2012年11月21日水曜日

世襲

もともと「こなきジジイ」に似た風貌の野田首相だが、どうやら「いこじジジイ」になってしまったみたいだ。

突然の解散宣言を党首討論でぶつけて来たセンスには感心したが、その後、選挙に向けて「脱・世襲」に意固地になっている姿には「なんだかな~」という印象しかない。

民主党という政党のお粗末さというか、幼稚さが際立った話だと思う。ちなみに民主党内では、野田首相の突然の解散強行を「自民党に政権を渡すためのもの」として反党行為で除名して選挙で公認しないようにすべきだという声まで出ているそうだ。

断末魔もそこまでいけばオッタマゲだ。

さて、「脱・世襲」の話に戻る。

驚いたのが、現職の大臣まで例外なく扱うという話。羽田孜元首相の引退で空席となる選挙区での出馬を検討していた息子の羽田雄一郎国交大臣にも野田首相がダメ出し。オヨヨって感じだ。

自民党との違いを際立たせる狙いで世襲禁止を徹底するらしいが、国土交通省というマンモス官庁の最高責任者として自ら委ねた人物に対しても「世襲は許しません!」といって頑張っちゃうセンスは何なんだろう。

そりゃあバカ丸出し、アホ丸出しの世襲議員もいっぱいいる。それですら選挙の洗礼を受けているわけで、有権者が選択した結果である。民主主義のひとつの結果でしかない。

ましてや、世襲議員の中にもしっかりした国家感を持って憂国の思いで人生を政治に賭けようと必死になっている人間もいる。

新党ブームに乗っかって、風見鶏よろしくアッチふらふらこっちフラフラの「非・世襲議員」のほうがよっぽど醜いし害悪だし国益を損ねる。

民主党が今までの選挙で公認してきた人物ってそんなに立派なのだろうか。世襲ではないという理由だけでハレンチ野郎をいくらでも公認してきたのではないだろうか。

落ち目のタレントとかスポーツ選手にはゴマすって立候補してもらうくせに、単に世襲を「悪」と決めつけて例外を一切認めないという考え方は幼稚すぎる。一種の恐怖政治でもある。

こんな考えでは、地元有権者が圧倒的に支持している人物でも世襲という理由だけで排除される。地域無視、国民無視も甚だしい。政党ってそんなにエラいのだろうか。

まあ、消滅寸前の政党だからそんな突飛なことを言い出すのだろう。

世襲の問題は別な視点で捉えるべきだろう。税金のかからない政治資金の受け皿である政治団体が相続税の洗礼を受けずに引き継がれるような問題など、制度面、運用面を建設的に議論することが政治の役割である。

首相自ら陳腐な感情論に走っているようでは幼稚に過ぎる。まあ、幼稚だからあそこまで凋落したのが民主党の現実なんだろう。

それにしても政党の乱立で対立軸が良く分からないのが今度の選挙だ。前回は「非自民を目指す」という旗印が目立ったが、不思議と今回は「非民主」を掲げる声が聞かれない。

放っておいても壊滅するからなのか、それとも未だに民主党に期待を寄せる人がそれなりに多いのか。ちょっと不思議な感じだ。

ちなみに生活保護受給者が来年には200万人を突破する見込みだ。1995年に88万人だったことに比べれば異常な事態だろう。ニセ弱者までひっくるめて過保護に優しく接してきたツケだという見方も出来る。

生活保護を受けたほうが収入が高くなるような超低所得層が増加しているようでは、国の税収が増えるはずもない。成長戦略をしっかり描けない政治では破たんは目に見えている。

成長を考えない路線で迷惑をこうむるのは言うまでもなく、中堅・高所得者層である。「超大金持ち」と同じ括り、同じ割合で税金や社会保険を負担させられ、それを元手に底辺が支えられているのが実情だ。

そんな哀れな、まさに割を食っている中堅・高所得階層の現実を理解し、全体の底上げ、全体の成長を描くような政党だったら精一杯応援したいものだ。

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