2013年3月27日水曜日

モアルボアル 接写の楽しみ


3回も続けて海ネタで恐縮です。

フィリピン・モアルボアルの旅では、場所柄?美食とは程遠い1週間を過ごした。おかげで太らなくて済んだ。




フィリピン名物のマンゴシェイクは世界一ウマいのだが、食事のほうはちょっとオヨヨが多い。

画像は1枚目が宿の朝食。拘置所みたいに質素だ。「タンスイカブラー」としては炒めメシを何度も頼んだが、だいたいが駄菓子みたいな意味不明な味付けだったり、間違えてニンニクを入れすぎたみたいな苦い味だったり、そんな感じ。

新鮮な海老をバター、ガーリック、レモンジュースで味付けした一品はビールの友に最高だったが、あとは語るほどでもない。

さて、今回の水中写真は、最近買ってみたオリンパスのコンパクトデジカメ(コンデジ)「TG-1」で大半を撮影してみた。

結論から言って、「コンデジ恐るべし」である。一眼を使って必死に撮影をし続けた苦節20ウン年が一体何だったんだと複雑な気持ちになった。
★画像をクリックすると拡大表示されるので、是非大きなサイズで見てください





ニシキヤッコ、キンギョハナダイ、ニチリンダテハゼ、カニハゼの写真だ。

手ぶれは少々あるが、総じてシャープに写し出すし、色再現も充分だ。

F値が2という優秀かつ明るいレンズは、昔流で言うところの20㎜~100㎜のズーム全域で変わらずにシャープな画像を記録する。

最短撮影距離もワイド側で10センチ、マクロ側で15センチと優秀で水中撮影にはもってこいの仕様だ。

ワイド側は水中着脱可能な社外品のフィッシュアイコンバージョンレンズを装着すれば、画角160度ほどの超広角撮影が可能。マクロ側は比較的画質の落ちない光学ズームを使えば、より激しく?接写することも可能だ。

単焦点のマクロレンズを20ウン年使ってきた私としては、ズーム全域で接写が可能になるレンズが面白くてアレコレ試すことができて妙に楽しかった。

初めて水中に持ち込んだカメラで楽しく感じられたのだから、慣れたらかなり面白い写真が撮れると思う。




ミズタマサンゴに潜むほんの2センチ程度の小さなエビも余裕で撮影できるし、怒ったようなエソの表情も適度な距離感からバッチリ写し出せる。

その風貌からマクロ派ダイバーに人気のオラウータンクラブが2個体一緒にいた時も、片方だけにピントが来るわけではなく、ごく簡単にスナップ感覚で撮影できた。

コンデジだから特殊な効果を狙った作品作りは難しいが、普通に綺麗にワイドからマクロまであっけらかんと撮れてしまう実力には恐れ入る。

おまけにカメラ自体が10メートル以上の防水機能付きだ。専用の水中撮影用ハウジングに入れて使っていたが、ハウジングからの出し入れの際にカメラ本体が濡れようが水滴がかかろうがビビる必要はない。精神衛生上とってもラクチン。

今回は他にもキャノンの一眼レフ、オリンパスのミラーレス一眼もそれぞれ防水ハウジングと共に持参したが、ほとんど出番無し。そのぐらいコンデジで遊んでみた。



ウミウシも触覚からシッポ?まで綺麗に写し出す。ボケ味を楽しみたい向きにはイメージが違うだろうが、これはこれで満足できる水準だ。

実質6日間の潜水三昧で24本も潜ったのだが、チャーターしたガイドやボートマン達は明るいフィリピン人だから、ヘトヘトな様子でも楽しそうな顔を作ってくれたので、こっちも陽気に過ごせた。



この画像のボートをチャーターして潜っていたわけだが、夕日が水面を染める時間帯まで付き合わせたから彼らもシンドかったはずだ。

一応、帰る日にたくさんチップを弾んでおいた。5年前にも活躍してくれた真面目な船頭さんなんて泣きそうなぐらい喜んでくれた。民間ODAみたいなものだ。

今回の初挑戦はコンデジだけではなかった。オリンパスのミラーレス一眼のハウジング先端に装着して試してみた特殊レンズがINON製の「水中マイクロ魚眼レンズ」だ。

昆虫写真とか花の写真の愛好家などの間で人気を集めている、いわゆる「虫の目レンズ」の水中版だ。

これも水中着脱可能で、被写体にくっつくほどの距離で撮影するのがポイント。正直、被写体にぶつかるぐらいじゃないと個性をいかした写真は撮れない。

動かない被写体向きだ。実に難しいレンズだったが、適度な被写体を見つけられて、ついでにこのレンズに慣れていれば相当個性的な作品が撮れそうだ。



小型のウツボが穴からチョロチョロ顔を出していたので、このレンズを試してみた。しばし動かさずにカメラ自体を穴に固定していたらウツボのほうから興味を持ってレンズにくっついてくる。レンズ直前からピントが合うのだが、さすがにウツボは微妙に動くのでナイスな感じに口を開けた時はぶれてしまったのが残念。

これだけ接近して撮影しているのに周辺の生息環境も写し込むのがこのレンズの面白さである。

2枚目の巌窟王?みたいな魚(カエルアンコウ)もほとんど動かないので、レンズがくっつくぐらい近づいて撮影。遠目にいるガイドダイバーも写し込むことが可能だ。向こうに写るダイバーは、こう見えてもカメラからほんの2~3メートルの距離にいる。
相当なデフォルメ効果があるから、次回の潜水旅行ではもっといろいろ試してみようと思う。

さて、コンデジに話を戻す。

ハウジング自体が小さいから、外付けの水中ストロボもいつもの2灯ではなく、1灯で撮影する機会を増やしてみた。相当コンパクトだし、ストロボアームもちょっとで済むから狭いすき間にカメラを突っ込んで撮影するにはラクチンだ。



つくづく、旅の前半でジンベイザメを撮影しに行った時にこのコンデジで集中してアレコレ機能を試せばよかったと後悔した。

ジンベイダイビングの時は、まだコンデジを信用していなかったというか、小馬鹿にしていたから実に惜しいことをした。

ただ、今回20本以上潜った中で、コンデジが一度だけ「フリーズ」した。ウンともスンとも言わなくなり、その時はガイドに持たせていた別のカメラを使った。

水面休息中にカメラのバッテリーを入れ直したら、普通に作動し始めたから問題なかったが、昔のカメラと違ってイマドキ家電のちょっとしたトラブルは仕方ないことかもしれない。

今回チャーターしたガイドは、この海で20年以上潜っているという42歳、8人の子持ち、3人の孫持ちという男だったのだが、日本人オタクダイバーを喜ばせるような細かいガイディングは一切無い。

それでも、こちらが浮上のサインを出すまでは決して寒くても我慢し続けていたし、時々、小さいエビや不細工なヘンテコ魚を探せと支持すればそれなりに働いてくれた。

タツノオトシゴ系の希少種であるピグミーシーホースの生息場所も把握してくれていたので、マンツーマンで小一時間もの間、極小サイズのピグミーちゃんを撮影することが出来た。





ピグミーシーホースは2個体いたのだが、全長はそれぞれ2センチほど。ファインダー越しに覗いていると、すぐに見失ってしまう。そういう時は、私がウーウーうなり声を上げると、ガイドの彼は指示棒を使って、私のファインダー越しの視線を誘導してくれる。

ピグミーちゃんが恥ずかしがって反対方向に顔を向けてしまっても、私がウーウーうなれば、ヤツは指示棒で向きを変えてくれた。

ピグミー撮影の時以外も、撮影しやすいように何かとミニ自然破壊?みたいなサポートをふんだんに展開してくれた。

エコエコやかましい西洋人ダイバーなんかと乗り合いでダイビングに行ったらそういうマネは出来ないので、チャーターダイビングならではのズルい?撮影が楽しめた。

私が一番好きな魚であるニシキテグリの撮影の時もそうだった。マンダリンフィッシュことニシキテグリの撮影はサンゴやその周辺のガレ場からぴょこぴょこ出たり入ったりする被写体をじっくり追いかけ回すことになる。

どうしてもカラダを固定したいから岩を両股で挟み込んだり、肘を固形物に押しつけたりする。




サンゴを壊さないように細心の注意を払うが、本来なら着底禁止だし、サンゴとかその周辺の物を触ったり掴んだりするのはNGである。そうは言っても、少しはヤバい態勢になってしまったり、マズいポジション取りになってしまう。

ニシキテグリはそこら中にゴロゴロ出てきてくれるので、ガイドの彼は見張り役として活躍してくれた。他のダイバーがやってきた時に私にこそっと知らせる。その時だけ私は中世浮力を取ってサンゴを完璧なまでに保護する態勢に切り替わるわけだ。

まあこんなことを書いてしまうと私の行儀の悪さ、マナー違反を明かしていることになるので、心苦しいが、彼の活躍ぶりはそんなところにも及んでいたわけだ。

なんだかんだと随分長々と書き殴ってしまった。

基本的にはコンデジの優秀さを書きたかったのだが、画像からその感じが伝われば嬉しい。

30年近く潜ってきて、潜水回数は750回を超えた。今回、散々潜ってみて、ここ何年も「中だるみ」していた水中探索への欲が改めて甦ってきた感じがする。

潜水回数でいえば、100本、300本、500本ぐらいまではハイペースだったのだが、それ以降は牛の歩みのようにノロノロになってしまった。

どうせなら1000本までは頑張ってみたい。南国限定でも年に2,3度ガツガツ潜りに行けばあと5年ぐらいで到達できそうだ。

せっかくだから目指してみることにする。

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