月曜のこのブログで毎日でもトンカツが食べたいと書いたが、「ニッポンの洋食」的なものも大好きだ。毎日、朝昼晩でも食べられる。
トンカツもジャンル分けしたら洋食なのだろうが、今日書くのはハヤシライスやビーフシチュー、エビフライ、オムライス、カニクリームコロッケなど、そっち系の洋食だ。
字面を見ているだけで唾液が出そうだ。
見方によっては子供っぽいラインナップである。だからこそ、逆にウマい店で食べると鼻の穴がふくらむほど感激する。
変な言い方だが、「子供っぽいメニューを子供では絶対に行けない値段の店で食べる」ことが洋食を楽しむ醍醐味かもしれない。
その部分が洋食好きにとってのカタルシス!?である。オムライスに2千円、エビフライに3千円など冷静に考えればバカみたいな話だ。
しかし、高いからウマいという方程式も厳然と存在する。程度問題ではあるが、オムライスに2千円の値付けをするからには作り手にそれだけの自負と信念があるわけだ。
自負と信念の他にも、その店が辿ってきた歴史や物語のような要素が加わったりすると、なんとなく高い値付けにも納得しちゃう。
私の店選び、はたまた味覚なんてそうした「余計なこと」で影響される。そんなものである。実に頼りない。
私にとって「ニッポンの洋食」は御馳走である。どこか特別なモノという感覚がある。ハレの日に食べたい存在だ。いわばウナギと同格である。
だから高値にも寛大だ。逆にお手軽すぎる店だと御馳走イメージが無くなっちゃうから敬遠する。
ウナギの名店を食べ歩くほどのウナギ好きな人が牛丼屋のウナ丼には目をくれないのと同じ心理である。
さて、前振りが長くなった。
だらだらと値段の話を書いたのには理由がある。高い値付けの洋食を食べちゃったことへの言い訳である。
カニクリームコロッケ様である。先日、始めて入ってみた銀座4丁目の「みかわや」での一品だ。この店では「かにクロケット」というのが正式名称だ。
コンビニのコロッケだったら30~40個買える値段。ビミョーである。安いハンバーガーだって30個ぐらい買えちゃう。
こういうことをチマチマ気にしていたら富豪にはなれない。でも、気になるんだから仕方がない。
でも、ウマかった。凄くウマかった。具体的に何がどうウマかったのかよく分からない。ひょっとすると「高いからウマい」と思ったのかもしれない。
冒頭の画像はタンシチューである。これまた大丈夫かと思うぐらい高い。ビックマックが軽く1ダース以上買える。
チマタで「クソ高い」とまで言われているセブンイレブンの「金の牛タンシチュー」(物凄くウマいです)を10個買ってもおつりが来る。
そんなことを考えながら食べると、「マズい」という言葉は脳内から遮断される。“値付けの魔力”のせいで冷静に判断できていないのかもしれない。でも、ウマい。
ウマいことはウマいが、さすがに悩ましい。値段のことを思い出すとチョットため息が出てしまう。
「ハレの日に特別なモノを御馳走として食べる」という前提条件が整わないと厳しい。
ちなみに、カニクリームコロッケやタンシチューに関してはここより高い値付けの店を知らない。逆にいえば、だからこそ、どれほどウマいのか実際に味わってみたかったわけだ。
値段のことばかり書いてしまったが、また行きたい店である。居心地も良かった。
ついでに言えば料理の付けあわせが抜群にウマかったことも印象的だ。
ちょこっと載せられていたポテトサラダやハッシュドポテトしかり、私が大嫌いなはずのニンジンのグラッセしかり。ウホウホいいながら食べた。
オードブルの盛り合わせも給仕のオジサンが柔軟に品数の希望に対応してくれた。少しづつ盛られていた鴨やアワビや海老や生ハムすべてが高水準で酒の肴として抜群だった。
「高いから良くて当然」なのか「良い店だから高い」のか考えたらキリはないし、考えても仕方がない。
少なくとも、こういう店がしっかりと人気店として成り立っているのは銀座という街だからだろう。ある意味、あの街を象徴する店だ。
カニクリームコロッケを味わいながら、ニッポンの洋食こそ東京の郷土料理だと改めて確信した次第である。
0 件のコメント:
コメントを投稿