「昔は良かった」みたいな話をすると年寄りの懐古趣味みたいで嫌われる。私もなるべくそんな路線に陥らないようにしているが、そうは言っても長く生きているといろんな分野の劣化が気になる。
日本の家電用品といえばめったに故障しないことで知られていた。現にわが家で愛用しているズボンプレッサーは45年も壊れずに活躍している。まあ、構造が単純だからだろうが、それにしても立派なものだと思う。
今の時代、スマホやパソコン関係などでは不具合が起きることがある種の当然として認識されている。フリーズするだの再起動すればいいだの、正常に作動しないことも当たり前になっている。
昔の家電と比べるのはピントがズレているかもしれないが、昭和世代としては「不具合が普通」みたいな商品が平気で流通している今の世の中にちょっとイラつく。
と、これは前フリである。
劣化という意味で最近やたらと気になるのが「誤字脱字」である。テレビのテロップもそうだが、ネット上にあふれるニュース類のダメっぷりは「編集」を商売にしてきた立場からすると実にヒドい。びっくりするほど低レベルだ。下の画像はスマホで読んでいた記事の誤字をスクショして拡大したものだ。
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加熱と過熱、昨日と機能。単なる変換ミスだが、こんな初歩的な間違いが平然と世に出るのはシロウト仕事だろう。担当者は恥ずかしくないのだろうか。個人のブログだったら気にならないが、一応ニュース配信会社が管理しているメディアとしての発信記事である。
紙に印刷する媒体なら永遠に間違いが残ってしまうが、ネットならチョチョっと打ち直して修正可能だ。だから校正校閲に対する意識がまるで欠けているのだろう。
どんな分野だろうと、恥ずかしい失敗をすることで改善につながるが、ネット記事のシャバダバぶりを見ると間違えることを恥だと思っていないことがよく分かる。これってメディアにとっては自殺行為だ。
変換ミスだけでなく純粋な間違いも目につく。書き手の能力なのかチェック機能が働いていないのか、そのいずれも当てはまるのだろう。
私が若い頃はまだ原稿を手書きで作成していたから印刷工場の担当者が打ち直す作業が必要だった。当然、人のすることだからミスも起きる。どんなに良い原稿が書けても誤字脱字が一箇所あればその記事は0点だ。書き手としてのチェックはもちろん、校正担当者も鬼のような目で間違いを探していた。
当時の紙媒体の世界では、他紙や他誌の「お詫び」欄をこぞってチェックするのがならわしだった。恥ずかしいミスをバカにすることで自分たちの戒めにしていた。だから昭和の新聞や雑誌に単純な誤字を見つけるケースは非常に稀だった。
一般的な紙媒体だけでなくエロ本だって同じだった。一般誌より誤字脱字を見つけることは多かったが、そっち業界でも名のある出版社が発行元のエロ本だと校正校閲がしっかりしていた。若い頃はそんな観点から贔屓のエロ本を決めていた。
誤字誤植を強烈に恥だと感じることは記者や編集者の最低限のプライドだろう。誤字のまま記事が世に出ることはちょっとした誤報と同じぐらいの恥だった。
編集という分野に限らず、どの分野の仕事にもミスを猛烈に恥ずかしく思う極めて日本的な「恥の文化」が浸透していた証だろう。ちょっと説教臭くなってしまうが、今の時代は「恥」の概念が変わってきてしまったのかもしれない。
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今では、その友人が誤字を見つけず私自身がアップ後しばらく経ってからミスを見つけると「ちゃんと校正してくれ」とわざわざ筋違いの文句をつけるほどだ。彼としてはいい迷惑だろうが、私としては彼を「富豪記者ブログ担当校正部長」だと勝手に認識しているので今後も頑張っていただきたい。
その友人もラーメン専用のブログを長年書き続けているのだが、ヤツのヨタ記事?にはいつも誤字が見当たらない。きっとネット上にアップする前に真剣に校正作業に励んでいるのだろう。私も見習わないといけない。
なんだかヘンテコな結論になってしまった。
4 件のコメント:
今回誤字はありませんでした。
しかし個人的には下記の言い回しを修正したくなりました。
【原文】
今では、その友人が誤字を見つけず私自身がアップ後しばらく経ってからミスを見つけると「ちゃんと校正してくれ」とわざわざ筋違いの文句をつけるほどだ。
【修正案】
今では、その友人が気づかなかった誤字をしばらく経ってから私自身が見つけた際には「ちゃんと校正してくれ」とわざわざ筋違いの文句をつけるほどだ。
原文は確かに分かりにくい書き方ですね。面倒だから直しませんけど!
そういえば、愛子様の御公務の視察を刺殺とテロップした馬鹿局有りましたね。腹切っても足りません。
コメントありがとうございます。それはヒドいですね。世が世なら真面目に切腹ですね。
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