2014年12月1日月曜日

神田 その田


なんだか年とともに寒さに弱くなってきた気がする。懐も寒い。困ったものだ。

職場でも足下が冷えちゃって、足下暖房を用意しても、ブレーカーがぶっ飛ぶとか言われて難儀している。

しょうがないから消費電力の小さい遠赤外線足下ヒーターを購入してセットしてみた。快適だ。バンザイである。でも眠くなる。まるで爺さん状態である。

で、まるで脈略はないが、冬だから鍋である。鍋のなかでも富豪気分?にひたれるのがフグである。


考えてみればフグ屋さんに行っても、ヒレ酒を飲み始めたらスグに暖かくなる。鍋が出てくる時には、♪少しも寒くないわ~♪って感じである。

先日、旧友が三代目を務めているフグ屋さんに行ってきた。神田にある「その田」である。昭和っぽい風情たっぷりの店構えが嬉しい。

フグを食べるのにモダンな店構えだと気分が乗らない。この店は昔ながらの建物が嬉しい。ノレンをくぐる段階でワクワクする。

神田という立地も良い。落ち着いた佇まいの街角。少し分かりにくい路地に「その田」はある。一見では入りにくそうな「通っぽい感じ」が魅力だ。


ここの若旦那とは中学高校を同じ学校で過ごした。野球部でチームメイトだった。

私はワガママざんまいで傍若無人のピッチャー、彼はセカンドだった。彼はピンチになるとマウンドに駆け寄って声をかけてくれた。

でも、アホバカ小僧だった私は、ヘタすれば「うるせえ」などと言ってエラそうに振舞っていた。実に恥ずかしく情けない思い出である。

今更反省しても遅い。オッサンになって彼と会うたびに心の中で詫びてばかりである。

そんな殊勝な気分に反して、彼の店を訪ねるとおかみさん(彼の奥さん)にアホバカ話ばかり振りまいている。どうしたもんだろう。

さて、フグだ。さきほど鍋の王様みたいな書き方をしたが、個人的にフグは刺身と焼フグと唐揚げが好きだ。これに白子焼があれば有頂天になれる。



鍋が嫌いなわけではない。ただ、鍋には野菜がたくさん陣取っている。フグ様の邪魔をしているように見える。

焼フグや唐揚げを食べながらヒレ酒で酔っ払ってくると、正直言って鍋が無くてもOKである。

鍋抜きでその他のものを多めに食べたいのだが、誰かを連れて行った場合にはそうもいかない。

この日も相変わらず酔っ払って、鍋の大半を同行者に食べてもらった。結果的にそれも「おもてなし」だと都合良く解釈している。

近年は手軽な値段でフグが楽しめるチェーン店が増えてきた。あれはあれで結構だが、老舗で味わう正統なフグ料理は別モノである。

そういう意味でも、真っ当な老舗店では焼フグや唐揚げを好んで食べたくなる。ヒレ酒もヒレに対する手の掛け方が違うのだろう。香りや酒の色づき方が抜群だ。

上等なヒレ酒の美味しさは格別だ。料理という種類のものではないが、あれこそ日本料理の神髄だと言える。鼻、舌、喉すべてに心地良さが拡がる。まさに文化遺産。

日本人のオッサンに生まれて良かったと心から思う。

同じ酔っ払うにしても、ヒレ酒の酔いは至福の時間である。たかが酒、されど酒である。ホッピーで酔うのとヒレ酒で酔うのとでは何か?が違う。

なんだかグダグダ書いてしまったが、この日も結局、鍋や雑炊を二の次、三の次にして気分良くヒレ酒とニラメッコしていた。

まだ季節ではない白子もたまたま少しだけあるというので、チョびっと味わえた。これまた幸せ満開な気分になった。

なんだか酒の話ばかりになってしまった。お店の名誉のために書いておくが、当然ながらフグ料理はウマい。とくに醬油ベースの味付けで楽しむ焼フグが私のお気に入りだ。

近いうちにまたお邪魔しようと思う。

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