2023年7月3日月曜日

王道のかき氷


かき氷ブームと言われるようになって久しい。半世紀以上生きてきたから様々な「◯☓ブーム」を体験してきたが、かき氷は古典的な食べ物である。ブームという表現を使うまでもない。「暑くなったらかき氷」が夏の風物詩である。

 

ちなみにブームといわれるようなかき氷は昔とは一線を画した進化系かき氷である。珍しいクリームソースみたいな味付けで仕上げる“映え系”のことを指す。

 

昭和の頃のあのベタなかき氷は今や絶滅危惧種だ。舌が青くなったり赤くなったりした人工着色料ブリブリのシロップを使ったかき氷は今や少数派だ。コーラ味のかき氷が最先端に感じた私のような古い人間には驚異の進化である。

 

Z世代の娘としょちゅう出かける私は進化系かき氷を食べる機会が多い。オジサマ世代にしては恵まれている。食べるたびに衝撃を受けるからボケ防止にも役立っているはずだ。

 


なかでも唖然としたのが上野にある「くろぎ」のかき氷である。値段にも唖然としたが味にもビックリした。近所だったら頻繁に食べに行くと思う。

 

http://fugoh-kisya.blogspot.com/2021/07/blog-post.html

 

みたらしミルクという名前だったか、とにかく濃厚なクリームがふわふわの氷と絶妙にマッチして想像以上の美味しさにしばし悶絶した。こんなシロモノが登場したら古典的なかき氷の立場がなくなると変な心配をしたほどである。

 

今年も暑くなってきたからかき氷に引き寄せられることが増えてきた。先日は日本橋にある和菓子の老舗「鶴屋吉信」のカフェで「いちご甘酒氷」なる一品を食べた。

 



ふわふわ氷に独特な甘酒風味のシロップがかかっている。昔気質の私としては昭和の「いちごミルク」を想像していたから甘酒感の強いシロップにちょっと拍子抜けした。通常の「あずき」か「宇治金時」のほうが老舗和菓子店の力量が堪能できたような気がした。

 

でもこういう大人向けのかき氷が世の中に浸透するのは結構なことだと思う。パフェをオジサマが一人ニンマリ食べているのはちょっと気持ち悪いが、かき氷なら何となくサマになるように思うのは私だけだろうか。

 

別な日、散歩ついでに門前仲町の人気甘味処である「いり江」に立ち寄った。この店のあんこの美味しさは絶品だ。時々こしあんやつぶあんだけをテイクアウトすることもある。

 

暑い日だったので娘とともに冷やししること氷あずきミルクをシェアすることにした。この店でかき氷を食べるのは初めてだったのでワクワクしながら味わってみた。

 


悶絶した。大げさなようだがその表現が一番シックリくる。数々の進化系かき氷を食べてきた親子揃って悶絶するほどの美味しさだった。まさに「コレだよコレ!」としか言いようがない完成された味だった。

 

練乳の加減、氷の食感、ふんだんに投入されているあんこの量などトータルで文句のつけようがなかった。王道の一品と呼ぶにふさわしい素晴らしさだった。

 



しばし娘とかき氷について語り合う。練乳とあずきという何の特徴もない基本形でここまでの完成度に辿り着いていることに親子揃ってただただ感服。コケおどし?のようなソースで仕上げる進化系イマドキかき氷がニセモノに感じちゃうほどの圧倒的な力量を見せつけられた感じ。

 

例えるなら横綱・北の湖の寄り切りか、千代の富士の上手投げ、はたまた王貞治の高い放物線を描くホームランかのような完璧さだった。

 

おまけに値段も手頃だ。800円か900円である。進化系かき氷の中には2千円、3千円の値付けをしているところもある。そんな風潮に背を向けてあくまで質実剛健に王道を守っている感じがただただ素晴らしい。

 

日本中でかき氷を食べ歩いたわけではないのでエラそうなことは言えないが、半世紀以上かき氷を食べ続けてきた中でも文句なしの第一位である。いわば日本一である。ついでに言ってしまえば世界一じゃなかろうか。

 

ご近所の方だけでなくちょっと遠くからでもわざわざ食べに行く価値のあるかき氷だと感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

みたらしムルク 黒蜜きなこ いちご甘酒氷 宇治金時

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