2014年6月27日金曜日

ウニを考える


寿司屋のカウンターで調子よく飲んでいる時、私は常に「次は何を食おうか」という難問と闘っている。

日本が世界に誇る「カウンター文化」の醍醐味は、お仕着せではなく、好きなモノを好きなアレンジで好きな量だけ注文できることである。

普通に刺身をもらうだけでも種類は数多い。それをチョコッと炙ってもらうとか、薬味にこだわるとか、四の五の言っていればバリエーションは無限大になる。



最近、季節のせいか、やたらと身体が梅干しを求める。上の画像はアジと梅干しをあえてもらった一品。ミョウガを多めに入れてもらうのが私の好みだ。

下の画像は、コハダを細かく切ってもらってガリと大葉とゴマであえた一品。割と頻繁に注文してしまう。ウマいです。

最近はカロリー過多にならないように意識だけはしているので、少量でウットリできるツマミを優先的に選ぶようにしている。

少量でウットリといえば、ウニ様が代表格だろう。日本全国津々浦々、お寿司屋さんのツマミとしては王様みたいな存在だ。


いつもの高田馬場・鮨源でこれからの季節限定の赤ウニを食べた。淡路島産の知る人ぞ知る絶品である。

ウニと言えば、一般的に利尻、礼文など北海道産が垂涎のマトだが、夏の時期に西日本で採れる赤ウニも無言になってウットリするほど美味しい。

ミョウバンを使っていない上等なウニは、安いウニ特有のヘンテコな苦みや臭みとは当然無縁である。甘くてクリーミーでコクがあって磯の風味も漂って、悶絶する。


海苔無用でそのまま握ってもらう食べ方こそ最高だと確信しているが、ツマミでちまちま食べる私は、残念ながらシャリを我慢する。軽く塩をふったウニ様だけを小皿に盛ってもらってダラダラと食べる。

ダラダラ食べていると、溶けてきちゃうところがニクい。ナマの上モノの証である。やや焦りながら少しづつ口に運び、酒との相性の良さをひたすら貪る。

東京では赤ウニはポピュラーではなく、一般的にはキタムラサキウニかエゾバフンウニが上等なウニとして登場する。

どっちがどうだとは中々言いにくい。当然、個体差もあるし、鮮度の関係もある。まあ、正直言って、高級寿司店でそこそこの値段を取られるナマのウニに限ればどっちだって間違いなくウマい。

北海道で食べる観光客向けのウニ丼より、東京の高級寿司店で食べるウニのほうが遙かに美味しいのが世の中の真理である。

以前、函館のウニ丼屋で、ミョウバン無添加の上等な生ウニが入荷したと聞かされ、それを通常の2倍盛りで注文したら、おったまげるほど高い値段になったことがある。

でも、それが真実である。上モノを大量に食べたければ財布がスッカラカンになる覚悟は必要だ。我慢我慢である。

変な話、イヤミでも何でもなく、そうした上モノの生ウニに今まで縁が無い人は、そのまま知らないでいたほうがいい。「知ってしまった悲しみ」は厄介である。

ウン十年前、家の近くのどうでもいい寿司屋の出前で初めて食べたウニは臭くて苦い印象が強かった。あの時、ウニを嫌いになり、その後、ウニに背を向けた人生を歩んでいれば、スペシャルなウニの味など知らずに済んだ。

ひょっとしたら、そっちのほうが幸せだったかもしれない。


いまでは上等なウニに出会うと闇雲に大量に摂取するクセがついてしまった。

痛風予備軍としては敬遠しないといけない食べ物なのだが、あんなウマいものを悪者のように扱うのはイヤだ。カタキみたいに悪く言うのは心苦しい。世話になった女を裏切るみたいで男がすたる。

ということで、健康上、悪口を言われがちなウニ様の効能を調べてみた。

ビタミンAの含有量が多く、皮膚の代謝向上、目の疲れ予防、血行促進などに効果があるらしい。妊娠初期などは胎児の健全な発育にも大きく貢献するらしい。

尿酸値ばかり騒がれ、そんな良い働きがあるとは聞いたことがなかった。

エラいじゃないかウニ!凄いじゃないかウニ!がんばれウニ!

もっとホレてしまいそうだ。

0 件のコメント: