2009年9月16日水曜日

どこへ行こうか


潜水行脚をはじめてもうすぐ25年になる。趣味らしい趣味のなかった学生の頃、暇にまかせて始めたダイビングだが、水中写真を撮るようになってから本格的にのめり込んだ。

とはいえ、最近は年に1度ぐらいのペースになってしまった。南の島で1週間ほど魚の写真を撮るわけだが、今年はまだどこにも行っていない。いよいよ長年の習慣もオサラバになってしまうのだろうか。

昨年も“引退”を覚悟したのだが、60才を過ぎてなお盛んな水中写真家・中村征夫さんを取り上げたドキュメント番組を見たことで自分のだらしなさを痛感、思い直してフィリピンへ飛んで潜りまくった。

今年もあと3か月ちょっとで終わってしまう。ダイビング無しの1年になってしまう。やはり、何とか時間を作って潜りに行こうと検討中だ。11月か12月に休みがとれたら実行しようと考え中。

どこへ行こうか考える際に、つくづく自分の「加齢」を感じる。昔はもっとチャレンジャーだった。あえて辺鄙な場所を探して旅に出た。最近は、過去に滞在した勝手知ったる場所しか候補にならない。

英語もロクにしゃべれないのに、年に3回ぐらいカリブ海に一人で行ったこともある。マラリアの予防薬らしきものを飲みながらパプアニューギニアで潜水三昧したこともある。

わざわざエジプトまで行って観光もロクにしないで紅海の水中探索に明け暮れたこともある。あの頃のバイタリティーが懐かしい。

そんなことを考えていたら、保守的になってしまった最近のオヤジ的思考にカツを入れたくなった。もっと根性を入れて旅先を考え直そうとここ数日、深夜までインターネットで研究中だ。

大げさなようだが、瞑想しながらしばし自問自答を繰り返した。「一体どこに行きたい、どんな写真が撮りたいのか?」。

真っ先に出た自分自身の回答はエジプト・紅海だった。以前行った場所とは異なるリゾート地・ダハブだ。さっそく調べる。すぐに断念。11月以降は水温が異常に低くなるらしい。20度を切ることもあるそうだ。無理。

次に思い浮かんだのがインドネシア・コモド島。大トカゲ・コモドドラゴンがいまだに観光客を襲ったりするワイルドな場所だ。海の中の評判も高い。調べたら雨期に入るようで水中のコンディションが落ちるらしい。断念。

そのほか、インドネシア・メナド沖合にあるシラデン島あたりも浅瀬のサンゴが天下一品らしいので行きたいのだが、やはりコンディションの悪い時期に入るらしい。

メキシコ・ロスカボスにも興味があるが、バリバリ水中写真撮影に没頭するようなタイプの海ではないらしい。

うーん、なかなか難しい。

撮影機材の準備と梱包、持ち運びの大変さを考えると、2~3日の潜水では不満だ。少なくとも4日間は潜りたい。

水温が低いのは中年だからパス。潮流が強い、深場中心のポイントも撮影条件に合致しないのでパス。チャーターもしくは、マンツーマンの水中ガイドを確保することも条件になる。

マレーシアのボルネオ側の海か、ミクロネシアのヤップかパラオ、そして何度も通ったバリ島がいまのところ候補地だ。向こう1か月ぐらい他の場所も含めて検討を続ける予定。実は、この検討段階が一番楽しい。

ちなみに水中撮影用のカメラも新調する予定だ。10年ぐらい愛用したニコンからキャノンに変更。それも「EOS-KISS X3」だ。昔は小馬鹿にしていたビギナー向けのシリーズだ。

オモチャっぽい感じは否めないが、デジタル一眼として私が水中で使う機能は充分だ。軽くて小さければそれで良し。カメラを入れる水中撮影用ハウジングも新調した。水中ストロボも従来品の多くが使えなくなったので新調だ。痛い出費ではある。

レンズはシグマの70㎜マクロとトキナーのフィッシュアイズームという面白そうなレンズを使う予定だ。

いままでトータルすれば高級車が変えるぐらい水中撮影機材にお金をかけてきた。にもかかわらず、デジタルへの移行で大半の機材が使えない。恨めしい話。

フィッシュアイレンズもデジタル一眼に装着すると単調な画角のありふれたレンズになってしまう。水中撮影の場合、それぞれのレンズごとに防水ハウジングのレンズカバー部分(ポート)を変える必要がある。このポートだって高いわけだから、レンズが使えなくなることで波及してムダになるものが多い。悲しい。。。

さてさて、準備が着々と進んでいるが、はたして南国潜水計画は無事完遂できるのだろうか。

この秋から新型インフルエンザが猛威をふるうらしい。おまけに私の腰は最近またまた不調だ。このままだとタンクを背負うにはキツい。

どこに行くにしろ、どこかに行けたら、それはすなわち、幸せの証なんだとつくづく思う。

今日の画像は上から順番にマレーシア・シパダン島、インドネシア・ムンジャンガン島(バリ)、沖縄本島中部エリア、フィリピン・ペスカドール島で撮影したもの。全部、ネガフィルムで撮影。

いままでは、帰宅して現像に出して始めて出来映えを知ることが出来た。すでにそんなアナログ派は少数派みたいだ。

マレーシア・シパダン島では2週間、毎日毎日4~5回平均で潜水三昧。カメラは水中に2台持参し、終わってみれば撮影済みフィルムが70本になった。

現像屋は大喜び、私は破産した。デジタル化によって、もうあういう事態は起こらないわけだ。さすがにその点は嬉しい。

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