2016年4月4日月曜日

ランボルギーニのスニーカー


今日はスニーカーの話。運動靴である。

スニーカーが世の中にあふれ出したのは70年代の終わり頃だったと思う。単なる運動靴だったものが格好いいアイテムに変化したわけだ。

当時、中学生で色気づき始めた私もコンバースなどに憧れた覚えがある。今のようにカラフルで超絶的デザインのスニーカーは無かった。今に比べればかなり地味で、ちょっとしたラインやワンポイントにオシャレ感が漂っていた。

中学生の頃、キャンバス生地のコンバースを手に入れた私は、わざわざ原宿まで靴ヒモを買いに行ったことがある。

スニーカーの靴ヒモは白色一辺倒だった時代である。ブルーの靴ヒモが欲しくてもそこら辺で売っていなかったのでノコノコ原宿まで行ったわけだ。

靴ヒモをわざわざ色付きに変えるという行為が物凄くカッチョいいことに思えた。
実に牧歌的な?昭和の話である。

その後はデッキシューズやコインローファー、はたまたウェスタンブーツまで手を出すようになり、スニーカーへのこだわりは薄らいでいった。

今の歳になってデニムにスニーカーというのもシックリこないので、すっかりスニーカーとは縁遠くなった。

そうはいっても「本格紳士靴大好きオジサマ」としては、オトナっぽいスニーカーを見るとロクに履きもしないのに欲しくなってしまう。


先日行った香港で自分用に買ったのは「ランボルギーニのスニーカー」である。ランボルギーニがファッション分野にまで進出しているとは知らなかったが、偶然見つけたショップで全品70%引きのセールをしていたので、つい目にした一足を買ってしまった。

いつもは「イギリスかイタリアあたりの老舗の専業紳士靴メーカー」の靴こそ絶対だと思い込み、スニーカーもそうした老舗ブランドの逸品に惹かれる。なのになぜだか「ランボルギーニ」である。まるで脈略がない。

大幅値引きのせいで1万円ちょっとで買えた。定価で買いたいとは思わないが、セールのおかげで「ランボルギーニの運動靴」というアマノジャク的購買意欲がそそられてしまった。

ヨーロッパのセール時期などに私がドバドバ衝動買いしてしまう靴はスーツに合わせるオーソドックスな紐の革靴である。ただ、その手の紳士靴店で見かけるスニーカーに一目惚れすることもある。

スニーカーは運動靴である。だったらアシックスとかミズノのカッチョ良くて機能性にも優れるものを買えばいいのに、ついついブランド名に惹かれてヤケに高い運動靴を買って後悔したことが何度もある。


履き古したこの靴はイタリア・ボローニャを拠点とする伊達オヤジ靴メーカー「ステファノ・ブランキーニ」である。

新品の時は独特な渋い風合いがバッチグーだったのだが、何年も履いているうちにヨレヨレである。スーツ用の革靴はマメに磨いて手入れするのに、スニーカーは放ったらかしにしちゃうのが私のダメな点だ。

スニーカーは履き古してこそナンボ、といった子供時代の習性が影響しているのだろうか。

今の世の中、エルメスだろうがジョン・ロブだろうがベルルッティあたりでもスニーカーをラインナップに加えている。運動靴のくせに10万円を軽く超えるようなオッタマゲも存在する。

さすがにその手のスニーカーは履き古すような路線ではないのだろう。でも、それってスニーカー、すなわち運動靴として本末転倒なような気もする。悩ましい問題だ。


これは今の私のお気に入りである。フランスの「マシュー・クックソン(MATTHEW COOKSON)」というメーカーのスニーカーだ。

パリの6区、7区あたりに店を構えているのだが、ちょうどその近辺に宿を取るので、パリに行った際には覗きたくなる店だ。しっかりした洒落た靴を作っている割にバカバカしく高くないのも魅力。

これは一昨年のパリ旅行の際に買った時の画像だが、新品の頃は色合いが官能的だった。ただ眺めているだけでワクワクした。

近所の散歩などにはなるべく使わず、一応大事に履いていたのだが、そろそろ元気がなくなってきた。ちゃんと手入れしないとヨレヨレの末路を辿りそうである。

まあ、そんなシケシケしたことを言わずに10万円のスニーカーをポンポン履き潰すような豪快な性分を目指さないと「富豪」への道は遠い。


ちなみに、靴とは無関係だが、最近買った私のお気に入りが「セブンイレブン傘」である。香港で雨に降られた時に、道行く人々が使っていたのを見て一目惚れした。70㎝サイズでワンタッチオープンのスグレモノである。

日本円で900円ぐらいだった。こんなものを嬉々として使っているようでは、やはり「富豪」への道は遠い。

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