2010年7月16日金曜日

有難いオモチャ

このところ夜な夜な部屋にこもって地味な作業に没頭している。これがミョーに楽しい。近年まれに見る楽しさだ。

と、大げさに書いてみたが、昔から撮りだめていた水中写真のネガ整理がその内容。デジカメに移行して、すっかり存在価値が薄らいだようなフィルム時代の写真を総点検中。

実は、「フィルムスキャナー」というスグレモノを購入したのがきっかけ。オモチャみたいな商品なのだが、なかなか使い勝手がよい。

http://www.thanko.jp/product/pc/usb-filmscanner.html/

要は、ネガフィルムをスキャンしてメモリーカードにデータとして保存するという簡単便利な機能を持つ商品。専用カートリッジにネガフィルムをセットして、小さな画面で確認しながらスキャンする。1枚あたり2秒ぐらいで保存される。

一度にフィルム5枚分しかセットできないことと、ホコリがつきやすいのが困りものだが、自分でも忘れていたような“作品”に再会できて面白い。

保存した画像は、パソコン上で色補正すれば結構な出来映えに調整可能。その昔、プリントショップが好みの色合いでプリントしないことに泣く思いをしていたことを思うと隔世の感がある。

(画像はクリックすると拡大します)。





上から中米・ホンジュラス、フィリピン・ボホール、マレーシア・マブール、エジプト・紅海で撮影した写真。90年代前半から中盤にかけて撮ってきたもの。

フィルムの整理をしながら、その時々の旅の思い出が甦るのも楽しい。誰と一緒に行ったとか、その場所でどんな経験をしたかとか、写真の力でまざまざと忘れていた記憶が甦る。

総点検しながら、大事な写真がごそっと抜けていることにも気付いた。どうやら前の嫁さんに捨てられたらしい。仕方がない。それもまあ私の歴史だ。

その代わり、母親に探し出してもらった実家にあった20年ぐらい前のネガ群のなかから、思いがけない写真を見つけた。20年以上前に結婚寸前だった女性の写真だ。そんな写真があることすら忘れていたのでビックリ。

改めて眺めてみると随分年上だったはずなのに随分とカワイイ。そりゃそうだ。あれから20年、写真だけはあの頃のままだ。年甲斐もなくちょっとドキドキした。

話がそれた。水中写真だ。

水中写真歴20ウン年ともなれば、もっともっとプロレベルの作品があるはずなのだが、やはり、自己流で、自己満足のためだけに遊んできたので、まったく上達した形跡がない。

コンテストや作品投稿など一切興味がなかったことが自分の作品レベルにさっさと限界を作ってしまったのだろう。

自己分析すると’96年から2~3年ぐらいの間が、結構いい感じの写真が多い。きっと水中撮影に情熱たっぷりだったんだろう。




撮影している人間から出ている“気”みたいなものが確実に被写体に影響を与える。ノンビリ構えていると魚もノホホンとした表情になるが、気合い充分で気負っているととっとと逃げちゃったりする。

90年代中頃までは、私の“良い人オーラ”が魚にも通じていたような気がする。最近は、すっかりイヤミなオヤジオーラを水中でも察知され、しょっちゅう逃げられている。

女性にモテたり、モテなくなる違いと似ている。魚は女性と同じなのだろうか。

小さい魚をチマチマ狙うマクロ撮影も楽しいが、10年以上前は今よりワイドアングルの写真が好きだった。海の雄大な感じ、大らかさが漂うような写真が撮れると嬉しかった。







下から3枚目のバラクーダの群れに近づくダイバーを写した一枚は、その昔、大伸ばしパネルにして部屋に飾っていた。ドワ~って音がしそうな雰囲気が気に入っている。

いずれにせよ、フィルム時代の写真だからという理由だけで何となく見返さなくなっちゃう私の単純さは愚かだ。反省。

1万円ぐらいで買えるフィルムスキャナーのおかげでこんなことに気付いた。今後も封印されかけた写真達を夜な夜な甦らせてやることにしょう。

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