2023年12月29日金曜日

レトルトハヤシ 徹底研究


12月、年の暮れに私がせっせと励んだのがハヤシライスの研究である。レトルトハヤシを20種類ほど食べ比べてみた。しばらくハヤシライスは見たくないぐらい徹底してそればかり食べた。

 


 

今月始めにこのブログで「カレーじゃないレトルト」について書いたのだが、その頃に始まった「ハヤシ研究」が止まらなくなりアチコチから取寄せもして自分好みの商品を見つけるのに躍起になった。

 

ちょっとバカだと思う。こういうところがB型気質だと感じる。関心のないことは徹底的に無視する代わりに興味の持ったことには妙な集中力を発揮してしまう。

 




主に自宅での朝食の際に頑張って食べ比べた。夜は外食が多いのでそうでもしないと課題?がちっとも進まない。二日酔いの日も魚が食べたい気分の日も懲りずにハヤシ攻めに務めた。たいていは真ん中にご飯をダムのようによそって2種類のレトルトハヤシを両側にかけ分けた。

 

我ながら実に物好きだと感じる。いくつもの商品をネット通販でわざわざ高い送料まで負担して入手した。帝国ホテル、リーガロイヤルホテル、東京會舘などはレトルトのためにわざわざネットで会員登録まで済ませた。





そこら辺のスーパーで売っている100円台、200円台の商品ではなく、ご立派なウンチクを表記している500円オーバーの商品を中心に調査した感じだ。1千円超えの商品にもひるまず立ち向かってみた。

 

レトルトハヤシ一つに1千円を超える出費をすることが既にヘンテコである。とはいえ富豪記者を名乗る以上、コスパは無視である。でも美味しさは値段に比例しないことを実感できて勉強になった。

 





食べるついでに簡単にメモまでとった。でも20種類ほど食べ比べるともはや何が正しい味かちっともわからなくなった。だいたい、ハヤシライス自体がトマト系の酸味をウリにする系統か、デミグラスソース系のシチューに寄せた系統か、どっちが正解か正直分からない食べ物である。

 

ちなみに商品によって「ハヤシライス」「ハヤシビーフ」「ハッシュドビーフ」等、表記は様々だが、ここでは便宜上「ハヤシ」で統一している。

 

総論としてまず語るべきは高い商品でも入っている肉はちっとも期待できないということ。これはレトルトの宿命だろう。クズ肉と言っては悪いが、せいぜい牛丼の肉みたいなレベル。これは1千円オーバーの米沢牛を看板にした商品だろうと高級ホテルの商品だろうと同じ。

 

まあ、レトルトハヤシに求めるのは肉質ではなくあくまでソースの味わいだ。肉問題は個人的にはどうでもいい。色味は黒系、濃い茶系、淡い茶系の3系統だ。色だけで決めつけられないが個人的にはデミ系が好きだから黒系に軍配を上げたい。

 




芳味亭、柿安、グリルグランド、明治屋オリジナルハヤシ、三越伊勢丹オリジナルハヤシあたりが黒系だった。色合いについてはメモを忘れた商品もあるのでちょっと曖昧…。

 

人形の洋食の名店・芳味亭の名前を冠した一品は洋食好きなら結構満足できるレベル。650円の商品。三越伊勢丹と明治屋のオリジナルハヤシもバランスの良い味付けでコクがあってリピートしたくなる味。それぞれ450円、540円の値付け。まあまあだった柿安は750円。

 

ちなみの金額は私が入手した価格なので買い方で変動すると思う。500600円となるとスーパーで売っている廉価版の2倍以上だが、800円以上1千円超えもある中では妥当な価格だろう。味が好みならアリだと思う。

 


 

大きなスーパーでよく見かける「麻布十番シリーズ」のハヤシも600円で万人受けする美味しさ。総合力で上位に来る味だ。「日比谷松本楼」も私好みで気に入ったが値段は850円で高め。

 

800円クラスでは「スエヒロ」のハヤシにも期待したのだが、ビックリするほど甘かった。子供なら喜ぶかもしれない。逆に洋菓子の老舗「コージーコーナー」のハヤシがケーキ屋さんだから甘めの味かと想像したが、コクが深く完成度が高く560円という値付けにも好感が持てた。

 

函館の洋食の老舗「五島軒」のハヤシ(750円)も悪くなかった。ここのレトルトカレーは私の好みではないので期待していなかったのだが、椎茸やタケノコが投入されたハヤシは優しい味わいだった。


 

ネット上でよく見かけるから試してみた「創建社」のハヤシ(570円)は妙に甘かった。よくよく味わったらどうもバナナみたいな味がしてこちらも子供向けに感じた。

 

帝国ホテル(1200円)の商品はバター感が強く重たいシチューみたいな印象で正直よく分からない味だった。リーガロイヤルホテルの商品は甘味と酸味のバランスに優れていて悪くなかった。ややトマト系の味わいか(700円)。東京會舘(860円)は全体にちょっと中途半端で個人的には期待外れだった。

 



富士屋ホテル(1200円)はトマト感はない路線だが酸味が好みの人向け。やはりこの値段を考えるとビミョー、米沢牛の黄木(1200円)も然り。その他では三田屋総本家(680円)人形町今半(730円)などはとくに印象に残る感じではなかった。

 

成城石井の商品はこのラインナップの中では450円というお手軽版。味はワインと胡椒がちょっと目立つ点が好みが割れそう。よりお手軽な浅草の老舗洋食店「グリルグランド」の名前を冠したエスビー食品の商品(360円)は濃い目の味付けがお店の味を連想させるが焦げたような風味がちょっと目立つ。まあ値段を考えたら優秀だ。

 


ダラダラ書きなぐってしまったが、結局は頭の中で「値段」は影響する。400500円のウマい商品を見つければ800円の商品に過度な期待を寄せるがそれがまあまあレベルだとちょっと残念な気分になってしまう。

 

20種類ぐらいの中には正直マズいのもあった。でも味覚なんて個人的な印象だから一応遠慮気味に表現してみた。“行間”を読んで解釈してもらえはいいと思う。

 



レトルトカレーに比べてレトルトハヤシは商品数が多くないので研究対象にするのはなかなか面白かった。この研究のために軽く万単位の出費をしたが、それでもヘタな外食一回で消える値段である。レトルトハヤシ研究は“レジャー”として捉えるとなかなか楽しかった。

 

というわけで、次なる照準は「レトルトビーフシチュー」に定めている。でも私にとっては野菜が少なければ少ないほど高評価になりそうだから調査結果は信用しないでもらえると助かります。

  

★今年の更新はこれでオシマイです。皆様よいお年をお過ごしください!来年は1月5日から再開予定です。

 

 

 

 

 


2023年12月27日水曜日

息抜きの時間


街でよく見かけるようになったレンタル自転車。私も最近は毎日のように利用している。通勤の足として行きも帰りもレンタルチャリで颯爽と?京橋、日本橋界隈を風を切って走っている。

 



職場と住まいは自転車で10分もかからない距離だ。タクシーでも600円か700円で済むが、レンタルチャリなら150円か200円で済む。往復で1000円も節約していることになる。我ながら素晴らしい選択だ。

 

というわけで、日々節約に励んだご褒美に熱海の温泉に浸かってきた。一足早い忘年旅である。今回は老舗旅館「あたみ石亭」の露天風呂付きの部屋を押さえてノンビリしてきた。

 

思えばだいぶ前から「思い立ったら熱海」を数え切れないほど実践してきた。家庭人を卒業?するかどうか思案中だった40代半ばの頃は毎週末のように熱海か伊東の温泉旅館に一人で泊まっていた。

 

一人なら安い旅館でも構わないのだが、いろいろと思索にふける時や自分の気持ちが落ちている時は安宿だと侘びしくなっちゃうから毎度それなりの高級宿に泊まっていた。やはり部屋食か個室での食事が可能なのは大きい。

 

東京駅から熱海までは新幹線で40分ぐらいである。職場が東京駅の近くだから、職場を出てから1時間後には宿に到着するほどお気軽な旅だ。近すぎて旅情を感じない点が残念なほど。

 

私の旅は飛行機が多い。マイレージをアホほど貯めているので無料航空券が使えるのが理由だ。飛行機はタダだと思っているから、新幹線は有料というだけで敷居が高い存在になってしまった。

 

東京駅を出発してアノ独特なメロディー音と車内アナウンスを聴くと気分がアガる。品川、新横浜と停車する区間は落ち着かないが、そこから先はビュンビュン飛ばすし旅の気分も盛り上がる。

 

しかし、ほんの15分ぐらいで小田原に着いてしまい、そこからまた15分ぐらいで熱海に到着する。私にとって贅沢品である新幹線を味わうには実にアッケない。

 




あたみ石亭には10年ぐらい前にも来たことがある。敷地中にいろんな銘石が置かれ数寄屋造りの離れが点在する渋い宿だ。イマドキの和風モダンとは一線を画す純和風の雰囲気が良い。悪くいえば古めかしいのだが、私にとってはモダンより古典的なほうが快適だ。

 

平日で空いていたせいか、妙にデカい露天風呂が着いた部屋に案内された。大浴場に出向く必要がないほど快適な風呂だった。ここで星を見ながら煙草を吸っていると今年一年の疲れが取れていくような気分になった。

 



夕食は個室食事処で正統派の日本料理の数々が出てきた。さすがに老舗の高級旅館である。マズいものは皆無。味が濃すぎたり強すぎるものも皆無。非常に満足だった。

 

キチンとした日本料理をのんびり楽しい気分で味わるのは高級旅館に泊まった時ぐらいだろう。仕事の付き合いで懐石料理屋に行っても、同席者との関係上、楽しく気ままにゆるゆるという感じにはならない。

 






かといってプライベートでは寿司や小料理がせいぜいで、純日本料理をキチンとした順番で食べる機会は滅多にない。そうした意味でも高級旅館に泊まる楽しみは食が78割を占めるような気がする。

 

朝食も旅館の楽しみの一つ。老舗旅館では味噌汁一つとっても職人の矜持を感じるし、熱海や伊豆方面で定番の干物もそこらへん?の干物とは大違いのウマい逸品が提供される。

 



普段は朝からウーバーで配達してもらうスタバのドーナツやマックのパンケーキを食べてしまう私だが、高級旅館に泊まった日の朝は「正統派ニッポンの朝ごはん」を夢中になって食べる。朝から食欲が強めの自分の体質を有難く感じる瞬間でもある。

  

その後、朝から温泉を堪能してゆっくりチェックアウト、熱海駅から再び新幹線。アッと言う間に東京駅に着く。駅のそばで自転車をレンタル。職場までほんの3~4分で到着、なに食わぬ顔で仕事モードの顔に戻ってまたいつもの日常が始まった。

 

というわけで、束の間の息抜きに最適なのが熱海です。

 

 

 

 

 

2023年12月25日月曜日

謎の寿司


何かと野暮用が重なるのが12月だ。たいして忙しいわけでもないのにブログの更新を2回も怠ってしまった。日々、ラーメンブログ(http://blog.livedoor.jp/kin_nosuke/)をゆるゆる更新している友人からも叱られてしまった。やはり1年がほぼ終了したので気が緩んでいるのだろう。

 

某日、中途半端な時間に銀座でフリーになったので、遅めのディナーに何を食べようかさまよってみた。一人だし、酒を抜きたい気分だったので適当な店がなかなか見つからない。

 

胃腸も疲れ気味だったので揚げ物や脂ギトギト系は無理である。蕎麦か寿司が頭をよぎるが、夜も更けてきた時間に酒を飲まずに入るのも気が引ける。そんな時に目についたのが「廻転とやま鮨」という看板である。

 

コリドー街に高級な回転寿司の店が出来て結構な人気だと聞いたことがあったが、どうやらここがその店らしい。回転寿司なら酒抜きでも違和感はないし、一人でササっと食べるのにも丁度いい。意気揚々と入店してみた。

 

飲む気はなかったのに習性で「とりあえず生ビール」と店員さんに伝える。帰ってきた答えは「タッチパネルで注文してくれ」である。最近、こういう店が増えた。大衆居酒屋みたいなシステムだ。

 

高級回転寿司の店かと思ったのは勘違いだったみたいだ。でもタッチパネルのメニューを見ると回転寿司にしては妙に値段が高いネタが並んでいる。やはり高級路線なのだろうか。謎だ。

 



 

とりあえず蒸し牡蠣とマグロの山かけを注文。牡蠣は味が抜けちゃったような印象でダメだったが、マグロの山かけはキチンと美味しかったのでホッとする。ついでにレモンサワーも飲むことにする。

 

メニューには北陸の魚があれこれ表示されている。確かに安くはない。現地ではたいして高くない魚も強気の価格で提供されている印象だ。東京人の無知につけ込んだ“珍しいモノ補正”みたいな効果でそれでも通用するのだろう。

 

ちょっと辛口になってしまった。

 






ブリやノドグロなどの人気の魚もそれなりの値段。ノドグロは1貫で出てくるからお得感は無い。味の方は普通に美味しかった。シマアジやマグロなども食べたが正直に言ってごく普通。シャリがもう少しマトモなら印象も違ったかもしれない。

 

タッチパネルで注文したものが自動でレーンに載せられてやってくる仕組み自体がどうにもシックリこない。普通のカジュアル回転寿司なら気にならないのに、高級路線なのにそういうシステムだと何を食べても何となく腑に落ちない。私が単に古い人間だから仕方ないのだろう。

 


 

一番ウマいと思ったのがツナ軍艦だ。きっと「回転寿司」というジャンルへの思い入れがソッチ系を歓迎しちゃう原因だと思う。お代わりしてしまったほどだ。どうせなら「コーンマヨ軍艦」も置いてほしかったが、この店は本格路線?だからそういう邪道系メニューは無かったのが残念。

 

適当に飲んで食べてそれなりに満腹になったのだが、お会計は1万円近くになった。ビミョーだ。決してマズくはなかったがそこまで美味しかったかといえばやはりビミョーだ。これなら築地界隈の気軽な回らないお寿司屋さんに行くほうが無難だろう。

 


ちなみに、少し前に無性に「コーンマヨ軍艦」が食べたくなって築地にある「廻るすしざんまい」に行ったことがある。回転寿司ならそっちで充分だと感じたのが正直なところ。「廻るすしざんまい」ではマグロが妙にウマいのに安かったから驚いた覚えがある。

 

まあ、人の好みは色々だから一度行ったぐらいでネガティブなことを書くのもどうかと思う。ごめんなさい。つくづく寿司の世界もいろいろだなあと感じた次第です。

 

 

 

 

 

 

 

2023年12月22日金曜日

忘れ2

 今日も更新が間に合わなかったです。ごめんなさい。過去ネタを一つ載せます。


https://fugoh-kisya.blogspot.com/2011/11/blog-post_18.html









2023年12月20日水曜日

忘れ

曜日を勘違いして更新をサボりました。すいません。過去ネタを一つ載せます。10年前の「今年の漢字」も今回と同じ「税」でした。







2023年12月18日月曜日

ドカ食いの宴

 

還暦もそう遠くないのに同級生3人でのドカ食い大会を恒例化している。きっかけは3年ほど前に神保町の老舗中華料理店で炭水化物をどこまで食べられるか挑戦したことがきっかけだ。

 

http://fugoh-kisya.blogspot.com/2020/10/blog-post_9.html

 

その後、同じ店でリベンジしたり日本橋の「たいめいけん」で洋食をドカ食いしたり、何度か無謀な挑戦を続けている。いつも食後は後悔の嵐が吹き荒れる。数時間は苦しい。膨満感を満喫?するハメになる。

 

先週の某日、懲りずにまた洋食ドカ食い大会を開催した。試合会場は銀座の老舗洋食店「スイス」である。さすがに“炭水化物縛り”は避けるようになったが、洋食屋さんならではのメニューをひたすら食べてきた。

 






シュウマイとビールで宴を始めてカキフライ、クリームコロッケ、ビーフコロッケと揚げ物を前半に退治する作戦に出た。それぞれウマかったがビーフコロッケが印象的だった。

 

クリームコロッケと思えるほどのなめらかな食感のマッシュポテトにミンチ肉がたくさん入っていた。この店には何度か来ているがこのコロッケは初体験。今後は必ず注文すると思う。

 

それぞれ3等分して四の五の言いながら味わう。ビールやらハイボールやらで喉を潤しながら楽しくバカ話に花を咲かせた。

 





続いてプレーンオムレツ、シーフードグラタン、ハヤシライスが登場した。どれもキチンと美味しい。正統派洋食の世界を楽しむ。なかでもハヤシライスは絶品だった。3等分したからアッという間に無くなった。

 

ここのハヤシライスは以前から私の大好物だ。この日はソースが残り少なくなっていたらしく、普段は存在感を主張する具材の薄切り肉が煮崩れした状態だった。あらかじめお店側からその点をお詫びされたのだが、ところがどっこい、そんな煮込み肉がソースの旨さを膨らませている印象で非常に美味しかった。

 




 その後、味噌を上手に使った豚肉のステーキと牛ステーキシャリアピンソースがやってきた。豚ステーキの味付けが新鮮でこれまた初体験の喜びを味わえた。シャリアピンステーキは元祖である帝国ホテルバージョンとは異なりデミソースに寄せた味付けだった。

 

3等分とはいえこのあたりから満腹指令が脳から出始めていた。でももうひと踏ん張りしないといけない。隣の席に座ったカップルは男性がコロッケ一品とパン、女性がハンバーグ一品とパン。それだけを楽しそうに語らいながら食べてさっさと帰っていった。我々は既に2時間ぐらい食べ続けている。同じ生き物とは思えないレベルだ。

 


 

ナポリタンなどの洋食屋さんならではの麺類はメニューになかったのでシメに向かってもご飯モノを食べ続ける。メニューになかったチキンライスを無理やり作ってもらう。何だかんだとペロペロ食べてしまう。

 

そしてシメの一品はこの店の名物であるカツカレーである。巨人の背番号3といえば長島だが、その前に3番を背負っていたのがいにしえの名選手・千葉茂である。その千葉さんが言い出しっぺということで名物になっているのがこの店のカツカレーだ。

 

とはいえ、普通の一人前を3等分する余力がオジサン3人組に残っていなかったのでお店の人と相談してミニサイズを持ってきてもらった。コース料理で最後に出すサイズを我々にも出してもらった格好だ。

 



 

カツは一切れ、カレーも小盛りだから何とか食べられた。当然ながら満腹である。でも3年前の“初試合”の時に比べれば死ぬほどの苦しさではなかった。やはり過去のドカ食い大会での後悔が微妙に脳裏をよぎってしまうから守りに入ってしまったのだろう。

 

その後、夜の銀座をぶらぶら歩いて7丁目のミニクラブに出向いて反省会。この3人はわがバンド活動の基礎メンバーである。カラオケでも歌って過ごそうと思ったのだが、お店のママさんがどこかからギターを持ってきてくれたので、先日のライブで披露した歌を生演奏でがなり立てて過ごした。

 

満腹の時にワイワイ歌うとだいぶ腹ごなしになることを学んだ楽しい一夜だった。いずれにせよ緊急ダイエットを計画しないとならない。

 

 

 

 

 

2023年12月15日金曜日

江戸と東京


12月中旬は言うまでもなく忠臣蔵に思いを馳せる時期である。赤穂浪士による吉良上野介への仇討ちである。小学生の頃、いわば半世紀近く前にこの一件を知って以来、私は忠臣蔵ネタが好きだ。

 

過去にもこのブログで何度も触れてきた。最近は若者世代にはこの話をまったく知らない人も増えているのが残念だ。最近は忠臣蔵関連の大型企画も見当たらない。ちょっと問題だと思う。

https://news.yahoo.co.jp/articles/be46799c9397a54f8d84323bce180df5adfaf035


時代に必要とされてないなら哀しい。このまま廃れさせてはいけない。目黒蓮を浅野内匠頭、大石内蔵助にはキムタクあたりをキャスティングして映画化してくれないと貴重な文化が失われそうで心配だ。


ついでに以前にいろいろ書いてみた忠臣蔵関連の話を改めて載せてみる。

 

★忠臣蔵こそ

http://fugoh-kisya.blogspot.com/2013/12/blog-post_11.html

 

★浮き様になりたい

http://fugoh-kisya.blogspot.com/2015/12/blog-post_14.html

 

私はプチ歴史好きである。マニアなどと表現するには知識が中途半端だからあくまでプチである。理数系が劇的に苦手だった反面、国語や日本史の勉強にはちゃんと向き合った。

 

歴史モノが好きになったきっかけは子供の頃に読んだ源義経物語だったと思う。呑気な次男坊である私が「悲劇の次男」という点に興味を持ったのが原点だ。読んだ本の挿絵に描かれていた義経は当然のようにシュッとしたイケメンで、ドラマや映画でも二枚目俳優が演じていた。

 

大人になってから義経と言われる人物画を見て卒倒しそうになった。頼りないヤカラ?みたいな雰囲気だ。私の義経像が音を立てて崩れたのは言うまでもない。

 



わりと読書好きな少年時代を過ごしたが、歴史好きなくせに夢中になったのはSFや恋愛モノが多かった。歴史上の偉人の伝記モノはちょっと説教臭くて敬遠していた。ただ、ムック本などで史実の掘り下げ系みたいなものは喜んで読んでいた

 

歴史が好きなのは単純に妄想することが楽しいからだ。自分が生きているこの国で数百年前に様々な人間ドラマが展開されていたかと思うと楽しくボケっと妄想に浸れる。

 

旅に出れば城やその土地の歴史資料館的な場所を覗きたくなる。いま自分が立っている場所でどんなことが起きていたのか、どんな人々の暮らしがあったのかを考えるのが楽しい。

 ★姫路城萌え

https://fugoh-kisya.blogspot.com/2016/04/blog-post_27.html

 

だから基本的に日本史しか興味がない。同じ気候風土に覆われた馴染みのある場所じゃないと妄想が膨らまない。世界史の登場人物は当然ながら人名がカタカナだから覚えられない。日本っぽい漢字表記じゃないと頭に入らない。

 

5年ほど前に中央区に引っ越してからそれまであまり興味がなかった時代モノの短編小説を読み漁るようになった。自分が暮らす街が物語の舞台として出てくるから妙な親近感を覚えたのがきっかけだ。

 

山本周五郎、池波正太郎、藤沢周平などの人情モノみたいな話を好んで読むようになった。50代になってからの歴史物デビューだから当然読んでない本ばかり。これからたくさんの名作に出会えるのが楽しみだ。

 

山本周五郎の短編集などは私が生まれる以前に発表された作品ばかりだが、内容が昔の話だから古さは感じない。人情モノはあくまで市井の人々の心の動きや切ない感情が描かれている。そこに時代の差は無いのが魅力だ。

 

そうした歴史小説は江戸の街を舞台にしているものが多い。日本橋界隈はもちろん、与力・同心が暮らした八丁堀や小伝馬町の牢屋敷、佃島の人足寄場をはじめ隅田川沿いの情景描写も頻繁に出てくる。今の住まいから近いエリアだから何となく身近に感じる。自分が過ごしている場所の100年、200年前の人間模様を想像できるのが妙に楽しい。

 ★歴史散歩

https://fugoh-kisya.blogspot.com/2019/08/blog-post_9.html

 

考えてみれば東京中心部は「明治維新の現場」に他ならない。ここに晩年の徳川慶喜の家があった、あそこで大久保利通が暗殺された、あっちには渋沢栄一の別宅があった等々、そんな目線で眺めてみるのも結構楽しい。

 

忠臣蔵の話からずいぶんとズレてしまった。あの話だって今の両国駅のそばにある吉良さんの屋敷がクライマックスの舞台だ。討ち入りを果たした浪士達は吉良さんの首を槍の柄にくくりつけて行進した。

 

歩いたコースは武家屋敷が集まる地域を避けて町人エリアが選ばれた。隅田川を渡るのも吉良邸に近い両国橋は避けて永代橋を選びそこから鉄砲洲、汐留あたりを通って高輪の泉岳寺まで向かった。このコースはいわば「赤穂浪士行進コース」である。日頃何気なく通っている道にもそんな歴史があるわけだから面白い。

 

そう考えると歴史とは実に身近なものだと痛感する。歴史などと書くと勉強を思い出して厄介な感じもするが、言い換えれば単なる「時代の違い」である。そう捉えて今と昔を比べてみるだけで案外楽しい気持ちになれる。




 

 

 

 

 

 

2023年12月13日水曜日

ムチムチムニムニ


「すあま、何ですかソレ?」「ぎゅうひ?食べ物ですか?」。モノを知らない若者にそんなことを言われると日本文化の危機を感じる。

 

先日、わがオヤジバンドのライブで演奏した「なごり雪」ですら初めて聴いたという若者がいたから、いまや世代間断絶は想像を絶するレベルになっているようだ。

 

すあま、ぎゅうひ。この言葉を聞いただけで私は笑顔になる。あの食感、ビミョーな味わい、あれこそがメイドインジャパンの魂じゃないかと思える。

 



貰い物でわりとよく古典的和菓子の「鮎」をもらう。最中みたいなパリっとした食感の和菓子をもらうより嬉しい。でも私は外側は殆ど食べずに中身のアノぎゅうひだけをむさぼる。

 

ムチムチ、ムニュムニュ、プリンやババロアでは絶対に敵わないニッポンのムチムチでありムニュムニュである。すあま、ぎゅうひ、加えて言うなら「白玉」「ういろう」「羽二重餅」あたりも同類である。

 



一連のムニュムニュが好きになったのはいつ頃だろう。物心ついた時には愛していた。小学生の頃、白玉をウチで作ってもらった際に私も参加してデカいのを作ったことを覚えている。美味しい白玉が大好きだったからデカければデカいほど幸せだろうと考えたわけだ。

 

で、作ってみたらちっともウマくない。デカくて嬉しいのは握り飯ぐらいだという真理を学んだ。白玉は小ぶりで物足りないぐらいだからこそ愛しいわけだ。

 

その後、マセガキになっていくに連れ女性との交流も増えると必然的にムニュムニュな感触に溺れ始めた。と同時にいろいろな妄想に繋がる?すあまや白玉、ういろう的な感触の食べ物が一層好きになっていった。バカですいません。

 

「すあま」にも思い出がある。高校時代、学校から駅へ向かう帰り道に小さな和菓子屋があって、そこで「すあま」を一つだけ買って歩きながら食べた。確か一つ50円だったはずだ。

 

本当は大福などのガッツリ系を買いたかったのだが、その後に寄り道する喫茶店でのお茶代やタバコ代を考えると財布にゆとりが無かった。仕方なく一番安いすあまにした。

 

味は妙に薄い。パンチに欠ける。でも毎日のように食べていたらいつの間にかハマった。あの素っ気なさ、あのどうでもいい感じ、まったく自己主張しない淡~い味わいが妙に好きになった。

 

すあまは関西の人はその存在を知らないらしい。そんなところも可愛いじゃないか!食べ物全般なんでもかんでも西からの攻勢にさらされて関東風が萎縮する中、西の陣営に知られてもいない存在は貴重だ。

 

すあまが全国的に無名なのは名古屋あたりを本拠にする「ういろう」がブイブイ言わせているせいだろう。すあまとういろうの違いはよく分からない。もっと言えば、ぎゅうひ、白玉との違いだって分からない。

 

とにかく淡い味でむっちりムニムニで赤ちゃんの頬っぺたを食べているような感じの一群なら私はどれだって好きだ。製法は知らなくても困らない。

 

ネットで探してみたら、これらムニムニ軍団の違いを教えてくれるページはいくつも見つかった。https://chigai.site/21192/ 要はいろいろ蒸したり揉んだり頑張るみたいだ。

 

ぎゅうひの思い出といえば死んだ祖母とあんみつに入ったぎゅうひを奪い合ったことだ。あんみつは美味しいのだが、豆は好きではない私はアンコとかんてんと黒蜜の味を楽しむ。

 

そんなあんみつには紅一点というか、薄いピンクか薄いグリーンのぎゅうひが2つほどトッピングされている。あれが妙にウマい。ある日、祖母のあんみつからぎゅうひを一つ奪って食べたら祖母に激しく怒られた

 

何でもかんでも許してくれる優しい祖母でもぎゅうひを奪われるのは耐え難かったらしい。一気にぎゅうひが貴重なモノに思えるきっかけになった。

 


 

ういろうも我が家には常備してある。すあまよりも街なかで発見しやすい。近所にあるコンビニ・デイリーヤマザキにはういろうが常備してあるから通りすがりに買っておく。

 

ムッチリムニムニ系の癒やしの和菓子の中で別格なのが羽二重餅だろう。こちらは餅を名乗っているだけに今まで書いてきたモノ達とは一線を画す存在だ。

 

絹でできた羽二重のように軽く柔らかな点が名前の由来らしい。これぞムニュムニュの最高峰と言いたくなる天国みたいな感触である。天国には行ったことがないがきっとそうだ。

 

確か福井が名産地だ。ういろうは愛知や小田原、すあまは関東だから日本全国でムニムニ選手権が行われているようなものだ。

 



 

私のお気に入りは名古屋の老舗和菓子屋さん「遠州屋」の羽二重餅だ。職場の近くにある明治屋の本店にあるのを買うようになってすっかりファンになった。

 

黒豆入りの羽二重餅のフワフワムニムニの食感と程よい甘みとたまに存在感を感じさせる黒豆のバランスが絶妙で、一口食べれば「何じゃこれ!!」と誰もが言うレベルの美味しさだ。

 

今ではweb会員登録もしてあるので、明治屋においてある商品以外も取り寄せ可能だ。新たなフワムニ系が届くの今か今かと待っている日々である。