2014年7月23日水曜日

パリで靴を買う理由


このブログはもう7年以上続いている。過去掲載分のうち、なぜかアクセスが多いのが3年前に載せた「靴バカ一代・パリ編」という話だ。

3年前、パリで靴屋ばかり巡る珍道中を書いた話なのだが、世の中の人はパリで靴を買うことに興味があるのだろうか。まさかそんなはずはあるまい。不思議である。


で、久々にパリまで靴を買いに行ってきた。今回はパリの他にイタリアのジェノバにジェノベーゼを食べに行くという隠れた重大任務もこなしてきた。

パリに靴を買いに行く理由は私がフランス靴のマニアだからというわけではない。

もちろん、フランス靴は素晴らしい。J.M.Westonのフローララインの一足などは私の勝負靴?のひとつである。

フランス靴といえば、無敵のエロ靴?のBerlutiとか、これまたキザ最高峰のCorthayなどがある。今回もそれらのブティックは覗いたものの勇気がなくて?買えなかった。

パリは、イギリス、イタリア、スペインあたりの名門靴屋が直営店を置いていることが魅力だ。さすがに世界の見本市みたいな街である。パリ1カ所に行けば相当数の紳士靴ブランド直営店を気軽に見て回れる。



今回はEdward GreenやCrockett&Jonesといった英国靴、SantoniやRossettiなどのイタリア靴、その他、いくつかフランス靴も購入。結局買いすぎて破産状態になってしまった。懲りないバカである。

東京にも世界の有名紳士靴の直営店は揃っているのにパリまで行くもう一つの理由がセールの激しさである。

フランスは法律でセールが義務づけられているらしく、日本ではディスカウントしないようなブランド品もドッカンと値引き販売する。

7月はセール時期だから靴をアレコレ買うには嬉しいが、ついつい浪費してしまう。痛し痒しである。

おまけに、帰国の際の空港でキューバ産の葉巻が破格値で叩き売られているのを発見して、予定外に大量購入してしまった。


諸々出費がかさんで頭を抱えたまま気絶したい日々である。


間違いなく今年後半は大貧乏確定である。じっと静かに暮らすことになると思う。自業自得である。

3年前にパリをブラブラした時は、それこそバカみたいに靴屋ばかり回っていた。その反省もあって、今回はセーヌ川を船で移動してみたり、モンマルトルあたりに正しく観光にも行った。

カップラーメン以外にちゃんとフレンチっぽい食べ物も摂取したし、女子供の食べ物だと思っていたガレットとやらも食べてみた。どうでもいい味だった。



ガレットとかクレープを出す店が多いモンパルナスを拠点にした。パリのホテルは世界一と言えるぐらい高いので、中心部を少しでも外れるだけで節約になる。

丸の内界隈のホテルを避けて上野あたりのホテルに泊まったような感覚だろうか。


地下鉄を使えば、モンパルナス周辺からどこに出るのも簡単で、周囲に食事の出来るカフェもゴロゴロある。人気のサンジェルマンデプレにも歩いて行ける。


「LE  LITTRE」という中規模のホテルを利用したが、地下鉄の駅が徒歩圏に3路線ぐらいあり何かと便利だった。

劣悪に狭い部屋でも平気で1泊3万円ぐらい取るパリのホテルの中では部屋も広く、使い勝手が良かった。

今回、このホテルのハイライトは居合わせた革命記念日の際に、1泊だけ奮発して「エッフェル塔ビューのテラス付きスイート」を利用したことである。


革命記念日は1年に1度、パリに火の手が、いや花火が上がる日である。エッフェル塔を彩るように豪快にドンパチやるらしい。一度は見たいと思っていた。


事前に調べたら、エッフェル塔周辺はその日は交通規制の対象で、周囲の地下鉄駅も閉鎖されるらしい。ぶらぶら見に行ける感じでもない。

だいたいこの時期、日が落ちるのは夜の10時過ぎである。エッフェル花火が終わるのは深夜零時ぐらいになってしまう。考えた末、部屋から眺める作戦を選んだわけだ。

ワインやらツマミをテラスに持ち込んで花火を待つ。夕暮れと共にエッフェル塔は普段とは違って艶めかしく光りだす。


そもそも、パリに二度目、三度目となると見向きもしなくなるのがエッフェル塔と凱旋門だが、そういう通ぶった考えは良くない。その夜はエッフェル塔と心中するつもりで花火を待つ。

三脚を使わずカメラを手持ちで花火を撮影する行為は無謀極まりないが、有り難いことに「エッフェル塔・大花火」は1時間近くダラダラやってくれた。

何枚かはそれなりに迫力のある画像が撮れた。

●画像クリックで拡大表示されます。












なかなか凄い光景だった。しまいにはエッフェル塔だかロケットだか、単なるオブジェだか分かんないほどサイケな灯りが狂乱状態になっていた。

変な言い方だが、花火は花火が主役であり、何かを彩るための脇役になることはない。

この日の花火は、あくまで主役であるエッフェル塔を引き立たせるための脇役だった。妙にいじらしく感じた。

エッフェル塔、どんだけエラいねん!

そうツッコミたくなるほどあくまで花火が脇役に徹していたように感じた。

さてさて、靴の物色、花火見学以外には、一応あてのない散策もした。

最近になってロートレックの評伝を読んだり、ドキュメント番組を観ていた関係で、彼が拠点にしていたモンマルトルをうろついてみた。





全体的にドンヨリしたトーンで撮影してみた。この街特有の退廃的な匂いを出したかったのでカメラのナンチャラモードを使ってみた。

実際には、休日だったこともあってシュールな空気など微塵もなく、他のエリアよりも観光客の数が多い大盛況ぶりだった。

中途半端な季節の平日にブラブラしてみたい街だと思う。人混みを避けようと主立ったエリアから道を外れると、すぐさま歓楽街としてのガサツな様子が見て取れる。

フランス語が得意だったら、きっとこのエリアこそ楽しく過ごせる場所なのかもしれない。


旅といえば、食べ物が楽しみだが、長くなっちゃったので、食べ物の話は後日改めて書こうと思う。

でも、パリ滞在中、心の底からウマいなあと思ったのはフォアグラでもなければ鴨のコンフィでもなければ、もちろん、クロワッサンでもない。

フラッと出かけた朝市の屋台でスペイン人ファミリーらしき人々が作っていたパエリアがそれ。


この朝市、毎週日曜日に左岸のラスパイユ通りに立つオーガニック専門の市だ。チーズやジャムや油、肉類やパン、菓子類などの他、石鹸に化粧品、衣類など何でも揃っている。

たまたまモンパルナス近くのホテルから歩いて行ける距離だったので、朝飯を食べていない状態で出かけた。

コメを数日食べないだけで精神的におかしくなる私だから、巨大パエリア鍋で作られていたパエリアを見て歓喜に震えた。

とにかく注文する。熱々である。コメも硬めでバッチリだ。具材は野菜のみ。野菜を親の仇と思っている私だが、コメ欠乏症だったせいで野菜までウマいウマいと食べてしまった。

野菜からあんなにウマ味が出るはずない。なんであんなにウマかったのだろう。いまだに不思議である。魔法のスパイスでも使ったのだろうか。抜群に深い味わいで感激した。

フランスに美食を楽しみに行く人からすれば不届き千万みたいな話だが、私の味覚などそんな程度である。

今日はこの辺でおしまい。

2 件のコメント:

ちばのゆう さんのコメント...

こんにちわ

日本から出たことのない私には
エッフェル塔の花火、
いいものをみさせてもらいました

へぇぇ、すごいなぁぁと
思いました

ところで最後のバエリアの写真の左のほうに
移っている黒いもの、巨大なゴ*ブリ(おっと失礼)は何でしょうか、たぶんなすび
だとおもうのですが、、

富豪記者 さんのコメント...

千葉のゆうさま

パエリアの写真、確かに黒い物体がいますねえ。

確か、しゃもじのような道具だったと思います。