2016年1月25日月曜日

男の靴の裏側 マンテラッシ


女性の綺麗な後ろ姿を眺めるのが好きだ。「綺麗な女性の後ろ姿」ではない。「女性の綺麗な後ろ姿」である。

うなじはもちろん、キリっとセットした髪型しかり、背中が開いたドレスしかり、ヒップラインはもちろん、ふくらはぎのラインにも目が行ってしまう。

最近はあまり聞かなくなった言葉に「バックシャン」がある。後ろ姿が綺麗という意味だが、「後ろ姿だけは綺麗」というネガティブなニュアンスで使われることもあった。

後ろ姿が美しい人は、かなりの割合で前から見ても素敵である。もちろん、ズッコケちゃうような例外もあるが、それはそれ。見なかったことにすればいい。

やはり後ろ姿に美意識が滲み出る人はトータルで素敵なのだろうか。

さて、ここまでは前振りである。今日は靴の「後ろ姿」や「裏」の部分のアレコレを書いてみたい。

靴の裏、靴底といえば、「ルブタン・レッド」が有名だ。クリスチャン・ルブタンの深紅の靴底は世界中のシャレオツな女性の憧れだ。

あれはあれでしっかり商標権で保護されているらしい。ヘタに真似すると訴えられて負ける。

ルブタンの靴は確かに美しい。美しい人の足下をより美しく見せる。とはいえ、ルブタンをいっぱい持っている女性はお付き合いするのにお金がかかりそうで恐い。

話がそれた。

女性の靴の場合、ヒールがあるから靴の裏側が他の人の目に入るわけだ。階段はもちろん、普通に歩いていても靴の裏側がチラッと覗く。ここにデザイナーが目を向けたくなるのも当然だ。


紳士靴の場合、女性靴ほど裏側にこだわったものは少ないと思う。ジョンロブ、エドワードグリーンあたりもシレっと地味である。

英国靴に対してイタリア靴はさすがに色気がある。上の画像はボローニャ生まれのステファノ・ブランキーニの靴底だ。派手な絵が描かれている。さすがイタリアって感じだ。

ホンモノのお洒落な人なら靴の裏にも強い美意識が働くのだろうが、私の場合、なんでもかんでもすぐゴム底を貼り付けちゃう習慣がある。だから裏側が素敵すぎても困る。

画像のブランキーニもゴム底を貼ってしまえばサイズ表記の「8」しか見えなくなる。見る人が見たら台無しだと思われるのだろう。



ジョンロブだって画像のようにゴムを貼っちゃう。フランス靴の名門オーベルシーにもベタっとゴム底だ。

新しい靴を手に入れると某デパート内の紳士靴リペア工房に持っていく。靴底に薄手のゴムを貼ってもらうわけだが、今まで何度も「ホントに貼っちゃっていいのか?」的な顔をされた。

オシャレを気取って、すかして歩いていてもスッテンコロリンでは本末転倒である。さっそうとカッコつけて歩くためにこそゴム底貼り付け作戦は欠かせないわけだ。


先日、清水の舞台から飛び降りる勢いで「ストール・マンテラッシ」を購入した。イタリアの伊達男御用達のメーカーである。エロっぽさばかり目立つあざといイタリア靴とは違ってどこか優雅な雰囲気が漂っている。

紳士靴の中では珍しく、靴の裏に特徴があるのもマンテラッシのこだわり。ノーブルブルーといわれる青色は「貴族の血」を意味しているのだとか。


私は貴族ではないし、血を見るのもイヤなので上半分はいつもようにゴム底貼り付け作戦である。生粋のマンテラッシファンの人から見ればフラチなことなんだろう。

高級靴、オシャレな靴は革底、安っぽい靴、ヤボったい靴はゴム底というのが世の中の常識になっている。

そしてカッチョいい革底の靴にわざわざゴム底を貼る行為は靴好きの世界では邪道とされている。

開き直るが、邪道で結構である。傷んできた革底は一目見ただけで美しくないし、雨の日には履けない。靴底交換にもコストがかかる。いや、そんなことよりアホみたいにスベる。

それを避けるためのラバーソールの貼り付けが邪道なら邪道で結構だ。お寿司屋さんでチャーシューワンタン麺を注文するほど邪道だとは思わない。

邪道かどうかを気にしてスッ転んでいるほうがマヌケだと思う。オジサマは転ぶとヘタすると死んじゃったりするから許してもらおう。


さて、靴の裏だけでなく、後ろ姿についても書いておこう。

この画像は1年半ほど前に買ったエドワードグリーンである。ウェストミンスターというダブルモンクの定番シリーズだ。気品のあるバーガンディーカラーに一目惚れした。

実はセール品である。パリに旅行したときに見つけた。セール品はヘンテコなものが多いイメージがあったが、ド定番かつ色合いも大好きだったので迷わず購入。

ついでに言えばユーロの為替換算がよく分からなかったから思い切って買えた。それでも日本の価格の4割引ぐらいだったから悪くはなかった。

かかと側から見たラインが実に美しい。エレガントである。なだらかな曲線をついつい指でなぞりたくなる。というか、しょっちゅう指でなぞっている。

街中を歩きながら、電車に乗りながら、店の中で、わりとヨソの人の靴を見るのだが、かかとが綺麗な靴に出会うと途端にその人が素敵で立派な人に思える。

つま先ばかりピカピカにしてかかとに意識が回らないのはダメだと思う。

以前、銀座のホステスさんに「お見送りするとき、いつも靴のかかとが綺麗だなって思っていたんです」と言われたことがある。そういうマイナーなツボを評価してもらうのは素直に嬉しい。すぐにホレちゃった記憶がある。

この靴、実はまだ一度も履いていない。買ったばかりの頃、なんとなく部屋の飾りにしてみたら飾りとして定着しちゃって履く機会を失った。

今後もよっぽど素敵なことがなければ履かないつもりだ。

「よっぽど素敵なこと」・・・。一体どういうことだろう。

宝くじに当たることぐらいしか思い浮かばないのが切ない。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

おはようございます。ゴム底貼っちゃっても靴の寿命に違いはないのでしょうか?貼った方が長持ち???カスタム後でもメーカーのお直しはお願い出来るんでしょうか?
確かに革底だと滑りますよねえ。

富豪記者 さんのコメント...

コメント有り難うございます。

ゴム底にしたほうが長持ちするのは確かだと思います。

メーカーの修理の件は詳しく分かりませんが、ゴム底を貼ってしまえば修理することもまず起こらないかと。。。かかと関係の修理であればゴム底には関係ないので、さほど気にする必要はないかと個人的には考えています。