスな感じに口を開けた時はぶれてしまったのが残念。

これだけ接近して撮影しているのに周辺の生息環境も写し込むのがこのレンズの面白さである。

2枚目の巌窟王?みたいな魚(カエルアンコウ)もほとんど動かないので、レンズがくっつくぐらい近づいて撮影。遠目にいるガイドダイバーも写し込むことが可能だ。向こうに写るダイバーは、こう見えてもカメラからほんの2~3メートルの距離にいる。
相当なデフォルメ効果があるから、次回の潜水旅行ではもっといろいろ試してみようと思う。

さて、コンデジに話を戻す。

ハウジング自体が小さいから、外付けの水中ストロボもいつもの2灯ではなく、1灯で撮影する機会を増やしてみた。相当コンパクトだし、ストロボアームもちょっとで済むから狭いすき間にカメラを突っ込んで撮影するにはラクチンだ。



つくづく、旅の前半でジンベイザメを撮影しに行った時にこのコンデジで集中してアレコレ機能を試せばよかったと後悔した。

ジンベイダイビングの時は、まだコンデジを信用していなかったというか、小馬鹿にしていたから実に惜しいことをした。

ただ、今回20本以上潜った中で、コンデジが一度だけ「フリーズ」した。ウンともスンとも言わなくなり、その時はガイドに持たせていた別のカメラを使った。

水面休息中にカメラのバッテリーを入れ直したら、普通に作動し始めたから問題なかったが、昔のカメラと違ってイマドキ家電のちょっとしたトラブルは仕方ないことかもしれない。

今回チャーターしたガイドは、この海で20年以上潜っているという42歳、8人の子持ち、3人の孫持ちという男だったのだが、日本人オタクダイバーを喜ばせるような細かいガイディングは一切無い。

それでも、こちらが浮上のサインを出すまでは決して寒くても我慢し続けていたし、時々、小さいエビや不細工なヘンテコ魚を探せと支持すればそれなりに働いてくれた。

タツノオトシゴ系の希少種であるピグミーシーホースの生息場所も把握してくれていたので、マンツーマンで小一時間もの間、極小サイズのピグミーちゃんを撮影することが出来た。





ピグミーシーホースは2個体いたのだが、全長はそれぞれ2センチほど。ファインダー越しに覗いていると、すぐに見失ってしまう。そういう時は、私がウーウーうなり声を上げると、ガイドの彼は指示棒を使って、私のファインダー越しの視線を誘導してくれる。

ピグミーちゃんが恥ずかしがって反対方向に顔を向けてしまっても、私がウーウーうなれば、ヤツは指示棒で向きを変えてくれた。

ピグミー撮影の時以外も、撮影しやすいように何かとミニ自然破壊?みたいなサポートをふんだんに展開してくれた。

エコエコやかましい西洋人ダイバーなんかと乗り合いでダイビングに行ったらそういうマネは出来ないので、チャーターダイビングならではのズルい?撮影が楽しめた。

私が一番好きな魚であるニシキテグリの撮影の時もそうだった。マンダリンフィッシュことニシキテグリの撮影はサンゴやその周辺のガレ場からぴょこぴょこ出たり入ったりする被写体をじっくり追いかけ回すことになる。

どうしてもカラダを固定したいから岩を両股で挟み込んだり、肘を固形物に押しつけたりする。




サンゴを壊さないように細心の注意を払うが、本来なら着底禁止だし、サンゴとかその周辺の物を触ったり掴んだりするのはNGである。そうは言っても、少しはヤバい態勢になってしまったり、マズいポジション取りになってしまう。

ニシキテグリはそこら中にゴロゴロ出てきてくれるので、ガイドの彼は見張り役として活躍してくれた。他のダイバーがやってきた時に私にこそっと知らせる。その時だけ私は中世浮力を取ってサンゴを完璧なまでに保護する態勢に切り替わるわけだ。

まあこんなことを書いてしまうと私の行儀の悪さ、マナー違反を明かしていることになるので、心苦しいが、彼の活躍ぶりはそんなところにも及んでいたわけだ。

なんだかんだと随分長々と書き殴ってしまった。

基本的にはコンデジの優秀さを書きたかったのだが、画像からその感じが伝われば嬉しい。

30年近く潜ってきて、潜水回数は750回を超えた。今回、散々潜ってみて、ここ何年も「中だるみ」していた水中探索への欲が改めて甦ってきた感じがする。

潜水回数でいえば、100本、300本、500本ぐらいまではハイペースだったのだが、それ以降は牛の歩みのようにノロノロになってしまった。

どうせなら1000本までは頑張ってみたい。南国限定でも年に2,3度ガツガツ潜りに行けばあと5年ぐらいで到達できそうだ。

せっかくだから目指してみることにする。

2013年3月25日月曜日

モアルボアルの旅 ワイドアングル


昭和の頃から水中写真を趣味にしてきたが、いまではコンパクトデジカメ、通称コンデジが発達して、各メーカーが防水ケースも発売するようになり誰でも綺麗な写真を撮れるようになった。

隔世の感がある。タンクの重さとか、潜水機材の使い勝手とかは特別進化したように思わないのだが、撮影面に関しては物凄い進歩だ。

いま、というか、ここ10年以上、我々素人写真派ダイバーの世界で主流になっているのはマクロ撮影である。一眼カメラにマクロレンズを装着するか、コンデジのマクロ機能を使うなりして、小さい魚を近接撮影するパターンだ。


ウミウシとかイソギンチャクに潜む小さなエビやカニあたりの動きの少ない被写体を撮影して、肉眼で見るよりもヴィヴィッドな色彩を楽しむ感じだ。

ピント合わせの難しさもあって、バッチリ撮れた時は、ハンティングに成功した時のような快感がある。

被写体まで近づいて撮影するため、海の透明度や浮遊物の影響を比較的受けにくいのもマクロ撮影がポピュラーな理由だ。

私もスーパーオタクダイバーのように時に這いつくばって息を殺し、30分ぐらいまったく動かず肩凝りになってまで小さな魚と格闘?することが多い。

それはそれで楽しいのだが、やはり海の雄大さというか、今自分が漂っている綺麗な世界を画像に残したい気持ちが強くてワイドアングルの写真に強く惹かれる。

それこそ30年近く前に本屋さんで立ち読みして衝撃を受けたダイビング雑誌のグラビアが超ワイドアングルの一枚だった。真っ青で綺麗な水中景観を写し出していた写真に強く引き寄せられた。

水中では光の屈折率の関係で陸上よりもカメラの画角が狭くなる。陸上で比較的広範囲を写し込むレンズも水中では面白味のない標準画角に留まる。

そのため、画角180度ぐらいのフィッシュアイレンズとか、同様の効果を持つコンバージョンレンズを装着して撮影する必要がある。

★画像クリックで拡大表示されますので大きくしてご鑑賞下さい。



ただし、これらのレンズは被写体まで遠くても1メートルぐらいに近づかないとボンヤリした画像になる。具体的にはレンズから30センチぐらいの距離に中心になる被写体を置いて、周辺の広がりを写し込むパターンが望ましい。

超広角ともなると、カメラを格納する防水ハウジングから延ばしたストロボアームが写り込んじゃったり、自分の足ヒレの先が写り込んだり、意外に厄介。そこそこ透明度が高くないと海の青さが綺麗に出ないし、簡単そうで会心の作品が撮りにくいのも確かである。

今回行ってきたMOALBOAL(モアルボアル)は、成田から直行便で4~5時間で到着するセブ島にある。安・近・短の代表のようなセブ島だが、モアルボアルは空港から3時間ぐらい移動する。そのおかげで素晴らしく美しいサンゴが至るところに残されている。




この地を訪れるダイバーは、沖に浮かぶペスカドール島という無人島周辺で回遊魚や大物を狙ったり、その他のポイントではレアの小物を狙うマクロ撮影に精を出す人が多い。

というわけで、水深3~5メートルの浅瀬に広がる素晴らしいサンゴの上を漂うような物好きは少数派だ。

今回の旅では1週間滞在して都合24回も潜った。そのぐらい余裕があると、ガンガン潜ってばかりではなく、ただサンゴの上を漂うホゲホゲダイビングも混ぜられる。

「最大水深5メートルでサンゴだけを1時間堪能する」。いまどきのダイビング事情に背を向けたアマノジャク潜水みたいだが、これが結構楽しい。

今回が進水式だったオリンパスのコンデジ「TG-1」にフィッシュアイコンバージョンレンズを付けて遊んだ。カメラ本体のズーム機能を使えば、画角を狭めることも簡単だから、サンゴの上を舞う魚を撮影して「気持ちよい系」の写真をたくさん撮った。






今回、私にとって衝撃だったのは、コンデジの「水中ホワイトバランス」という機能。オリンパスが妙に力を入れている機能なのだが、ストロボ無しで充分に色再現をしてくれる。

水中写真は例え水深5メートルぐらいでも普通なら青かぶりしてしまって、被写体の色が再現されない。ストロボは必須であり、超広角レンズを使う場合は左右2灯が常識である。

上に載せた4枚連続の画像はストロボ無しで撮影。正直驚いた。そんな機能があるとは知っていたが、話半分ぐらいの認識でいた。なかなか凄い。前回アップしたジンベイザメの画像もそうなのだが、いとも簡単に綺麗な色が表現される。

ストロボの角度などを気にする必要もないし、微妙に漂う浮遊物にストロボ光が反射してしまう恐れもない。ちょっとした革命だろう。

さて、サンゴのような景観を撮影するのに適した超広角レンズだが、比較的接近できる大型の生き物に出会った時に最大の真価を発揮する。





モアルボアルは海亀がアチコチにいる。今回はデカいのばかり目撃した。泳いでいるヤツ、岩陰で昼寝しているヤツ、いろいろだったが、ゆっくり近づけばキスできるぐらいに近づけるのでワイドアングルの写真を撮るには最適な被写体だ。

私は昔からヘコヘコ泳ぐ海亀の写真を撮るのが好きだ。岩場や根をバックにした写真ではなく、なるべく青一色の海をバックに撮影するのが好みなのだが、今回も良い感じの位置に太陽光が射している時間帯に昼寝してるカメを発見。

ゆっくり近づき、優しく起床時間だと告げる。かったるそうに立ち去ろうとするカメ。沖に向かって泳いでいただくように説得する。

そんなこんなで青い海に泳ぎ出てくれたので、並んで泳いでポジションを決めて太陽光とカメをフレームに収めてみた。





一番最後の距離が近づいた写真は、結構カメの動きが感じられて気に入っているのだが、画面下に変なハレーションが写り込んでしまったのと、息ごらえしきれずに吐き出してしまった私の泡が邪魔になってしまった。

近いうちにわが編集部の制作チームに頼んでちょちょちょっと消してもらおうと思う。便利な時代である。

やはりワイドアングルの撮影は楽しい。本当は、Tバック水着の女性のヒップをフィッシュアイレンズで超接近撮影するのが好きだ。そんな画像を撮るために苦節ウン十年も水中写真に励んできた。すべてTバック画像のための練習である。ただ、そういう画像はこの由緒あるブログに載せるわけにはいかない。秘蔵画像である。ここではカメで勘弁していただきたい。

次回はマクロ撮影についてあーだのこーだの書いてみようと思う。