2016年4月22日金曜日

こんぴら歌舞伎 古典芸能

「こんぴらさん」で知られる香川県琴平に行ってきた。2年前に琴平温泉に行った際に、こんぴらさんの長~い参道は歩いたのだが、今回は歌舞伎を観ることが目的だ。

急に行くことにしたので、JTBがネット販売していた土産付きの割高なチケットを仕方なく購入。内心、どんな土産がもらえるかと期待していたのだが、どうでもいいお菓子ばかりで途方に暮れた。

さて、いそいそ出かけた理由は市川中車こと旧友の香川照之の舞台が観たかったからだ。最近いろいろ世話になったので差し入れのユンケルなどを持参して訪ねた。

場所は「金丸座」。現存する日本最古の芝居小屋で国の重要文化財だそうだ。何とも風情のある空間だった。

劇場ではなく「芝居小屋」という呼び名がしっくりくる。平場の座席であぐらを組んで観劇するのは情緒たっぷりで貴重な体験だった。


役者との距離が近いのも魅力である。息づかいまで伝わるようで、静かな場面でもかなりの迫力があった。

私のお目当ては市川中車と片岡愛之助の「あんまと泥棒」という二人芝居である。いわゆる古典モノではなく、世話物と呼ばれる分かりやすい演目だ。

ドラマ「半沢直樹」でそれぞれ主役を食うほどの熱演を見せた香川照之(市川中車)と片岡愛之助が丁々発止のやり取りを見せる。面白くないはずがない。

客席も大盛り上がり。古典芸能鑑賞中には必ず一度は熟睡する私ですら一瞬たりとも眠くならなかった。他の演目ではしっかり寝てしまったのだが・・・。



それにしても高松空港から琴平に至るまで周辺エリアのどこにでも貼ってあったポスターの写真がファンキー?でズッコケそうになった。市川中車、ちょっと気の毒である。

でも、さすがの職人芸という感じの芝居だった。自分を格好良く見せようという邪気がまったくない市川中車の良さと、勢いがあってけれん味のない愛之助の良さがぶつかり合って見応え満点だった。

わざわざ飛行機とレンタカーを使って観に行った価値はあったので大満足。相変わらずマイレージの無料航空券を使ったのだが・・・。

もともと古典芸能には興味がなかったが、そこそこ長く生きていると何だかんだと観る機会はあった。

多くの人が「とっつきにくい」と思っている世界だが、観に行ってしまえば意外に「とっつきやすい」ものであることを痛感する。

歌舞伎にしても、ほとんど現代語で演じる今回のような演目もいっぱいある。そんな芝居を選べば単純明快に面白い。未体験の人にはぜひ気軽な喜劇調の演目をふらっと観に行くことをオススメしたい。

その昔、狂言の世界で活躍する人と親しく付き合ったことがあった。狂言などまったく知識もなかったが、あれこれ教わったし、何度も舞台を観せてもらった。

狂言はいわば喜劇そのものである。思った以上にとっつきやすくて面白いものだと勉強になった記憶がある。

小学校の教科書か何かに出ていた「附子(ぶす)」という話も狂言の演目である。毒だから舐めてはダメといわれていたものが実は砂糖だったという有名なドタバタ話だ。

情念や幽玄の世界を描く能の合間に演じられるのが狂言だから、必然的に楽しい気分になる演目が多い。決して敷居の高いものではない。

これまた偶然なのだが、以前住んでいた家の隣の住人が高名な能楽師だった。お隣さんだからしょっちゅう顔を合わせるうちに能の舞台に招待してもらったり、お互い酔っ払い状態で帰宅した時に鉢合わせして、その人の家で飲み直したこともある。

その後、その人は人間国宝になった。私が思っている以上の凄い人だったみたいだ。酔っ払って平気で古典芸能談義?をふっかけていた若き日の自分がかなり恥ずかしい。

狂言の人、能の人、歌舞伎の人。それぞれに接点があったのだから、もっと真面目にそっちの世界を研究していれば、今頃は古典芸能評論家としてブイブイ活躍できたかもしれない。ちっとも向学心がなかったことを反省している。

後悔先に立たずである。



結局、今回もさぬきうどんと骨付鶏の画像がシメである。香川県の誇る2大グルメ?である。

食欲という煩悩が私の人生の大半を占めているような気がする。

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