2009年5月11日月曜日

竹崎ガニ 蟹御殿

カニ好きを自称する私が以前から気になっていたカニがある。多以良ガニとか竹崎ガニとか呼ばれる有明海のワタリガニだ。

ワタリガニといえば、中国人や韓国人に酒に漬け込まれて酔っぱらいガニとか言われているカニというイメージがあった。

カニといえば毛ガニだぜい!、いやいや活のズワイだぜい!と叫ぶ私にとっては縁遠い存在だったのだが、数年前に有明方面のワタリガニは相当ウマイという評判を耳にして以来、いつか食べに行こうと考えていた。

で、ちょっこら行ってきました。目的地は竹崎ガニのふるさと・佐賀県の太良町。佐賀といっても、長崎との県境で長崎方面から訪れるのが一般的みたいだ。

朝っぱら長崎空港に着いたので、レンタカーで長崎市内へ。映画「長崎ぶらぶら節」の渡哲也の気分で街を散策。相方である吉永小百合みたいな人はいないし、坂が多くて「長崎ぜいぜい節」といった感じ。

市内に行った理由は皿うどんとちゃんぽんを本場で食べたかったから。11時には人気店「西湖」で特製皿うどんとチャーシューを食べ、11時半にはやはり人気店「江山楼」で特製ちゃんぽんを食べた。大満足。カロリー過多。。。

パリパリに揚がった細麺に少し甘めの五目餡がたっぷり載った皿うどんは、今回の旅で何度も食べた。素直に抜群。当然のようにウスターソースが一緒に出てくるところがニクい。

ソースマンである私にとっては、何を目指しているのか良く分からないちゃんぽんよりソースが揚げ麺に絡む皿うどんが魅力的だ。都内で皿うどんが絶品の店があったらゼヒ教えて欲しい。

さて本題のカニの話。今回は太良町エリアで竹崎ガニをアホみたいに食べられる宿を手配した。周囲の宿はどこも竹崎ガニをウリにしているのだが、民宿的ノリの宿が多いようで、各宿のホームページを吟味して快適そうな宿を選んだ。

泊まったのはその名も「蟹御殿」だ。40年以上生きてきたなかで、こんな凄い名前の宿は初めてだ。命名する前に誰か止める人はいなかったのだろうか・・・。

「蟹御殿」と名乗るセンスの宿に泊まるのは非常に危険なのだが、宿のホームページを見ると妙に魅力的だ。有明海を見渡す露天風呂やアジアンテイストの部屋、風情のある貸切露天風呂もいくつもある。おまけに値段も安い。

怪しいなあという思いが消えないまま現地に向かった。「蟹御殿」と大書きされた外観にたじろぐ。この名前、大まじめだった。大丈夫だろうか・・。

中に入ったら妙にモダンかつお洒落。宿の名前と実際の雰囲気のギャップは日本一かもしれない。フロントまわりの風情、ちょっとした庭なんかも洒落ている。海沿いのプチリゾートのようだ。でも名前は「蟹御殿」だ。


聞くところによると何度も改装を重ねて最近になって今のスタイルになったという。宿の名前は変えないところがオーナーの心意気なのかセンスなのかは不明だ。

大浴場に露天風呂もあって、入浴しながら有明海の激しい干満の差を目の当たりにしてちょっと感動。どうもこの干満の差と肥沃な干潟が美味しい蟹の秘密らしい。

浴場まわりには、安っぽい要素もあってなんか微笑ましい。温泉目的ならダメ出しするところだが、あくまで目的は竹崎ガニだ。小さいことは気にしないことにする。

さてお待ちかねの夕食。半個室の食事処に案内される。ちょっとモダンで洒落ている。竹崎ガニづくしの始まりだ。やたらとウマい芝エビの唐揚げや豆腐を前菜代わりにして、茹でガニを待つ。


まもなく熱々の竹崎ガニとご対面。仲居さんが甲羅を外して食べやすいように適度にハサミを入れてくれる。いいぞ!蟹御殿。

味は想像していた感じと少し違った。甘みがストレートに感じられるのかと勝手に思っていたのだが、そうでもない。ジワジワと味が広がる感じ。ミソも同様、口に入れた瞬間のファーストアタックが弱い。毛ガニみたいな分りやすい甘みというより、不快ではない独特の渋味が味の特徴かもしれない。

あっという間になくなってしまいそうな大きさだったので、食べ始めて間もなく、別注で茹でガニを追加する。富豪としては「一番大きいのを持ってきて」というセリフも忘れない。

しょせんワタリガニだ。タラバじゃあるまいし、一番大きくても大したことはないと思っていたのだが、この別注で出てきたカニは食べ応えがあった。

上のカニ画像では、おしぼりを一緒に写してみた。一般的にイメージするワタリガニより遙かに大きいことがお分かりだろう。

別注で頼んだデカガニ。ゆで加減が難しいのだろうか、部分的に少しレアなところがあって、これがまたウマい。ミソが濃厚でタマゴもびっしり。尿酸値なんて気にしないぜ!とフガフガむさぼる。

ミソとほぐした身を混ぜ合わせて大口開けて頬ばると有明海の干潟の滋養が脳天を直撃するような感じだった。はるばる来て良かったと思う瞬間だ。その後、香ばしさが特徴の焼きガニが半身分出てきて、ホクホクした身を堪能する。

夢中になってむさぼりながらも、茹でガニ、焼きガニとも少しづつ身とミソをよけておく。カニ三昧ディナーには必須のワザだ。

そしてカニの炊き込みご飯が登場。よけておいたカニをご飯に追加投入することで、スペシャルカニ飯が出来上がる。至福の時間の締めくくりにもってこいだ。

腹12分目ぐらいまで食べた。カニをほじくるのに夢中でビール以外には、焼酎のロックを一杯しか飲めなかったほどだ。酔わずにムシャムシャ食べ尽くしたわけだが、冷静に思い返したうえの感想を書いてみよう。

やはりワタリガニはワタリガニだ。北のカニのようにスターにはなりきれない。一歩というか二歩ぐらい味わいが物足りない。そんな贅沢を言うとバチが当たりそうだが、「まあまあ」といったところ。

北のカニを食べる機会が少ない人にとっては極上だろうが、やはり日本海のズワイや上物の毛ガニとは比べられない。

あちらこちらでウマいカニ食い旅行をしてきた私だ。素直に興奮して歓喜できないことはある意味不幸なんだと多う。そんなことを書くとイヤミになってしまいかねないが、今回改めてそんなことを感じた。

でも竹崎ガニの名誉のために書き加えるなら、一度は味わうべき食べ応えのある立派なカニであることは確か。近くに住んでいたらしょっちゅう食べに行くと思う。

褒めているのか、けなしているのか良く分からない結論でスイマセン。

2 件のコメント:

Kobe さんのコメント...

写真はかなり旨そうですね!

私は、母が能登出身ということもあり、蟹はズワイ派です。

最近はわかりませんが、昔は遊びに行くと、小ぶりなズワイと笹カレイの干物が、おやつ代わりに出てきたものです。

富豪記者 さんのコメント...

北陸のズワイは別格ですよね。
小ぶりなのはメスガニで、
地元では今も安く売っているのに、
東京では、妙に高級品のように扱われていることもあります。

能登かあ。。。行きたくなってきました。