「思い出の〇〇」。誰にでもどんな分野にも存在する。思い出のアルバム、思い出の映画、はたまた思い出の渚、思い出の九十九里浜なんて歌もある。人間長く生きてくれば思い出だらけである。
最近、私がウルウルしそうになるほど感激したのが「思い出のパスタ」である。ひょんなことで昔懐かしのパスタを味わう機会があった。しみじみした気持ちになった。
もう25年以上前の話である。中野区の沼袋付近の早稲田通り沿いに「ヒゲおやじの店」というイタリアンがあった。当時、車で10分ちょっとの距離に住んでいた私が足しげく通った店だ。
本来の店名は別にあったのだが、看板に「ヒゲおやじの店・〇〇〇〇」と書かれていたため、〇〇〇〇の部分は当時から頭に入っておらず、単に「ヒゲおやじの店」と呼んでいた。
前の嫁さんと結婚して間もない頃で、まだ子供がいなかったこともあり毎週のように通って二人でパスタばかり食べていた。メインの料理を頼まなくても問題のない気軽な店だったから、いつも二人で最低でもパスタを4品注文していた。
二人で4品と言っても私が3品ぐらい食べていた。「タンスイカブラー」としてバリバリ現役だったからひたすら食べまくった。その後のデブ人生の基礎になった店だ。
その後、子供が出来てなかなか行けなくなった。お店から遠くなる場所に引っ越したこともあってある時期を境にすっかりご無沙汰状態になった。気づいたらお店も無くなり「ヒゲおやじの店」は私の中で歴史に変わった。
そして四半世紀が過ぎ、先日、ひょんなことから上野の近くに「ヒゲおやじの店」というイタリアンがあることを知った。店の名前は「パドレ・マスターチ」だ。
上に書いたように店名の〇〇〇〇の部分は記憶が曖昧だったのだが、確かにそんな響きだった気がする。ネットのクチコミを読んでみたらかつて沼袋にあった店で間違いないようだ。
上野稲荷町という立地にまるで縁も無いし、わざわざ遠くまで食事に出かけないモノグサな私だが、ヒゲおやじの店を発見した以上、さっさと行かずにはいられない。
で、行ってきた。店内のシュールな?イラストなども昔と変わらない。やたらと懐かしくて勝手に感激に浸りまくった。たまたまお店が空いていたので店主としばし話し込む。まさに人に歴史アリである。
牛ヒレのカルパッチョやクリームチーズのディップなどを肴に白ワインをグビグビ。人の味覚って単純なもので感激気分満点の状態だと何を食べてもウマい。
で、相変わらずメインの料理は無しでパスタだけたっぷり食べることを宣言して4品注文。バジリコ、ボンゴレ、ペペロンチーノ、あとはイカとタラコだったかをクリームソースで仕上げてもらった一品だ。
このお店のパスタといえば、白ワインとチーズとガーリックの使い方が独特だった記憶がある。そのあたりの詳細は不明だが、この日に食べたパスタはそんな私の記憶にバッチリ沿った「あの日のパスタ」そのものだった。
パスタを載せる木製の皿も昔と同じだった。脳って面白いもので当時と同じモノをガンガン食べたことで30代の前半から中盤までの2~3年の記憶が急に甦ってきた。普段は忘れていたような当時の生活の場面がそれこそ走馬灯のように浮かんできた。
四半世紀以上の時間は当時青年だった私を熟年バリバリのオッサンに変身させ、オジサンだった店主はすっかり高齢者になっていた。長い時間を経てようやく再会した珠玉の一皿を前に感慨にふける。
健康で好きなものが食べられる状態でいればこそこういう感激が味わえるわけだ。やはり日々の暮らしは適度に節度を持って過ごしたいと痛感した。
くれぐれも暴飲暴食は慎まなければいけない!!この日、還暦を過ぎた身としては間違いなく暴飲暴食に励みながらそんなことを固く決意した次第である。
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