今日は久しぶりに外食の話。
先日、久しぶりに六本木の「鳥長」に行った。おそらく20年ぶりぐらいだ。ミッドタウンや六本木ヒルズ、ドンキもおっぱいパブも無かった時代によく食べに行った店だ。
昭和の頃、焼鳥屋といえばオッサンがクダまいている赤ちょうちん的な店が主流だった。
いつのまにか、ちょっとした接待とかデートなんかにも使える焼鳥屋が一般化したが、「鳥長」はその元祖だろう。
高級寿司店のような風情で、落とし気味の照明がモダン和風の先駆けだった記憶がある。
20~30年前とは入口の場所も変わり、当然、内装も何度かリニューアルされたようだ。でも昔と同じ雰囲気だったので懐かしかった。
半世紀ほどの歴史がある店である。大学生の頃、始めて覗いた時には既に老舗っぽい空気が漂っていた。
30年ぐらい前の話だから記憶はおぼろげだが、学生の分際では妙に敷居が高かった。メニューに値段はないし、少しビビりながら食べていたことが懐かしい。
イタリアン全盛という当時のデート事情に反発するように常に女のコ連れで通った。不思議なもので、誰を連れて行ったかちっとも覚えていない。
つくづく若い頃ってガサツである。でも若造には高価な店だったから勝負デートに利用していたのだと思う。
デート相手との戦果?もまったく覚えていない。まあ、当時は連戦連勝の日々だったから記憶に無いのだろう。
大ウソです。
さて、破竹の快進撃だった青年時代も今や昔、すっかり世俗のアカを落として大僧正みたいな悟りの境地にある私である。
大ウソです。
結局、進歩の無いまま年齢だけが上昇しているが、焼鳥は若い頃よりも好きだ。牛肉が王様だと思っていた青年時代と違って今の私は鶏肉が恋しい。
焼鳥の名店みたいな店もいくつも味わってきたが、ふるさと?のような存在である鳥長の焼鳥はさすがにウマかった。
目ん玉ひんむくほどウマいわけではないが、安定した美味しさだ。ホッコリする。
タレがとくに良い。「上等な焼鳥は塩に限る」みたいなバカげた風潮がはびこっているが、この店のタレはスッキリ系で味が強すぎず、鶏肉のウマ味を隠すこともない。
一品料理はほとんど無く、ちょうど良いタイミングを見計らって1本1本出される部位の異なる鶏肉をワシワシ食べるのがこの店の基本形だ。
「ツマミをあれこれ食べて酔っ払ってから焼鳥を食べる」というパターンが多くなったことも私がこの店に通わなくなった理由だ。でも時にはこういう「黙々と焼鳥を食べ続ける」パターンも悪くない。
同行者とジックリ話をしたいような時にはこっちのほうが楽チンだし、間延びしないで済む。
この日は野菜串を除いた鶏だけでおまかせコース仕立てにしてもらった。アレコレと十数本は食べたがちっとも飽きなかった。
お店の名物が「ちょうちん」。見たままのネーミングだが、卵のトロリンチョとした味が肉と相まって悶絶である。絶対に外せない一品だと思う。
それにしても昔々に通った店が変わらぬ風情で営業していることは都会では貴重なことだと思う。
六本木に日夜出没していた若い時代を懐かしく回想しながら、それから四半世紀の自分の歩みをボンヤリと思ってみた。
ウマい焼鳥を噛みしめながらちょっとだけセンチな気分に浸った夜だった。
0 件のコメント:
コメントを投稿