なんだかんだ酒を飲まない日が増えた。飲まないでも割と平気みたいである。意外な発見だ。
もしかしたら禁酒だって出来るかもしれない。まあそんな必要はない。特別健康面に不安があるわけではないので飲みたければドシドシ飲む方針に変わりはない。
年末にインフル発症、その後の正月もちょっと風邪気味だったせいで、気付けば酒量激減である。いま血液検査をしたらガンマ数値も絶好調かもしれない。
年が明けてからも会合などがない日には真っ直ぐ帰宅することが多い。そんな日はビールすら飲まないこともある。ストレスが足りないのだろうか。いやいやそんなはずもない。家では甘いものを食べちゃうから体質が変わったのかもしれない。
やはりアルコールは惰性で飲むことが多い。今更ながら実感する。たとえ刑務所に入っても禁断症状に苦しむのはタバコのほうだと思う。
中学生の頃に祖父のイタズラで酒に付き合わされ、それ以来、ダラダラと酒と親しんできたが、今まで飲んできた機会の半分ぐらいは惰性で飲んでいたのかもしれない。
よくよく考えると、人生で一番ウマいと感じたのは高校生の頃に家でコッソリ飲んでいた「剣菱樽酒」かもしれない。
当時、正月の実家には決まって樽酒があった。悪友を招いてエッチラオッチラ飲むのが楽しかった。木の香りがかぐわしい剣菱の味はオトナの味がした。結局、ゲロ吐き太郎になるのだが、なぜか心底ウマいなあと感じていた。
禁断の味だからウマいというのは一種の真理だ。大人になってからも、ポリープを切除した後に禁酒を言い渡され、一週間我慢した後に飲む酒はやたらとウマい。
禁じられたり、我慢をしいられた後の酒がめっぽうウマいと感じるわけだから、私の「酒論」など大したものではない。
あくまで気分優先である。銘柄をクドクド語るほどこだわりもない。暑い夏にガブ飲みするビールは最高だし、寒い冬の熱燗もまた最高だ。
旅に出れば旅情のせいで現地の酒をウマいと思うし、好きな人にお酌されれば二級酒だってウマい、安いバーボンだって悪友とバカ話しながら飲めば充分ウマい。
その一方、仕事上の付き合い酒だったら希少な銘酒だって大してウマいとは思わないし、お通夜の席で飲む酒だったら何を飲んでも苦い。当然、ヤケ酒がウマかった記憶もない。
結局、酒のウマいマズいは気分次第だ。ウマいと思える気分で飲む機会が多ければ多いほど幸福だということ。当たり前のようでこれが結構難しい。
そう考えると、飲む機会自体が減っていることは実にもったいない。不幸でもないのに飲まなきゃ損である。用事がないなら積極的にウマい酒を飲まないとバチが当たりそうである。
世の中には様々な事情で酒を我慢している人が大勢いる。地球規模でみたら数千万、いや億単位の人が今日もどこかで酒を我慢しているはずだ。
ウジウジと屁理屈をこねている暇があったらウマい酒を飲んでフワフワしている方が人の道として正しいような気がしてきた。
カラスミだのイクラだの世の中には酒を格段に美味しくしてくれる魔法の肴が揃っている。
珍味をムホムホ、酒をグビグビ。いとも簡単にそんなことが実現する平和な日々に感謝しながら今年も正しく酔っ払っていきたい。
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