2023年1月27日金曜日

メシをかっこむ


「かっこむ」という日本語はどことなく威勢が良い。流し込むように急いで食べる様子を表しているわけだが、ドンブリ飯や汁かけご飯にこそぴったりな言葉だ。

 

行儀が悪いという見方もあるが、ドンブリ飯や汁かけご飯の食べ方の基本形はやはり「かっこむ」だろう。行儀の良し悪しよりも一種日本的な文化的な行動ともいえる。

 

猫まんま論争というのがあるらしい。味噌汁かけご飯をめぐる行儀に関する肯定派、否定派の論争だとか。あれを行儀が悪いとみなしたらお茶漬けをはじめとする汁かけご飯は全部ダメという話になってしまう。否定する必要はないだろう。

 

そもそも日本の食文化は器を手に持つのが基本だ。当然茶碗や丼は手に持って食べる。器を手で持たない欧米社会から見れば異質に映るのだろう。でもそこが原点にある以上、汁かけ系をかっこむという食べ方は行儀うんぬん以前の普通のことだと思う。

 

蕎麦を音をたててすする文化もヨソの国からは野蛮に見えるらしいが、あれをマナー違反にしちゃったら蕎麦の楽しみは台無しだ。ラーメンだって同じだろう。

 

中途半端な欧米化?の副産物が猫まんま論争につながっている気がする。日本の食べ方は日本の食べ方として普通に今まで通りで放っておけばいい。否定派の屁理屈みたいな意見を尊重しちゃうとそんな分野でも意味不明な“ネット正義感”に迷惑する人が増えるだけだと思う。

 


 

さてさて、私のお茶漬けの相棒である。人気の加島屋の鮭フレークだ。ふるさと納税の返礼品としてちょくちょく受け取っている。そこらへんの鮭フレークとはまるで違う食感と味付けが堪らない。私にとっての定番中の定番だ。

 

お茶漬けを食べる時は普段の茶碗より大きめな抹茶碗サイズを引っ張り出すのが私流だ。お気に入りの唐津焼の人気作家・浜本洋好さんの抹茶碗をお茶漬け専用にしている。

 



加島屋の鮭だけでなく海苔の佃煮、なめ茸を加えるのがいつものパターンだ。京漬物のすぐきがあればそれも加える。それぞれドッサリ入れる。きっと塩分過剰である。お茶漬けにすると不思議とヘルシーな気分になるからその点は忘れたふりをする。

 

四点盛りになったお茶漬けを食べ始める際は、それぞれの部分からちょろちょろ食べ始める。4つの味を確認したら次の段階として全部混ぜる。まさに渾然一体である。4つの具材の相乗効果が良い。まったく味が喧嘩せず絶妙に融合する。私にとっては「この世のウマいものベスト10」に入れたくなる美味しさだ。

 


 

炊き込みご飯も「かっこむ」のに最適だ。下の画像はカニの炊き込み飯だ。白米と一緒に炊きあげるだけの市販のカニ飯の素がベースだが、それだけではちっともカニ感が無いのでカニの缶詰を追加する。米2合だったらカニの缶詰を最低でも2缶は入れるのが良い。

 

カニの缶詰も安くはないからコストパフォーマンス的には最悪である。しかし、ここでも私を支えるのは「ふるさと納税の返礼品」である。

 


カニの缶詰なんて自分で買いたいとは思わないが、タダでもらえるならドシドシもらえばいい。その上で贅沢三昧に使えば束の間の富豪気分が味わえる。

 

上の画像ではよく分からないがカニだらけの炊き込みご飯が簡単に作れる。市販の炊き込みご飯の素に缶詰を加えるだけだから下準備は何もない。洗い物も出ない。そのくせ妙に贅沢な一品が出来上がるからオススメだ。

 


 こちらは門前仲町の通りすがりの喫茶兼軽食屋で食べた深川めしである。深川不動の門前だけにアサリの炊き込みご飯を出す店が界隈にはいくつもある。

 

門前仲町はわが家から歩いても15分ぐらいの距離なので週末によく散歩に出かける。昔ながらのせんべい屋や甘味処などを覗きながら小腹が空いたら手軽にこういうものが食べられて楽しい。

 

この店の深川めしはそのまま味わう他に茶漬けにして楽しむようにお勧めされる。茶漬け状態にしたら美味しさがより引き立ったような気がした。下町風情の漂う町で食べるならやはり「かっこむ」のが正解だと感じた。

 

 

 

 

 

 

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